ファーウェイ問題によって生まれる
”インターネットの鉄のカーテン”
もう一つ、今回の制裁により顕著になったのが技術分断を裏付ける動きだろう。中国政府とロシア政府は5Gで提携した。ファーウェイはロシアの通信事業者、MTS向け5Gネットワークの構築を進めることになっている。同時期に中国政府が5Gの商用ライセンスを認可したのも印象的で、CNNは「インターネットの鉄のカーテン」と呼んだが、的確な表現だと感じる(https://edition.cnn.com/2019/06/07/business/huawei-russia-china-splinternet-intl/index.html)。
さて、ファーウェイのスマートフォンのシェアに与える影響はいかほどか? このような動きを見越してかパーツの在庫はあったようだが、2019年後半のスマートフォン出荷台数がそれまでの予想より20~30%下回ると予想しているとのこと(https://asia.nikkei.com/Spotlight/Huawei-crackdown/Huawei-cuts-orders-to-key-suppliers-after-US-blacklisting)。
ファーウェイバッシングに荒れた第1四半期だが、IDCは同社はモバイル業界において「明確なナンバー2」であり(https://www.idc.com/getdoc.jsp?containerId=prUS45042319)、シェア上位では唯一、前年同期比で出荷台数を増やしたと報告している。
出荷台数は前年同期比で50.3%増加で、これは上位5メーカーのうち最多。シェアは19%となり、Samsungとの差をさらに縮めた。現在Samsungは23.1%のシェアで、出荷台数は8.1%マイナス。ファーウェイにしてみればいよいよ背中が見えてきたところで、2020年末にも追いつく戦略だった。
ファーウェイ問題、そして米中貿易戦争はどう決着するのだろうか?
筆者紹介──末岡洋子
フリーランスライター。アットマーク・アイティの記者を経てフリーに。欧州のICT事情に明るく、モバイルのほかオープンソースやデジタル規制動向などもウォッチしている
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