スポーツの教育的価値を実証し、市場を拡大する
――主体的になることによりチームが強くなった事例はあるのでしょうか?
土井 はい。浜松開誠館高校のサッカー部は創部から14年で今年全国高校サッカー選手権へ初出場を果たしましたが、2017年夏からSPLYZA Teamsを導入しています。このチームではプレーや身体能力だけでなく、SPLYZA Teamsで可視化された判断力、コーチングスキルの観点で選手を選抜し、チームメイクしています。またeスポーツでも成長につながったという事例が出ています。
参考リンク
浜松開誠館高校サッカー部・青嶋文明監督インタビュー(SPLYZA)
――SPLYZA Teamsを使用するチームに傾向はあるのでしょうか?
土井 多くのチームが「主体的に考えられるチームづくり」を目指して導入します。スポーツは瞬時の判断の連続です。都度フィールドの外からコーチが指示を出して、それを受けてリアルタイムに選手が動くなんてことは実現しないのです。だからこそ、選手が主体的に考えられるチームが強くなる。
だからこそ、導入を検討し問い合わせるチームはコーチとなる先生の意識が違います。例えばSNSを活用して情報発信しているような意欲的な方であるとか。ITリテラシーも高い傾向にあります。
――どのような能力が向上することが主体的に考えられるチームづくりに繋がるのでしょうか?
土井 大きく言えば思考力でしょう。実は、SPLYZA Teamsを活用したスポーツ活動が、若者の思考力向上に繋がるかを調査する実証実験をしています。早稲田大学やNTTデータ研究所と協力し、SPLYZA Teamsの使用前後で思考力に変化があるか調査をしています。学生の思考力を計測するために設計されたアンケートとAIを活用したテストを実施することで可視化します。
――今後の展開としてはどのようなお考えですか?
土井 スポーツによる教育の分野をより追求していきたいですね。現在は部活動での利用が多いですが学校の授業の場面にも入り込んでいきたいですね。スポーツという題材は、思考力を鍛えることができます。この考え方を注入することで、体育の授業はもっと面白くすることができます。
――作業の効率化が主目的と捉えられがちな分析ツールだが、その本質的価値は利用者の思考プロセスを変え、ひいてはチームを改革することにある。SPLYZA土井氏は『価値』を発見し、拡大することを重要視する。これこそがスポーツビジネスに見過ごされがちな観点であり、スポーツ市場の伸び代でもある。次回は、SPLYZA土井氏の視点から現在のスポーツ産業の課題と可能性を探る。
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