「アリータ」がみせる、刺激的なアクションと心揺さぶるドラマ
『アリータ:バトル・エンジェル』は、『銃夢』に対するリスペクトが感じられる傑作であった。2つに異なる世界に分断された都市のビジュアルや原作さながらの激しいアクション、パフォーマンス・キャプチャーを駆使して創造されたサイボーグに圧倒された。
特に、本作の主人公である「アリータ」の再現度が高かった。容姿だけでなく、「ガリィ(※『銃夢』の主人公名)」と同様のつぶらな瞳もちゃんと再現されているのだ。原作ファンは彼女を一目見ただけで歓喜するか、もしくはリアルすぎて違和感を覚えるだろう。『銃夢』を敬愛する私は、アリータを見た瞬間に鳥肌が立ち、思わず涙がこぼれそうになった。人形のようなつぶらな瞳を持つサイボーグの少女は、紛れもなくあのガリィであった。
アリータはジェームズ・キャメロン監督とロバート・ロドリゲス監督の共通点といえる「強いヒロイン」に当てはまるキャラクターだ。相手が強敵でも弱さを見せることなく勇敢に立ち向かう戦士である一方、人間と同じ心と感情を持つ少女の一面も垣間見せる。戦いの最中、アリータは自身の生き方や恋愛、人間関係などティーンエイジャーが抱えるような悩みと葛藤しながら、少しずつ大人へと成長していく。彼女の成長過程をドラマチックに描いているので何度も心が揺れ動いた。
本作は自らの生き方を模索しながら、愛する者を救うために闘いへ投じるアリータの生き様にフォーカスしている。人間とサイボーグの存在意義など原作にあったメッセージ性はやや薄いが、アクションは原作さながらのクオリティーなので原作ファンでも十分に楽しめるのではないかと思われる。『アリータ:バトル・エンジェル』は映画を見てエンタメしたい人にも、そして原作ファンにもオススメできる映画だ。
週刊アスキーの最新情報を購読しよう
本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります