OEM拡大でB2B領域の事業も拡大
法人事業では、SMB市場向けに従来のライセンス販売に加えてMSP(Managed Service Provider)ビジネスも展開する。このMSP向けプログラムは「間もなく詳細を発表する」(藤岡社長)。xSP・IoT市場向けも推進し、サブスクリプションでのサービス提供を行うほか、メーカーへのOEM提供なども進めていく。
営業体制も増員を含めて強化。現在のチャネルを担当する営業やSEの増員に加え、大手企業向けには直販を行うハイタッチ営業部門を新設するなど、各市場への取り組みを強化していく。
CSR活動は、教育分野向け、子供向け、家庭向け、大人向けと取り組みを続けており、教育現場での「情報モラル診断サービス」はすでに3万人が受検。「ジュニアスマホ検定」は2万人が受けており、今後も啓蒙活動を含めたCSR活動は継続する。
透明性は重要な課題
さらに、本社がロシアの企業でもあり、米国との関係で問題が発生していることに関して、透明性への取り組みも進めていく。グローバルでは、まずは2018年11月から欧州ユーザーの情報をロシアから移転する手続きを開始。スイス・チューリッヒに開設したTranparency Centerに情報を移管する。
今年第2四半期には世界のいわゆる4大会計事務所のうちの1社からSOC2監査を受けることで、ソフトウェア開発プロセスの安全性評価を行う。2019年末までには日本を含む各国の情報もチューリッヒのセンターに移管し、20年末までにアジアや米国にもセンターを開設し、それぞれのデータを移転する。アジアのセンターは、現在日本を含めて選定中だという。
こうした透明性の確保によって、米国を中心とした懸念に応えたい考えだ。同社の専務執行役員・宮橋一郎氏は、「ある国家の軍がカスペルスキー製品を一括購入する際に、国家からソースコードレビューなどの依頼があり、専門家が2週間、(ロシア)本社に滞在して多くの監査をして、その上で購入した事例もある」と話し、懸念には当たらないとの考えを示す。
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