第243回
349ドルのレイトレーシング対応GPUは“脱Pascal”を実現できるのか?
GeForce RTX 2060性能検証!GTX 1070 Ti拮抗の新メインストリーム
まとめ:実売価格が高ければ単なる“x70番台のリブランド”。真のお手頃メインストリームは次に期待か?
以上でRTX 2060のファーストレビューは終了だ。まず純粋にパフォーマンス面だけを評価すると、RTX 2070に対してはCUDAコアが少ないぶんパフォーマンスはやや下となるが、CUDAコア数が等しいGTX 1070に対しては13~17%程度上、CUDAコア数が格上のGTX 1070 Tiに対しては3~5%程度上の性能が期待できる。
次のグラフは、今回検証に用いたゲームの平均フレームレートを基準に、RTX 2060を100%とした場合に性能上昇(あるいは低下)率の平均を求めたものである。今回試した6本のゲームでの平均なので、あくまで現行ゲームでの一側面を切り取っただけにすぎない点をご理解いただきたい。
フルHDよりもWQHDのほうがPascal世代のGPUに対しアドバンテージを示せているのは改良されたCUDAコアの設計やメモリー帯域(主にメモリークロックや圧縮技術によるもの)が効いていることを暗に示しており、4Kで伸び率が悪くなっているのは、メモリーバス幅の狭さがネックになっていると考えられる。逆にメモリーバス幅が等しいGTX 1060に対しては、どの解像度でも50~62%程度のパフォーマンスアップが期待できる。
買い替えるとすれば、GTX 970やGTX 1060といったVR元年世代のVR入門用GPUだろう。USB Type-Cを備えているRTX 2060搭載カードを選べば、長く使える快適なVR環境になるはずだ。ただし、RTX 2070と同様、安価なカードにはUSB Type-Cは非搭載となるであろう点には注意が必要だ。
しかし、問題は価格だ。筆者の予想では仮にFEと同程度の製品を出せても、為替やら代理店の上乗せぶんがあれば最安で4万円台中後半、高付加価値なオリジナルファンモデルなら5~8万円と予想している。ちょうどGTX 1070 Tiのすぐ上になるわけだ。もしこの予想どおりなら、RTX 2060は“x70番台のリブランドモデル”と評価せざるを得ない。
直近のx60番台は北米価格で249ドル~、国内のオリファンモデルは3~4万円という手の出しやすい製品だった。だが、今回のRTX 2060はFEで349ドルと、初手から100ドル高い。回路規模から言うとすでにGTX 1070(379ドル~)相当なので値下げと言えなくもないが、かつてのx60番台のような割安感はない。NVIDIAとしては、付加価値を乗せた上で次世代ゲーム用にメインストリームのラインを上に引き上げたいのではなかろうか。
しかし、低予算ゲーマーにはそう受け取ってもらえるとは限らない。GTX 1060程度があれば、画質や解像度を欲張らなければ直近の人気タイトルも遊べるという現実がある。それゆえ、今すぐ使えない付加価値のぶん、高価なRTX 2060は割高と感じてしまうことだろう。彼らにとっては今後登場する(かもしれない)下位モデルが本命と言える。ライバルのように既存の設計をシュリンク&オーバークロックして価格リセット、としないだけマシとも言えるが、もう少し価格戦略おいてユーザー側に優しくしてほしいものだ。
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