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Ryzen 7 2700Xを速攻OCレビュー! 競合比較で見えてくる新Ryzenのポテンシャル

2018年04月19日 22時00分更新

ベンチマークでライバルと徹底比較!

 新Ryzen登場で誰もが気になることといえば、ライバルのアイツとのパフォーマンス比較。ということで、Core i7-8700Kとの比較を実施してみました。Ryzen 7 2700Xは定格と4.2GHz、Core i7-8700Kは定格と5.0GHzに設定しています。

「CINEBENCH R15」のグラフ

 結果を見てみると、シングルスレッド性能は動作クロックの高いCore i7-8700Kの圧勝ですが、マルチスレッド性能は定格のRyzen 7 2700Xが5GHzのCore i7-8700Kよりも約8.6%高速なスコアーを記録しました。コア数の多さが大きなアドバンテージとなる動画編集やクリエイティブ系の用途においては、このマルチスレッド性能の高さが活きてきそうです。

 Ryzen 7 2700Xの定格状態でのベンチマーク中の動作クロックは、マルチスレッドテスト中は4GHz前後、シングルスレッドテスト中は4.0~4.35GHz前後で推移していました。シングルスレッド性能のスコアーが定格と4.2GHzで一緒なのは、ブーストクロックが上述した値で振れているため、平均値が4.2GHz前後になるからだと思われます。シングルスレッド性能を定格と同等に維持するためには、最低でも4.2GHzまでオーバークロックする必要があるとも言えます。

「PCMark 10 v1.0.1493」のグラフ。

 「PCMark 10」のスコアーはCore i7-8700Kの圧勝。このベンチマークはシングルスレッド性能が重要となるようで、動作クロックの高いCPUの方が良いスコアーが出るようです。

「3DMark v2.4.4264」のFire Strikeテストのグラフ

 「3DMark」Fire Strikeテストのスコアーは、定格状態ではRyzen 7 2700Xが有利ですが、オーバークロックした場合は5.0GHzのCore i7-8700Kがトップとなりました。マルチスレッド性能を計測するPhysics Testの結果は8コアのRyzen 7 2700Xが有利ですが、シングルスレッド性能の高さがフレームレートに影響するGraphics Testにおいては、動作クロックの高いCore i7-8700Kが高いスコアを記録しています。

 注目したいのは、Ryzen 7 2700Xを全コア4.2GHzにオーバークロックした際に、Graphics Testのスコアが約0.5%低下している点です。一部の処理においては最大4.35GHzまでブーストする定格状態の方が有利な場合もあるようです。

「ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター ベンチマーク」のグラフ。画質が最高品質、解像度がフルHD(1920×1080ドット)、フルスクリーンの設定で計測を行いました。

 「ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター ベンチマーク」も同じようにCore i7-8700Kが有利な結果になりました。このベンチマークも動作クロックの高さが効いているようです。ただし、平均フレームレートで見ると定格状態のCore i7-8700Kが75.121fpsだったのに対し、Ryzen 7 2700Xは74.060fpsと僅かな差です。

 Ryzen 7 2700Xのスコアは定格とオーバークロック状態でほぼ同じスコアを記録しています。このベンチマークにおいては、無理にオーバークロックする必要はないほどに定格状態が完成されている印象です。

「Rainbow Six Siege」のグラフ設定は、画質が最高設定、解像度がフルHD(1920×1080ドット)という設定で計測しました。最少値と最大値は計測ごとのブレがかなり大きいため、平均値のみを採用しています。

 実ゲームとしてはベンチマーク機能が付いている「Rainbow Six Siege」を使用しました。僅かな差ではありますが、動作クロックの高さが平均フレームレートに影響するようで、Ryzen 7 2700XとCore i7-8700Kの差は定格時で0.9fps、オーバークロック時で1.4fpsとなりました。他のタイトルでどうなるかは分かりませんが、数値的にはプレイ上体感できるほど の違いは出ない気がします。

「TMPGEnc Video Mastering Works6」のグラフ。素材はドライブレコーダーで撮影した520MBのフルHD解像度のMOVファイルで、これをMP4ファイルへとエンコードする際の処理時間を計測しました。

 「TMPGEnc Video Mastering Works6」を使用して、H.264形式でのエンコードテストも実施しました。マルチスレッド処理のエンコードだけあって、Ryzen 7 2700Xが全体的に有利な結果となっており、定格状態で5.0GHzにオーバークロックしたCore i7-8700Kと同じタイムを記録しているのは驚きです。この性能を実現するとして、Ryzen 7 2700Xは定格なので付属のリテールクーラーでも問題ありませんが、Core i7-8700Kは1万円以上するハイエンドクーラーが必要となっているので、コストパフォーマンスではRyzenに分があるでしょう。

CPU温度のグラフ

 各テスト中のCPU温度も取得してみました。プラットフォームが違うので単純に比較できませんが、CINEBENCH R15の実行中を覗いて、オーバークロック状態のRyzen 7 2700XがCore i7-8700Kの定格状態よりも低い温度を記録しています。

 これはCPU内部の熱伝導材がグリスではなくハンダな点が影響していると推測出来ます。昇圧しているのにも関わらずCPU温度の上昇が少ないのは、ハンダの熱伝導率の高さが効いているようです。

 定格からオーバークロック設定した際のCINEBENCH R15実行中の温度上昇幅は、Ryzen 7 2700Xが6℃なのに対し、Core i7-8700Kは18℃も上昇しています。データからも読み取れる通り、OCするにあたってはハンダ採用のCPUだと安心感があります。

PCの消費電力のグラフ

 消費電力については、マルチスレッド処理の場合はオーバークロックでスコアーが向上する分、電力が増えてもトレードオフとしては悪くありません。しかし、パフォーマンスが僅かにしか向上していない「ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター ベンチマーク」を見ると、消費電力は26W増えています。使うソフトやゲームタイトルによっては、オーバークロックによってワットパフォーマンスの悪化が懸念されるので、4.2GHz前後での常用は消費電力値とパフォーマンス向上のバランスをしっかりとチェックした方が良さそうです。

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