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VAIOのマシンをシンクライアントとして利用可能に

なぜVAIOは組み込み向けWindowsを、自社製品に取り入れたのか

2018年04月09日 09時00分更新

軽くて持ち運びしやすくスペックも選べる点がSIerに受け入れられた

 シンクライアントシステムの導入には、入口としてのクライアント端末だけでなく、仮想環境で実際に使うOSを運用するサーバーやネットワーク環境の構築が必要だ。初期投資に加え、検証や導入の準備、調整の時間もいる。

 「残念ながら我々はまだVMwareなどを含めた、トータルのサポートができない体制なので、SIerと一緒になったご提案をしている状況です。SIerも当社の取り組みに注目していただいています。軽くて持ち運びがしやすく、スペックも選べる点が、シンクライアントをお求めになるお客さまに対しての新しい提案になると喜ばれています」(宮本氏)

 導入に際しては、計画から含めて1年程度の時間が必要だという。まず検証機を準備し最低でも半年程度の時間をかけて検証した上で、徐々にマシンを導入していく。導入にかかかる時間は、500台の規模であれば3ヵ月程度だ。毎月150台程度に分けて納入する。ここでネットワーク障害やパフォーマンス障害がないかを検証しつつ、問題がなければ次々と機器の導入を広げていくかたちだ。

企業導入時のキッティング装着率は7割を超える

 現在VAIOのキッティングで採用しているWindows 10 IoT Enterpriseは、セキュリティ関連のWindowsアップデートのみに対応し、半年に1度行なわれている機能アップデートには対応しない2016LTSBというバージョンを使用している。シンクライアント機を導入する企業のニーズとして、機能アップデートしないバージョンを望まれているので、このバージョンのみの対応だ。導入時期を何度かに分けたとしても、導入時期によってバージョンが変わることはない。

 メーカーがサポートするキッティングが使えるという利点もある。こうしたカスタマイズは従来、SIerやキッティング専門の会社に委託する企業が大半だった。ここをメーカーであるVAIOが一手に引き受ける体制にできる。エンドユーザーがVAIOと直接コミュニケーションを取って発注すれば、ミスが減るし、納品までのスピードも断然違ってくる。SIerとしても運用面でのサポートに集中することができ、相乗効果が図られている。

↑VAIOが取り組んでいるキッティングサービス。本体生産後すぐに企業向けカスタマイズが行えるので、スピード対応に加え信頼性も高くなる

 「以前は製品を収めたたあとは、お客さまご自身で設定いただく必要がありました。自社の情報システム部で設定したり、キッティング専門会社に委託していただく形です。それをVAIOが引き受けましょうというかたちで始めましたが、この1年で需要が急激に増え、現在では7割ぐらいの装着率でキッティングの依頼を受けています。今後はふつうのPCだけでなく、Windows Embedded OSも扱えることをアピールしていきます。適材適所で最適なものを提供していきたいですね」(宮本氏)

 「当社が法人向けの事業に注力すると決め、除々に立ち上げてきたキッティング事業ですが、一部だけではなく企業様が求めているものを全方位で手掛けたいと考えています」(西澤氏)

 まだまだ、VAIOがWindows Embedded OSが搭載可能なことや、キッティングを行なうということはエンドユーザーに広まっていないのが現状だという。

 「VAIOというブランドが、法人向けのブランドにもなるよう営業活動はもちろんですが、展示会などの場も利用して、さらにアピールを続けていきます。Windows Embedded OSがどのマシンにも搭載できることを知っていただければ、よりニーズが広まっていくと思います」(宮本氏)

 シンクライアント導入を検討している企業や、導入支援をするSIer会社の方は、VAIOに注目すべきだ。

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