週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Twitterアイコン
  • RSSフィード

「全作品」ストリーミング・サービスで解禁

名門ECMついにストリーミングに! 必聴アルバム25選

2017年11月21日 17時00分更新

ECM入門ともいえる「“静寂の次に美しい音”プレイリスト」は、Apple Music、Spotify、AWA、LINE MUSIC、KKBOXにて公開中です

 ECM(Editions of Contemporary Music)は、1969年、ドイツ(当時は西ドイツ)のミュンヘンにて、マンフレート・アイヒャーによって設立されたレコード会社です。

 「静寂の次に美しい音(The Most Beautiful Sound Next To Silence)」を合言葉に、ジャズを主とした作品を次々にリリース。透明感のある音と洗練されたジャケット・デザインで人気を博します。1984年には現代音楽にスポットを当てる「ECM New Series」も開始、いわゆるクラシック音楽も手がけるようになりました。

Image from Amazon.co.jp
ECM catalog

 そんなECMの“全作品”が11月17日からストリーミング・サービス(Apple Music、Spotify、AWA、LINE MUSIC、KKBOX)で解禁されました。すごいことだと思います。聴きまくりたいのに自分の耳が2つしかないことを恨んでいます。

 しかし、編集部で興奮している人たちがあまりいません。最近すっかり当たり前になったストリーミング・サービスに、こんなに充実したディスコグラフィーが加わったのに……。

 悔しいので、「ASCII.jpの読者のみなさまにこの素晴らしさを伝えたい」という願望のもと、筆者がECMレーベルのオススメアルバムを25枚選びました。そんなに選ぶ必要があるのかと思われそうですが、正直に言うとこれでも足りないのです。「あれが入っていない!」「なぜこれを選ぶんだ!」というご指摘もあろうかとは思いますがご容赦ください。

 アルバムはAmazonへのリンクで紹介します。気になったものがあったら、ぜひお使いのストリーミングサービスで検索してみてください(もちろんCDを買ってもいいですね)。

ECMオススメ20選

1.レーベルの看板アーティスト
〜誰もが認める名アルバム

2.ECMらしい音色の名盤
〜レーベルの世界観が伝わる音楽たち

3.“フリー”だけど、それでもECM
〜ちょっと妖しい独自のサウンド

4.通好み? ちょっと変わった作品たち
〜ECMでしか聴けない不思議な空気

5.ECMの“クラシック音楽”
〜バッハから現代音楽まで

レーベルの看板アーティストたち

 まずはECMに所属する(あるいは、していた)人たちの中から、レーベルを代表する有名なアーティストを5人ピックアップ。ECMというレーベルを世に知らしめた代表作から挙げていきましょう。

Keith Jarrett「The Melody At Night, With You」(1999年)

Image from Amazon.co.jp
メロディ・アット・ナイト、ウィズ・ユー

 ECMで一番有名なアーティストといえば、ピアニストのキース・ジャレットということになるでしょうか。即興演奏なら「Facing You」(1971年)「Keln Concert」(1975年)、他にもピアノ・トリオあり、カルテット編成ありと、名盤には事欠きません。

 ただ、これからECMを聴きたいという人なら、これが一番入りやすい作品ではないかと思います。難病の慢性疲労症候群によってリタイアしていた彼が、復帰後、妻に捧げたソロ・ピアノ。よく知られているジャズ・スタンダードを、丁寧に、愛おしく弾いていくさまは、シンプルに聴くものの心を打ちます。

Chick Corea「Return To Forever」(1972年)

Image from Amazon.co.jp
リターン・トゥ・フォーエヴァー

 ピアニストのチック・コリアは、1968年からマイルス・デイヴィスのグループに加入していました。この頃はマイルス・デイヴィスの音が「電化」していた時期でもあり、その流れでコリアもエレクトリック・ピアノを操るようになります。

 マイルスのグループで得た成果を昇華し、全体的にすっきりとした(マイルスの作品と比べれば、というニュアンスですが)音で作り上げた、フュージョンの先駆け的な作品。エレクトリックピアノの透明感ある音色、難解すぎない曲展開やフレーズが聴きやすさに繋がっています。プログレッシブ・ロックが好きな人などにも受け入れられそうな音です(個人的にはカンタベリー系の音に似ていると感じています)。

Pat Metheny「Bright Size Life」(1976年)

Image from Amazon.co.jp
ブライト・サイズ・ライフ

 世界的に有名なギタリストであるパット・メセニー。彼自身がリーダーを務めるグループ「パット・メセニー・グループ」の作品も有名ですが、彼自身の独特なギター(擬音で表すと「ポーン」「ヒューン」みたいな……)を堪能したいなら、初リーダー作のこれではないかと。

 シンプルな編成(ギター、ベース、ドラム)ということもあり、楽器の音がストレートに伝わってくる内容。エレキ・ベースを弾いているのは、伝説的なベーシストのジャコ・パストリアス。「ブヨッ」とした音色が、メセニーのギターと絡み合う様は圧巻です。

Jan Garbarek / The Hilliard Ensemble「Officium」(1994年)

Image from Amazon.co.jp
Officium

 ヤン・ガルバレクはノルウェーのサックス奏者。初期はジョン・コルトレーンに影響を受けたフリーキーな演奏が持ち味でしたが(Freedomレーベルに残した「Esoteric Circle」などが代表でしょうか)、徐々に音の数を減らし、透明感のある音色を聴かせるスタイルになっていきました。

 古楽を中心としたレパートリーを持つ合唱カルテット、ヒリヤード・アンサンブルとコラボレーションした、異色の作品。グレゴリオ聖歌とジャズ・サックスという変わった組み合わせですが、その神々しいまでのサウンドが評判を呼び、ECM最大のヒット作となりました。

Ralph Towner「Anthem」(2001年)

Image from Amazon.co.jp
Anthem

 12弦ギター、クラシックギターなどをたくみにあやつるラルフ・タウナーは、オレゴンとしての活動もよく知られるところ。ECMにも多数の作品を残しており、レーベルを代表するギタリストといえるでしょう。多作ゆえ、どれか1枚となると、なかなか悩ましいところです。

 ギターソロの世界を堪能したいなら、本作がオススメでしょうか。ラルフ・タウナーのギターは、音の一粒一粒が明快で、聴いていて心地よいのですね。演奏技術の高さもさることながら、曲自体の美しさもすばらしい。ECM作品の中のみならず、世に数多あるギター・ソロアルバムの中でも、屈指の内容になっています。

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります