BIOS機能と連携して、セキュリティを高める
そこで出会ったのが「VAIO Proシリーズ」だ。
VAIO Proシリーズには、「Phoenix SecureWipe」が用意されている。VAIOが採用しているPhoenix Technologies製のBIOSが持つ機能で、OSが起ち上がる前にストレージの内容を消去できる。これをリモートから起動できるようにすれば、OS自体の削除も可能になる。この取り組みから生まれたのが、VAIO Pro専用のバーションであるTRUST DELETE Biz for VAIOだ。
TRUST DELETE Biz for VAIOは、サーバー側でVAIOを管理し、万が一のときは消去命令を発行する。VAIO Proがインターネットに接続して消去命令を受け取ったら、フォルダーやファイルの消去だけでなく、再起動してOSが起ち上がる前にUEFIでプログラムが実行され、消去命令をSecureWipeへ渡す。このプロセスを経て、OSを含めたストレージの内容すべてをまるごと消去できるわけだ。消去時間は数秒ほどと短く、セキュリティを非常に高く保てる点も特徴だ。一度消去したデータの復元は不可能だという。
VAIO Proシリーズの利点は、LTEモジュールを内蔵できる点だ。
つまり場所を選ばずにインターネットへ接続できる。そのぶん消去命令を受け取れる可能性も高まる。今後、セキュリティ確保の面でも、LTEモジュール内蔵タイプを利用するのは、テレワークをする上で必須事項になりそうだ。
ただ、それでも現段階のバージョンは、Windowsが起動してインターネットにつながった状態にならないと消去命令を受け取れないため、そこにタイムラグが発生してしまう。そこで今後搭載を予定しているのが、SMSに対応したSIMを利用し、プッシュ式に消去命令を送る機能だ。SMSを使えば、インターネットに接続しなくても、電源が入ってOSが立ち上がればログインしていなくても消去命令を受け取れる。受け取ればすぐに削除を実行するため、情報漏えいするタイムラグを短くできる。
以前は、通話機能がないとSMS対応のSIMを契約できなかったが、現在は格安データSIMでSMS対応が契約できるため、非常に安く運用できる。対応は2018年春ぐらいの予定だが、アップデートで対応可能になるため、今から導入して運用開始しても問題ない。
週刊アスキーの最新情報を購読しよう