第190回
GeForce TITANXとGTX980Ti、GTX980を圧倒する驚異のワットパフォーマンス
Pascalスゴすぎ!VRゲーミング世代の“新たな王”「GeForce GTX 1080」をベンチマーク
【特徴5】DisplayPort1.4&HDMI2.0bに更新され、HDR出力もサポート
GTX1080のもうひとつのテーマは新ディスプレー技術への対応だ。HTC『Vive』を筆頭とするVRHMDへの技術的適応もさることながら、HDR出力対応も盛り込まれた。HDRっぽいレンダリングを行なうゲームはこれまでにもいくつかあったが、GTX1080はDisplayPort 1.4およびHDMI2.0bを採用することで、HDR対応液晶にHDR映像を直で出せるようになった。明るいところはより明るく、暗いところはより深い暗さを表現できる高クオリティーな映像が堪能できるようになる。
HDMIは2.0aでHDR転送に対応しているが、HDMI2.0bとの具体的な違いは不明だ。どの規格を使うにせよ、受け側の液晶もこれに対応している必要があるため、将来に向けた投資というべき機能だ。
GTX1080ではゲームプレイだけでなく、動画に関してもHDR対応が始まった。4Kでリフレッシュレート60Hz、10bit階調のH.265/HEVCのエンコード・デコード機能を搭載。また、デコードのみ12bit階調にも対応している。さらに面白いのは、同社製Androidデバイス『SHIELDコンソール』にも10bitのH.265/HEVCのデコードとHDRへの出力が搭載されているため、GTX1080を搭載したゲーミングPCの画面をSHIELDデバイスを経由させ、HDR対応TV上でストリーミングプレイすることも可能になる。
【特徴6】プリエンプション対応でAsync Shaderに対抗
GeForceもRadeonも現行主力モデルはDirectX12対応済みだが、共通しているのはDirectX12のコア部分のみ。両者の差異の中でAMDがRadeonの強みとしてずっと言い続けているのが、Radeonには「Async Shader」と呼ばれる機能があるためDirectX12環境では圧倒的に優位である、ということ。
このAsync Shaderとは、GPUの描画処理とコンピュートタスク(演算処理)という性格の違う処理を並列に実行する機能だ(これが“Async”、つまり非同期処理)。一方で、これまでのGeForceでは描画処理とコンピュートタスクはGPUリソースを奪い合う極めて相性の悪い存在だった。コンピュートタスクはゲーム画面のポストプロセス処理はもちろん、VR処理においての要となるため、GeForceは不利だとされていた経緯がある。例えば、ViveやRiftの動作環境にもそれが現われている。
しかしGTX1080では、描画処理やコンピュートタスクの処理中に優先度の高い処理を割り込ませて、終了後に元の作業に戻るという「プリエンプション」に対応した。RadeonのAsync Shaderよりも効率は劣るものの、GeForceの大きな欠点がこれで解消されたことになる。特にVR環境では対象物とのインタラクトに物理演算をしっかり使わないと、快適に遊べる“リアルな仮想空間”を演出できないが、それを具現化するのはGTX1080(もしくは後発のPascal世代)ということになる。
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