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伝説的なキーボード、HHKB新モデルが乾電池駆動である理由

2019年12月11日 16時00分更新

文● 松村太郎(@taromatsumura) 編集● ASCII編集部

筆者もお気に入りのHHKBに新モデルが登場

 筆者は、お気に入りのものはありますが、どちらかというとキーボードの好き嫌いを言わない方です。

 不評だったMacBook Proのバタフライキーボードもなぞるようなタイピングは楽だったし、新しい16インチMacBook ProのMagic Keyboardも使いやすい。一方でiPad Proで仕事をする時間がどんどん長くなり、Smart Keyboardのペタペタタイピングも楽しんでいます。

 しかし長年手放せずに使い続けているのが、PFUの伝説的なキーボード「HHKB(Happy Hacking Keyboard)」です。筆者はこれまで、「HHKB Professional 2 Type-S」という静音・高速タイピング仕様を好んで使っていました。

 そのHHKBが満を持してリリースした新モデルが、12月10日発表の「HHKB Professional HYBRID」「同Type-S」です。

ついに新型になったHHKB。これまでのコンセプトは守りつつも、Bluetooth&USBへの両対応になっています

 HHKBは高級キーボードの部類に入り、販売価格は3万円を超えます。しかしシリコンバレーのエンジニアやアジア方面のeスポーツ選手など、高級キーボード市場が広がる前から販売され、すでに累計50万台を記録したそうです。長く愛される優れたデザイン製品に贈られるグッドデザイン賞ロングライフデザイン賞という、非常に獲得が難しい賞に輝いています。

 HHKBは心地よい静電容量無接点方式のキー、コンパクトでポータブル、合理的なキー配列、そして高耐久性をうたい、PCが壊れてもデバイスが変わっても、キーボードだけは手になじんだモノを使い続ける。そんなコンセプトが貫かれています。

 今回のHYBRIDモデルはUSB-Cポートが追加され、有線接続とともに4台までのBluetooth接続を切り替えられる仕組みを備え、複数の場所、複数のデバイスで使える利便性が高まりました。まさに、肌身離さず持ち歩く仕事道具としての性格が強まっています。

この時代に乾電池採用……?

 昨今、プレミアムキーボード市場は拡大しており、2022年までに6億5000万ドルを超えると見られています。中でもメカニカルキーボードを搭載した無線接続モデルは人気があり、コンパクトでミニマムなキーボードというHHKBのコンセプトが、20年以上遅れて世界に広がっているようにも移ります。

 そして新世代のプレミアムキーボードには、USB-Cとリチウムイオンバッテリーが備わり、長時間の無線接続を実現しつつ、メカニカルスイッチやレーザースイッチによる高いレスポンスを実現するものも出てきました。

 HHKB HYBRIDはUSB-Cポートこそ搭載したものの、リチウムイオンバッテリーは内蔵せず、HHKB Professional BTと同じように「単3乾電池」2本によって3ヵ月駆動できるという仕様に据え置かれました。その点に対しては、発表会を見守っていた人々からも残念という声が上がっていました。

キーボードの奥側に単3×2本が入れられるようになっています

 確かにリチウムイオン電池は、現在のスマートフォンにとって、あるいはウェアラブルデバイスにとって、さらに電気自動車にとっても重要なモバイルパワーソースです。モバイル性がコンセプトにありながら、なぜリチウムイオン電池を搭載しなかったのでしょうか。

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