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サイズの常識を超えたスケール

圧倒的低域のワイヤレススピーカー「PHANTOM」を開発するフランス・デビアレ

2018年09月14日 17時30分更新

 フランスのデビアレ(Devialet)は9月6日、ワイヤレススピーカー「PHANTOM」の日本展開に伴い、フランス大使公邸で製品発表会を開催した。

 Devialetは、創業10年ほどの新興オーディオメーカーだ。国内でも輸入代理店経由で、鏡面仕上げの薄型アンプ「D-Premier」などハイエンドの製品を入手できた。PHANTOMについても海外を中心に支持を集めており、各賞を受賞するなど高い評価も受けてきた。海外ではハロッズなどの百貨店、アップルストア、MoMa Storeなどのミュージアム系ストアなど幅広い展開をしている。

海外の販売拠点

販売展開例

 PHANTOMの販売に先立つ形で、デビアレは、国内拠点Devialet Japanを設立済み。アジアでは香港・シンガポール・台湾に続く4番目の拠点。販売チャネルは現状、伊勢丹の新宿店および二子玉川の蔦屋家電のみと厳選している。製品も当面はPHANTOMのみだが、今後はハイエンドのアンプ製品に関しても取り扱っていく計画だという。

 PHANTOMは非常に特徴的な外観のワイヤレススピーカーだ。取材した範囲では、無線LANやBluetoothを搭載。AirPlay、Spotify Connectを利用した再生も可能だ。底面に有線接続用の光デジタル入力とEthernet用のRJ-45端子があり、UPnPを利用したネットワーク再生なども可能とのことだった。スマホアプリ「Spark」も用意されている。対応フォーマットに関してはMP3、AACなどのほかFLAC、Apple Lossless、OggVorbisにも対応。ARM系のデュアルコアSoCであるCortex-A9 MPC-800MHzに加え、FPGA(Cyclone V)も内蔵しており、DACは192kHz/24bitの再生に対応するようだ。

底部に有線タイプの端子も用意している。

 側面から見た形状は楕円形で、何となくカタツムリを思わせる。本体サイズは幅253×奥行き343×高さ255㎜で、重量は11.4kg。3ウェイ構成となっており、前面にツィーターとミッドレンジを同軸配置。両側面に対向配置したサブウーファーを持つ。低音ソースを多く含んだ楽曲を大音量で再生する際には、プラスチック製(外側はABS、内側はポリカーボネート配合のグラスファイバー)の外装の左右が開閉してぶるぶると震える。かなりインパクトのある様子となる。

PHANTOM(写真はGOLDモデル)

 手で軽く持てるほど小型のサイズではあるが、アンプの出力は最大4500W(GOLDモデルの場合)と膨大。最大108dBとライブ会場のPAシステム並みの音量が出せるとする。再生可能な周波数帯域も14Hz~27kHz(GOLDモデルの場合)とかなり低い帯域までカバーする。ひずみについても-112dBと低い水準に抑えている。

 国内投入するのは標準モデルの「THE NEW PHANTOM」(24万9000円、1200W、16Hz~25kHz)、中位の「SILVER PHANTOM」(31万9000円、3000W、16Hz~25kHz)、上位の「GOLD PHANTOM」(39万9000円、4500W、14Hz~27kHz)の3モデルで、GOLD PHANTOMのみツィーターがチタン製(ほかはアルミ製)となる。ほかにスタンドやリモコン、マルチルームを実現するためのハブ、キャリングケースなどがオプションとして用意されている。

三脚タイプのスタンドに設置したところ。デザインの楽しさもある。

純正のキャリングケースもある

マルチルームなどを実現するためのハブ

壁掛け設置も可能だ

スタイリッシュなリモコンも

 ラインアップとしては、標準モデルのほか、SILVER、GOLDの上位モデルがあり、パリのオペラ座とコラボした限定モデル「GOLD PHANTOM Opera de Paris Exclusive Edition」もリリースしている。オペラ座の建物の上方に備え付けてあるナポレオン像のメンテナンスも手掛ける、Atelier Gohardによる金箔を貼り付けたカバーになっている。Devialetは、昨年10月からパリ・オペラ座内に専用のストアも開設しており、ここでは円形の室内を囲うように16台、中央に1台のPHANTOMを設置し、個々がオーケストラの1パートを担当する形で音楽を再生するといったデモも実施しているそうだ。

スタンドに設置したところ

 デビアレの製品では、A級アンプの品質をD級アンプ並みの効率性と省サイズで実現することを目指したADH(Analog Digital Hybrid、PHANTOMではこれを1cm角のASICに収めたADH2 intelligenceを採用)、SAM(Speaker Active Maching)というスピーカーユニットに最適化した信号処理、HBI(Heart Bass Implosion)という対向配置したサブウーファーと球形の筐体によって定在波などによる減衰がなく下まで伸びた低域の再現などが特徴となっている。

 これらには特許技術も含まれるが、デビアレは他社に対してもこれらの技術をライセンス供与しており、英国の放送事業者であるSKY向けに、セットトップボックスと連携して使用できる低価格かつ小型の箱型スピーカーなどを提供している。小型でも音の広がり感を出すため背面から壁面の左右に向けて音を放射するなど、凝った作り。対向配置したウーファーを3基搭載することで、筐体サイズから見れば驚くほど豊かな低域も鳴らせる。

SKYと共同開発したスピーカー

 発表会にはデビアレの担当者のほか、在日フランス大使のローラン・ピック氏、エイベックスのグループ執行役員である加藤信介氏、三越伊勢丹 伊勢丹新宿点 新宿リビング・ソリューション・IDS営業部の梅田大輔営業部長などが次々と登壇し、その音の魅力などについて紹介した。実際デモでは驚くほどの低域の量感と、くっきりはっきりとした解像感が高く、硬質なサウンドを見せつけ、来場者の驚きを集めていた。

フレンチテックの先進企業として、フランスを代表する企業であるLVMHやFOXCONNなど様々な企業から出資を受けている。

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