2018年09月13日09時00分

日本でも400社が採用するWorkdayの強みは「パワー・オブ・ワン」

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 人事システムをクラウドで提供するSaaSベンダーのワークデイ(Workday)。グローバルでは人事クラウドの代名詞的存在だが、日本ではまだ認知が低い。それでも、日立製作所をはじめ顧客数は400社に達する。日本法人を率いるロブ・ウェルズ(Rob Wells)氏が目指すのは、単なるSaaSベンダーではなく「信頼できるパートナー」だ。

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2018年初よりワークディの代表取締役社長として日本事業を統括するロブ・ウェルズ氏

人事クラウドNo.1を謳うWorkday、日本でも400社が採用

 9月7日、日本法人のワークデイは大阪でプライベートイベント「Workday Discover Osaka」を開催、ウェルズ氏は集まった関西の潜在顧客にWorkdayを紹介した。Workdayを2005年に創業したのはPeopleSoftを共同創業したアニール・ブースリ(Aneel Bhusri)氏とデイブ・ダッフィールド(Dave Duffield)氏だ。OracleによるPeopleSoftの敵対的買収の後、クラウドで人事分野に再挑戦して生まれたのがWorkdayだ。それから13年、WorkdayはAmazon、Netflix、Hewlett Packard Enterprise(HPE)などの大手がこぞって選ぶ人事システムとなった。Gartnerのマジッククアドラント(中規模企業及び大企業向けの人事クラウドシステム分野)でもリーダーに位置付けられている。

 実際の数字を見てみよう。売上高は前年比30%程度で伸びており、5億6600万ドルに達している。Fortune 500企業の30%がWorkdayを選ぶなど、顧客数も2200社に達しており、実際にWorkdayを利用するユーザーは3000万人程度と見積もっている。このようなこともあり、Forbesが先に発表した「世界でもっとも革新的な企業100社」でWorkdayは堂々の2位となった。だがウェルズ氏は「それよりも、上位10社中8社がWorkdayを採用していることが重要」と笑う。ちなみに上位10社はWorkday(2位)のほか、ServiceNow、Salesforce.com、Tesla、Amazon、Netflix、Incyte、Hindustan Unilever、Naver、Facebookとなっている。

 日本ではすでに400社以上の顧客を抱える。当初はグローバル企業の日本支社などが中心だったが、このところ日本企業も増えている。「(日本では)毎日25万人ぐらいがWorkdayを利用している」とウェルズ氏。その1社が日立製作所だ。

 ウェルズ氏によると、日立はグローバル化、イノベーションの促進という2つの目標に対して、Workdayをプラットフォームに選んだという。システムはすでに本稼働を始めており、同社が日本と世界で抱える30万人以上の従業員の1/3が利用しており、日本では1月に稼働に入った。「従業員のスキルを把握することで、世界に自社が抱える人的なリソースを理解することができる」とウェルズ氏はWorkdayがもたらすメリットを挙げた。

日本企業ならではの課題はパートナーとして解決する

 だが、ウェルズ氏は日本企業の課題も指摘する。Workdayは7月、企業の経営層を対象にどのような課題を感じているのかの調査をITRと共同で行なったが、そこではあるギャップが浮き彫りになったというのだ。

 3000人以上の従業員を抱える約260社の幹部、人事やITのリーダーに聞いたところ、人事部門が期待するIT投資目的としてもっとも多く上がったのは「従業員の働き方改革」(43.1%)だった。だが、「タレントマネジメントの強化・高度化」と「グローバル対応力の強化」はもっとも低い。人事や経営システムに対するIT部門の関わりについても、ITはインフラの支援役であり、戦略的な企業の将来という点では関与が薄いことがわかったという。

 「経営陣は”組織と人財のパフォーマンスや管理”など人財を取り巻く課題に対する関心は高い。だが、人事とIT部門の優先順位との間にギャップがある」とウェルズ氏。「ビジネスプロセスを改善したり生産性を強化することは日本企業にとって重要な課題だが、そこを加速する人事とITに対しては十分なフォーカスがなされていない」と続ける。

 ここでWorkdayはパートナーとなり、変革を支援できるとウェルズ氏は語る。

データも1つ、バージョンも1つ

 ではWorkdayの強みはなんだろうか? ウェルズ氏は「計画、計画の実行、実行結果の分析が1つのプラットフォームで行なうことができる」と説明する。

 バラバラのシステムにあるデータを取り出してExcelに入れるなどのプロセスと比べると、作業がスムーズであるのはもちろんだ。それだけでなく、データ漏えいなどのリスクも削減できる。「Workdayは統合された環境がある。データのバージョンは1つ、ユーザーインターフェイスもPC/Web、スマートフォン、タブレットで同じで、同じセキュリティモデルがある」とウェルズ氏、Workdayはこれを「パワー・オブ・ワン」とし、重要な差別化としている。

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「パワー・オブ・ワン」――人事に加え、分析、プランニング、ファイナンシャルなどのモジュールもあり、1つのシステムで実行、分析、計画を行うことができる

 これらは、基盤のアーキテクチャとユーザーインターフェイスを分離することで実現しており、アプリケーションを修正することなく土台技術の性能や拡張性を改善するなどのことができる。迅速なモバイル対応、さらには機械学習や自然言語処理などの新技術も迅速に導入できるという。顧客のメリットはそれに止まらない。ウェルズ氏によると、最新版へのアップグレードは3時間以内に完了するとのこと。顧客は年に2回公開される最新版を無料ですぐに利用でき、新しい技術を使える。全員が同じ最新版を使うためコミュニティの結束も強く、Workdayを導入する企業同士がベストプラクティスを共有するなどの動きが活発に起こっているとのことだ。

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デモでは、残業時間を集計すからデータを深掘りする様子を見せた

 デモではあるグループの残業時間が長いことがわかり、その中の特定のグループに絞り、さらに個人レベルで残業時間をチェック。負荷が集中している人が優秀な人財なのかなど、タレント情報を同じプラットフォーム上で組み合わせてみる、などが可能だ。その人の勤務、報酬に関する情報もその場で把握できる。

「人財が中心の企業向けソフトウェアに取り組んできた。ユーザーがシステムに合わせるのではなく、システムがユーザーに合わせることができる」とウェルズ氏は語る。

人事にも入ってくる機械学習

 ウェルズ氏はWorkdayの最新の取り組みとして、機械学習、自然言語処理(NLP)を紹介した。コンシューマー技術と組み合わせることで、ある営業担当が会社に戻ると、システムが電話の件数、メッセージの件数、メールの件数などとともに、その中にCEOから営業レポートの依頼があることも知らせる、といったことが今後の方向性という。

 実際の機能強化としては、2年前にリテンション(離職対策)リスクを見る機能を導入した。OCRスキャンに対応することで、レシートを撮影するだけで支出システムへの入力が可能になるなどのことも実現している。音声によるやりとりを可能にする「Workday Assist」、外部データを利用して分析ができる「Workday Prism」なども発表している。

 Workdayがこだわるのは顧客満足度だ。「現在98%を達成している」とウェルズ氏は胸を張る。高い満足度の背景として、企業が課題を抱えている時にどうやって対応するのかを重視しているとするほか、「ハッピーな従業員」へのフォーカスも明かす。「従業員がハッピーなら、顧客もハッピーになる」とウェルズ氏。社員重視の考え方は、タレントマネジメントのWorkdayならではといえそうだ。実際、各種の働きがいのある会社のランキングの上位にランクインすることも多いという。

 ウェルズ氏は最後に、信頼できるパートナーになるために心がけていることとして、「SaaSだから顧客は必要な時に必要な機能にアクセスできる。ダウンタイムゼロを目指しており、9月にリリース予定の最新版(「W31」)でも3時間以内に全顧客が最新のものを利用できるようにする。顧客はこれまでシステムに費やしていたリソースと時間をデジタル化などの取り組みに当てることができる」と語り、「顧客の成功がWorkdayの成功」と呼びかけた。

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