2018年09月12日17時00分

公的機関こそ災害時はSNSを即座に使うべきなのではないか

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アスキーキッズ

 9月6日に発生した平成30年北海道胆振東部地震はその地震規模が大きかっただけでなく、「北海道内全域」というとても広い範囲で、長時間の停電が発生したことによる影響はとても大きなものでした。

 とくに、地震発生からしばらく間は、停電が解消される見込みが全く立たなかったことから、いつ停電が解消されるのか?という不安と、情報を得るための手段として欠かせないスマートフォンなどの電子機器のバッテリー残量がいつまでもつのか?という不安が重なりました。

 東日本大震災より後に発生した最近の自然災害では、仮に停電が発生したとしても、その影響を受ける時間が比較的短かったことで、震源地に近かった場所であっても、テレビやラジオより、スマートフォンをはじめとするネットを使った情報収集がメインになっていたように感じます。

 ただ、今回のように、広い地域で長時間の停電となったことによって、ネットだけでなく、携帯型のラジオも活用して情報を入手する手段も備えておく必要性を改めて感じた人も多かったかもしれません。

「あたかも信憑性があるデマ」がネット上に広がる

 こうした自然災害が発生するたびにメディアで取り上げられるのは「ネット上におけるデマ」の問題です。今回の災害でもネット上でデマが広がり、その情報がテレビやラジオ、自治体や公的機関の公式WEBサイトやTwitter上でのちに否定されるシーンがいくつか見られました。

 例えば「厚真に居る自衛隊の方からの今来た情報です。地響きが鳴ってるそうなので、大きい地震が来る可能性が高いようです。推定時刻5〜6時間後との事です!!」という地震を予知するものや、「NTTの方からの情報です。只今道内全域で停電しているため電波塔にも電気がいかない情報なので携帯電話もあと4時間程度したら使えなくなる可能性がでてきたそうです」という通信インフラに関するもの、さらには「札幌市内全域が断水している」という生活インフラに関するものがネット上に大きく広がりました。

 これらの情報は結果的にデマの情報であるとして否定されることになりました。しかし「地鳴り」や「4時間で携帯電話が使えなくなる」の情報の共通点は、「○○の方の情報です」と公的機関の人から話を聴いたと前置きされた情報であったことです。

 これまでは単なる推測がデマにつながることが多く、情報の受け手である私たちもある程度の疑問をもって情報に接するようになりました。しかし、今回のケースでは「あたかもその情報に信憑性がある」かのように感じてしまうものがほとんどでした。

 自然災害の影響を受け、冷静に情報を判断することができない状況下において、こうしたあたかもその情報に信憑性がありそうなものを、結果的にその情報を信じてしまい、他の人へもその情報を拡散してしまいそうになるのは仕方がないようにも感じます。

 ただし「“伝聞”と“推測”の情報は、正直に受け取ってはいけない」ことを改めて認識をしなければならないのです。

デマはより高度なものに。さらなる見極めの力も求められる

 こうした「あたかも信憑性があるように感じてしまう伝聞による情報」はTwitterでツイートした本人も悪意が無く、善意で発信したつもりでも、結果的に誤ったものとしてまたたく間に広がってしまいます。

 最近では仮に誤った情報がTwitter上で拡散されてしまったとしても、テレビやラジオをはじめとしたメディア、自治体や公的機関の公式WEBサイトやTwitter上にて打ち消される「自浄作用が早い段階で生まれるようになった」と感じます。

 これによって「最初から混乱をさせることを目的とした悪意がある情報」や、そもそも悪意はなく「善意で情報を投稿したものが結果的に誤りとなる情報」、「投稿当時は正しい情報であったものの、時間の経過によって誤りとなる(古くなった)情報」は、ある程度見極めがされるようになりました。これはとても良いことだと思います。

 ただ、今回広がってしまったデマは「○○の人からの情報です」というあたかも信憑性があるように感じてしまう伝聞による情報がほとんど。私たちは、これまでよりも「この情報は本当に正しいのか?」と判断する高度な見極めの力が求められました。

 情報の受け手である私たちは、どんな情報であっても「自治体や公的機関の公式WEBサイトやTwitterなどで必ず確認する」ことが大切です。また、正しい情報が出てくる前にその判断をしなければならないときもあります。その場合には、自治体や公的機関の公式WEBサイトやTwitterで発信された情報以外は「すべて未確認である」という理解を深めることが大切です。

自治体や公的機関はデマを出させない「先手」の情報発信を

 その一方で、自治体や公的機関の公式WEBサイトやTwitter上で「デマが流れてしまった後に訂正をするという情報発信のかたちそのものを変えていなければならない」のかもしれません。

 つまり、デマを打ち消す「後手」の情報発信でなく、デマを出させない「先手」の情報を発信することを、自治体や公的機関は災害発生時の対応のひとつとして組み込むべきだと思います。

 こうした災害では、被害を受けた自治体や公的機関は、混乱が起きているなかで寄せられる情報をもとに、寄せられた情報を現地へ赴き確認する作業のほうに労力をとられてしまうことがほとんど。つまり、ソーシャルメディアでの情報発信まで手がまわせないことが多いのが現実です。このため、自治体や公的機関が非常時にソーシャルメディアで正しい情報を伝えていくことが難しく、これまで災害時の課題としてずっと抱えていることは私たちは理解しています。

 しかし、今回のような「あたかも信憑性があるように感じてしまう伝聞による情報」に対しては、情報の受け手である私たちだけで回避していくだけでなく、自治体や公的機関によるデマを出させない「先手」の情報発信が今後は不可欠になってくると感じました。

ライブメディアクリエイター
ノダタケオ(Twitter:@noda

noda

 ソーシャルメディアとライブ配信・動画メディアが専門のクリエイター。2010年よりスマホから業務機器(Tricasterなど)まで、さまざまな機材を活用したライブ配信とマルチカメラ収録現場をこなす。これらの経験に基づいた、ソーシャルメディアやライブ配信・動画メディアに関する執筆やコンサルティングなど、その活動は多岐にわたる。
nodatakeo.com

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