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法人向けには、企業から個人への支払い「受け取り」がペイパルで可能に

クレカレス決済にも柔軟対応 ペイパルが銀行口座と連携

2018年07月05日 06時30分更新

 6月25日、ペイパルが新機能発表会を開催。これまでクレジットカードでの支払いのみとしていた同サービスにおいて、銀行口座での支払い、さらには資金のやり取りが可能になる機能が追加される。

 クレジットカードを持たない、または心理的な壁がありオンラインで使いたくない国内ユーザーとのビジネス機会の創出に加えて、企業にとってはコンビニ決済などの未入金リスクを防ぐ形の新機能となる。現金・クレジットカードに加えて新たなコンバージョンの機会が単純に増えるほか、ビジネス面ではリアルタイムでの入金やデータ突合での省力化にもつながるようだ。

ペイパル カントリーマネージャー曽根崇氏

個人ユーザーのためのカジュアルな決済タッチポイントへ

 今回の新機能は、主に個人向けと法人向けでの2点。

 まず個人向けについては、これまでペイパルは主にクレジットカード情報への紐づけによる利用が基本だったが、支払いの部分で銀行口座での紐づけが可能となる。後述する対応銀行の口座をペイパルに連携させることで、クレジットカードを持たないユーザーも銀行口座の振替機能を使用してペイパルが利用可能となる。

ファイルアップロードやAPIを使って複数アカウントへの一括送金を行なう「ペイアウト」サービスを利用

 これは従来法人向けに提供していた「ペイアウト機能」をより使いやすくすることで、オンラインショッピングを対象とした「支払い」に加えて、個人ユーザーがペイパル口座で簡単に支払いを受け取れるようになる形だ。

 ペイパル利用時、銀行口座での振込手数料負担はなくなり、毎月定額の支払いも可能。いちいち銀行口座からの振り込みもなくなり、さらにペイパルならではの特徴となる買い手保護制度も適用される。

 対応スケジュールとしては、7月から8月にかけて順次コンシューマー向けに展開される。ログインをすればその対象かどうかわかる順次での対応となる。なお、口座振替での買い手は個人に限定される。

 振替機能として対応する銀行は、みずほ銀行、三菱UFJ銀行、三井住友銀行、りそな銀行、埼玉りそな銀行、ゆうちょ銀行など(6月25日時点)。銀行口座からペイパル口座へのチャージはできない。今回はあくまで法人とのやり取りを対象としたものであり、日本国内マーケットでの個人間送金には対応していない。

 特に日本においては、クレジットカードを使いたくがないためのコンビニ決済など、企業にとっての支払いリスクへの対応が見込める。ECやチケットサービス、教育コンテンツにおける回収漏れ、入金率アップ、スムーズな入金管理といった、銀行口座とつながった仕組みへ期待する企業での事例も会場では発表されていた。

既存の買い手から売り手だけでなく、
企業から個人への支払い「受け取り」が可能に

 コンシューマーでのメリットでは、カードを使いたくないユーザーでもペイパル機能が使えるというのが一番大きいが、これは法人にとってもメリットがある。

 上記の振替機能に加えて、昨今のシェアリングエコノミー普及により増加している個人事業主などに対してペイアウト機能を使いやすくすることで、企業から個人宛ての支払いが簡単にできるようになるのがペイパル新機能の2点目だ。

 個人ユーザーは1回あたり10万円までの支払いの受け取りができるほか、対応する銀行口座とオンライン連携することで、1回あたり100万円までの支払いの受け取りや銀行口座引き出しが可能になる。

 企業側から見ると、個人のペイパル口座(メールアドレス)と金額を指定するだけで簡単に支払いができる。また国内外にリアルタイムで支払うことができるうえ、API連携による手続きの自動化でコストの削減にもなる。

 このようなニーズは、「購入」や「消費」ではなく、「報酬の支払い」といった観点にあるという。支払いを受ける立場に個人がなりやすい現在、クラウドソーシングや副業といった場面がどんどん増えている。企業は多くの個人に支払いをする機会がより増えていくため、管理の手間も増えるというわけだ。そういった需要に対して、たとえば支払い指示はCSVファイルやAPIでペイパルから自動連係できるため、実質無制限での送付先に一斉支払いも可能だ。

 こちらの対応タイミングは7月以降で、申し込みがあった企業で利用が可能。本人確認不要で1回10万円という制限付きで受け取り可能となる。すでに連携している銀行6行は瞬時に支払いができるという。

 利用手数料については、支払い元となる企業から徴収。既存の人件費や業務やり取りでの手間やコストを省く部分で間接的な費用削減を狙う。利用想定先は、C2Cでのマーケットプレイス、クラウドファンディング、マーケティングプラットフォームなど。企業側の支払いにかかるコストとしては、1回の決済につき120円もしくは2%の手数料のみとなる。

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