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Gunosyの新規事業を率いる20代のマネージャーに聞く

チームマネジメントはヘコむことも多いけど、自らの血肉になる

その会社にはその会社ならではの働き方がある。みんなの働き方改革・業務改善を追う連載「私たちの働き方カタログ」の第24回は、情報キュレーションサービスを提供するGunosy。新規事業である「LUCRA(ルクラ)」のマネージャーを務める20代の渡辺謙太氏にチームビルディングについて聞いた。

Gunosy LUCRA事業責任者 渡辺謙太氏

課題はつねに出てくるので、振り返りを繰り返す

 働き方改革で大きな鍵となるマネージャーのパフォーマンス。経営層から事業面でのプレッシャーを受け、現場のメンバーからはプロジェクトの進め方や働き方について突き上げを食らうことも多い。チームビルディングや組織作りの書籍が飛ぶように売れることからも、板挟みになりがちなマネージャーの悩みの深さが見え隠れする。

 今回取材したGunosyの渡辺謙太氏は、ディープラーニングの研究で名を馳せる東京大学の松尾研究室に所属していた学生時代からインターンとしてGunosyに参画。2016年入社後は、女性向けアプリ「LUCRA」の立ち上げメンバーとして開発を手がけ、現在は入社3年目にしてLUCRAの事業責任者を務める。「もともと事業を作りたいという想いでGunosyに入ったので、経営陣にその熱意を買ってもらったんだと思います」と渡辺氏は語る。

 どのようにチームをリードしているのか? 渡辺氏は、「単純に言うと、メンバーからの意見・課題の吸い上げと方針の共有。そして、これを実現するための対話の繰り返し」と説明する。事業のゴールと課題、いつまでに課題を解消するかなどをメンバーに共有し、アクションに対しての動機付けを行ない、実行の障壁をメンバーといっしょに壊していくという取り組み。現在掲げている「LUCRAユーザーを増やす」という目的に向け、チーム内で日々コミュニケーションし続けるという作業の繰り返しだ。

 たとえば長期的な目的に関しては、チーム全員で月次の振り返りを実施。期初には今期集中する部分を共有し、もっと細かい単位では来週やることを金曜日のミーティングで共有している。「大きい会議室を使うこともあるし、スタンディングスペースでさくっとやる場合もあります」とのことで場所もいろいろ。議事録はGoogleドキュメントで作成し、Slackでいつでも見られるようにしているという。

 やってよかったのは振り返りの時間と回数を増やしたことだ。「プロダクトにおいても、組織においても、課題はつねに出てくるので、完璧な状態はない。やり方をどんどん変えていかないと、うまくいかない。こうしたコンセンサスをチームできちんと共有し、つねに振り返る体制を作ったのはよかったと思います」と渡辺氏は語る。

事業を作りたい願望があるからがんばれる

 ここまで聞くと、「東大卒のできる若者はマネジメントも得意だった」という美談に終わりそうだが、実際は「大変なことだらけで、日々困っている」(渡辺さん)という。

 一番大変なのは、やはり事業のフェーズが日々変化すること。チームのメンバーが増減したり、開発の方向性や目標設定などが変わると、今までのやり方がすぐにワークしなくなる。「朝会1つとってみても、5人だったらこの方法がよかったけど、10人になるとちゃんと方針が行き渡らなくなるとか。メンバーの納得感が得られないまま、ある程度労力がかかる開発を手がけてしまったこともある。いつも失敗だらけです」(渡辺氏)と反省するしきり。

 とはいえ、LUCRAを手がけるコアメンバーは渡辺さんと同じ20代がほとんどなので、振り返りもやりやすい。「振り返りって、自分やチームの悪いところを認め、それを修正していくという作業なので、やはり素直じゃないとできない。その点、うちの若いメンバーは素直なので、本当に助かっている」と渡辺氏は語る。もちろん、経験がないデメリットもあるが、経験を詰ませることであっという間に吸収してくれる。この素直さと吸収力の速さが今のLUCRAのチームを支えているという。

 「マネージャーって、上からも下からもプレッシャーありませんか?」と聞くと、渡辺氏は「めちゃめちゃあります(笑)」と即答するが、それは自らの血肉になるという。「自分の場合、事業を作りたいという願望があるので、ある意味、大変な経験はやりたくてやっているようなもの。もちろん、自分の能力のなさでヘコむことも多いですが、立ち返ると自分のやりたいことやってるなと思います」という渡辺さんのマネジメントに対する考え方は、悩み多い世のマネージャーに伝えたい言葉だ。


会社概要

情報キュレーションサービス「グノシー」と、KDDIと共同で提供する無料ニュース配信アプリ「ニュースパス」、 女性向け情報アプリ「LUCRA(ルクラ)」、その他メディアの開発及び運営を機械学習を用いた独自のアルゴリズムで行なっている。2018年にはオリジナルコンテンツでライブ動画の配信もスタート。ブロックチェーン技術の研究など、最新テクノロジーのビジネス活用にも積極的に取り組んでいる。

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