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プログラミングほぼ未経験の女子中学生と一緒に挑戦:池澤あやかの自由研究

2018年05月27日 10時00分更新

文● 池澤あやか 取材● 中山智 編集● 三宅/ASCII

プログラミングほぼ未経験の女子中学生と一緒にmicro:bitのプログラミングに挑戦してみた!

こんにちは、池澤あやかです。

2020年からの小学校プログラミング必修化に向け、日本でもプログラミング教育のあり方について、しばしば話題にあがるようになりました。

プログラミング教育において最も大切なことは、教育の過程で「プログラミングは楽しい!」という認識を子どもたちが自然に持てる環境をつくることだと思います。

「プログラミング、少し齧ったことあるけど挫折した」という経験をお持ちの方の中には、初めて触れるプログラミング言語が難しすぎてついていけなかったという方も多いのではないでしょうか。

つい先日、私は「これなら誰でも楽しくプログラミングを学べるのでは?」と感じるあるモノと出会いました。それが「micro:bit」というイギリス生まれの教育用マイコンボードです。

イギリスでは、さまざまなプログラミング教育用のサービスやツールが生まれ、実際の教育現場で使われています。micro:bitもそのひとつ。

クレジットカードよりも小さいサイズの可愛らしいプリント基板は、小さいのにかなり多機能で、25個のLED、2つのボタンスイッチ、加速度センサー、磁気センサー、無線通信機能が搭載されています。

プログラミング環境もブロックモジュールを組み合わせる、いわゆるビジュアルプログラミング形式で記述することができるため、プログラミングについて特別な知識がなくてもプログラムを書くことができます。

また、イギリス生まれでありながら、プログラミング環境は日本語にも対応しているため、英語が読めなくても簡単にアルゴリズムを構築することができます。

↑micro:bitのエディタ(外部リンク)

プログラミングにあまりなじみのない中学生にとって、micro:bitはどれくらいのレベル感なのか

実際にmicro:bitのプログラミングはどれくらいのレベル感なのか。プログラミングにはそれなりに慣れ親しんでいる私ではちょっと判断しにくいので、今回はプログラミング初心者の女子中学生に試してもらうことにしました。実は、私の所属事務所の後輩です!

↑今回協力してくれる、高橋菜加ちゃん。中学1年生で、第8回東宝シンデレラオーディションのファイナリスト。

池澤:菜加ちゃんはプログラミングはしたことあるんだっけ?

菜加ちゃん:2~3回だけなんですけど、小学校6年生の授業の中で、自分でゲームをつくりました。パソコンでエンターを押したら、キャラクターが動き出したり、音が出たりするようにしました。

池澤:ということはScratchをつかってゲームをつくったことがあるんだね! プログラミングってどんなイメージを持ってる?

菜加ちゃん:難しそう。

池澤:今回は、micro:bitって基板に触れてみようと思うんだけど。

菜加ちゃん:うーん。小学校のころに理科の先生がPC分解したものを展示していたので、そのときにこういうのは見たことあるかも。

【光るネームバッチのプログラミングにチャレンジ】

まずはmicro:bitに慣れてもらうために、表面のLEDに自分の名前を表示するだけの簡単なプログラムを組んでもらいます。

ブラウザ上の専用エディタ(外部リンク)からプログラムを書くことができるので、OSの縛りもなく、どんなコンピュータからでも同じようにプログラムが書けます。LEDに自分の名前を表示するプログラムするのはとても簡単で、「文字列を表示」というブロックを使って自分の名前を表示させます。

↑赤丸印のついた「文字列を表示」のブロックをワークスペースにドラッグ&ドロップ。

↑ブロックを移動したあと、「Hello!」の部分を自分の名前に書き換えます。

↑文字列が画面に表示できました!

結構、簡単に文字を表示させたり、アイコンを表示させたりすることができます。自分で書いたプログラムが、ちゃんと機械に反映されるとやっぱり少し感動しますよね。

菜加ちゃん:おー、すごい!

↑基板にプログラムを反映させるときは、「MICROBIT」という名前のドライブにドラッグ&ドロップ。

↑文字列だけではなく、数字や光るLEDを指定して好きな柄を表示させることもできます。

サイコロをつくってみよう!

ここからは少しレベルをあげて、サイコロをつくってみます。micro:bitには加速度センサがついているので、揺れを検知することができます。

まずは、サイコロがどういうアルゴリズムで実現できるか考えてみます。紙を用意して、サイコロを機能ごとに分解してみましょう。

池澤:サイコロってどういうものだと思う?

菜加ちゃん:振ったら目が出るもの?

↑機能ごとに分解しながら考えるとこんな感じ。

この機能を実際のプログラムに反映させます。菜加ちゃん、初めてのプログラミングは悩みながらもサクサクとこなしていました。

↑まずは表示する目をつくります。次に、サイコロの目はランダムに出るので、プログラム上でランダムな数を発生させます。

どうやらmicro:bitのブロックでは、0から任意の数のあいだのランダムな数にしか対応していないみたいなので、0が出たときは1の目、1が出たときは2の目とずらして定義していきます。

菜加ちゃん:できた!

↑できたサイコロ。振るとランダムで目を表示してくれます。

↑作成したプログラム。

プログラミングを遊び感覚で学ぶJavaScript

池澤:今回、実際に触ってみてどうだった?

菜加ちゃん:どうすればできるのか考えるのは難しかったけど、自分の手で触って遊べるので、遊び感覚でできておもしろいかも。

「プログラミングって楽しい!」と感じてもらうために大切なのは、とっつきやすいこと、そしてモノを作っている実感を持てること。そういう意味では、micro:bitはプログラミングデビューには最適の教材です。

micro:bitは初心者に優しいのはもちろんのこと、「ブロックモジュールを用いてのプログラミングでは満足できない!」というギークなパパ・ママにとっても、JavaScriptやPythonのようなプログラミング言語を用いた開発にも対応しているのはうれしいですね。

また、プログラミング教育だけでなく、イギリスの教育はさまざまな施策を試行錯誤しながら進めています。こうした柔軟性があるからこそ、教育の現場も新しい分野にいち早く対応できるのかもしれません。いろいろなものがめまぐるしく変化するこの時代、日本の教育現場ももう少し柔軟性が高くなると良いのかもしれません。

プログラミングを勉強したい方、そして教育で活用してみたい方は、ぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか!

※今回の記事はスイッチエデュケーション様にご協力いただきました。

プロフィール
高橋菜加
広島県出身、2006年生まれ。2016年11月13日第8回東宝シンデレラオーディション ファイナリスト。趣味はチアダンス。

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