2018年05月16日09時30分

たこつぼ化したクラウドを連携させるfreeeのパブリックAPI戦略

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2018年5月15日、freee本社にて「freeeオープンプラットフォーム戦略」を発表し、第1弾としてサイボウズやセールスフォースといったパートナーとの連携を強化するAPIの提供を開始。同日、APIのデベロッパー・SIer向けのサイトも公開した。

チームごとにクラウドサービスを導入すると超高速タコツボ化が起きる

 クラウド会計ソフトfreeeは、2013年にサービスを開始し、今年3月19日に5周年を迎えている。ユーザー事業所数は100万を超え、会計freeeに登録された取引の金額が84兆円と、まもなく国家予算に匹敵する金額になるという。会社の設立という面でも、すでに7000社を支援している。

 freeeはサービスを開始した直後からAPIを公開するなど、もともとオープンプラットフォームを推進している企業と言える。なぜ今、freeeがオープンプラットフォーム戦略を発表するのか? その答えは、佐々木大輔代表取締役が語った。

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freee 代表取締役 佐々木大輔氏
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会計freeeに登録された金額は84兆円を超える
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中小企業だけでなく、急成長している上場準備企業にも導入されている

「今がすごく大事なタイミングになってきました。昔はGoogleカレンダーくらいしか使っていなかったのが、今では会計から人事、販売管理に広がり、みんなで同じソフトウェアを使う、ということが当たり前になりました。しかし、チームでクラウドを導入すると、次のステップの課題が出てきました。“超高速たこつぼ化”が起こるのです」(佐々木氏)

 “超高速たこつぼ化”と聞きなれない単語が飛び出した。これは、課題感があって今どきのクラウドサービスを入れたのだから、そのチームは活発に情報交換が行なわれる。しかし、そこで閉じてしまい、別の機能やチームとつながっていないと管理ができなくなるという。組織の中でサイロ化が起こるこの現象をタコ壺化、と呼んでいるのだ。そして、この機能やチームといったシステム間をつなぐのがAPIとなる。

「世界に目を向けると、日本のSaaSだけはほとんどAPIを公開していません。グローバルの流れを見ても、APIの公開まで行なっている初めてクラウドサービスなのではないかなと思います」(佐々木氏)

パブリックAPIを間に入れて幅広いサービスと連携する

 次に、クラウドERP事業本部本部長兼金融プラットフォーム事業本部本部長を務める尾方将行氏が、クラウドサービスの普及と課題について、話してくれた。

「APIは3種類あり、一つ目がパブリックAPIです。freeeがもっとも力を入れているもので、エンドユーザーに公開し、API連携を使って自由にカスタマイズできます。APIというとB2CサービスのFacebookやGoogleなどをイメージするかもしれませんが、業務アプリケーションのB2B領域ではとても少なくなります。2つ目が戦略パートナーや有料販売などで限られた相手に公開されるプロテクテッドAPIで、3つ目が自社の生産性を向上するために公開を前提としないプライベートAPIです」(尾方氏)

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クラウドERP事業本部 本部長兼金融プラットフォーム事業本部本部長 尾方将行氏

 freeeは国内でもいち早くパブリックAPIの公開に取り組んでいる。2013年3月に会計freeeを公開したが、そのわずか7か月後には初のパブリックAPIをリリースしている。今年、2月には人事労務freeeのパブリックAPIをリリースした。クラウドシステム同士で認証できるので、GoogleやFacebookのアカウントでログイン認証したり、金融機関とつなげて明細を連携したり、freeeから振込できるようにしているという。

 最近の傾向として、特に増えているのが業務システムとの連携だそう。従来のようにバックオフィスだけでなく、G suiteやkintone、SalesforceなどとAPI連携し、全社最適の仕組みを構築しているのだ。

「そのような流れで、API取引の件数が増えており、現在は73万件になっています。今年度中には軽く100万件を突破すると思います。そんな背景の中、freeeのオープンプラットフォームとして、基本的にはパブリックAPIの領域を広げていきます」(尾方氏)

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freeeを中心にPOSレジやECサイト、共有ツール、金融機関、業務システムなどと連携する
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パブリックAPIを挟んで、会計と人事といった領域のサービス連携を強化する

 企業によっては特殊なニーズがあり、独自の業務フローを構築したいこともある。そのため、freeeはデベロッパーやSIerへのサポートも強化するという。通常のエンドユーザーがfreeeの使い方がわからないと、同社のカスタマーサクセスチームが顧客に寄り添ってサポートしていたが、同様のことをデベロッパーやSIerにも提供していくという。そのため、API連携のための専門チームを設置し、コミュニティを作ったりハッカソンイベントを開催したりして「どんどん成功事例を作っていきたい」と尾形氏は語る。

ユーザー課題解決のためにAPIの開発者向けサイトをリリース

 最後に、新規ビジネス開発事業部APIエバンジェリストである水野谷将吾氏が、リリースの内容をブレイクダウンしてくれた。まずは新しく設置されてた専任チームについて。

「これまではfreeeと連携したいという問い合わせをいただいても、対応が難しいことがありました。今回、ベンダーさんと個別に相談し、ユーザーに向けてメリットを訴求していくセールスマーケの担当として、私が配属になっています。次に、すでにリリースしているAPIを使っているデベロッパーの方の声を元に、使い勝手を向上させていくプロダクトマネージャーもアサインしました。最後に、テクニカルサポートも用意しました。どうしてもAPI連携のデベロッパー向け支援となると、ソースコードレベルの話が出てきます。そこで、経理とエンジニアの経験のある人を配置しました」(水野谷氏)

 発表日当日には開発者支援のWebサイトをリリースした。freeeのAPIを使って開発をしたい人のために、スタートガイドから仕様、使い方までを定義した資料類を用意。同社のテクニカルサポートに質問したり、他のデベロッパーと情報を交換できるオンラインコミュニティを目指すという。

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新規ビジネス開発事業部APIエバンジェリスト 水野谷将吾氏
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APIの開発者向けにウェブサイト(https://developer.freee.co.jp)を公開した

 今回、SFAやCRMとの連携を強化するのは、債権管理部門との入り口と出口の壁をAPI連携でなくすのが目的。例えば、営業部や開発部が引き合いの管理からスタートして、見積もり作成、受注、納品と続き、営業が請求書を発行。そこで、SFAやCRMからfreeeへのデータ連携を行う。さらに、freeeで請求のデータとインターネットバンキングのデータを突合せて、営業部側にデータを返すと未入金が即座に把握できるようになる。

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無駄な確認作業や二重入力といった手間をAPI連携により軽減する

 最後に水野谷氏は「世の中の大きな流れとして、クラウドサービスが普及したことで、システム間の連携が求められています。そこで、freeeはパブリックAPIの公開とAPIを利用してくれるデベロッパーのコミュニティ形成、というところを通じて、ユーザーの課題解決を行なっていきます」と締めた。

 第一弾の提携パートナー・製品は以下の通り。

  • セールスフォースドットコム:Salesforce Sales Cloud
  • サイボウズ:kintone
  • ゾーホージャパン:zoho CRM
  • 日本オプロ:soarize
  • ジオコード:ネクストSFA
  • トレードシフトジャパン:Tradeshift
  • レッドフォックス:cyzen
  • 三和システム:NT-golf、NTG-head
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提携を発表したパートナー

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