2018年04月11日07時00分

データ利活用にフォーカスしたNTT Comの2018年度戦略

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2018年4月10日、NTTコミュニケーションズは2018年度の事業戦略説明会を開催。データセンターやクラウド、ネットワークなどの基盤はもちろん、IoTやAI、セキュリティなどさまざまなテクノロジーをデータ利活用にフォーカスしていくという。

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NTTコミュニケーションズ 代表取締役社長 庄司哲也氏

データの利活用を中心に据えた新年度の戦略

 年度明け恒例となった事業戦略説明会に登壇したのは、NTTコミュニケーションズ代表取締役社長の庄司哲也氏。昨年はハイブリッドなIT環境を前提に高品質なインフラの追求とSDx+Mソリューション、グーグルやマイクロソフト、SAPなどのパートナーシップなどを訴求したが、今年は2020年に向けた「データの利活用」を中心のテーマに据えた。

 庄司氏は、現在を「データ利活用の時代」と位置づける。スマートデバイスやIoTが発展し、さまざまなデータが取得できるようになり、AIやRPAなどのテクノロジーの台頭、コンピューター処理能力の向上で、取得したデータの利活用シーンも現実味を帯びてきた。実際、総務省の調査によると、米国企業ではすでに約9割がデータ活用や検討を進めており、日本でも約8割が興味を示しているという。

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データ利活用の時代

 テクノロジーのみならず、データを扱うための法整備やユーザー自身の認知も進んできた。調査によると、パーソナルデータの提供に不安を感じるユーザーは相変わらず多いが、有用なサービスのためなら、パーソナルデータを提供してもよいというユーザーも増大しているという。

 パーソナルデータの活用は、期待と不安の両面があるため、実績を重ねていく必要性がある。これに対してNTTグループ全体として、企業をまたがった多様なデータを提供する札幌市のICT活用プラットフォーム「DATA-SMART CITY SAPPORO」にも協力しているとのこと。「安心してデータを預けていただくため、パートナーとして信頼される実績を今後も積んでいきたい」と庄司氏は語る。

収集、蓄積、分析の3フェーズを支えるサービスの拡充

 市場やユーザーニーズの高いデータの利活用を中心に戦略を組み立てた今年度のNTTコミュニケーションズ。「データ利活用を支えるケイパビリティの強化・拡充」をテーマに、データの「収集」「蓄積」「分析」という3つのプロセスでサービスを拡充するという。

収集のプロセスではセキュリティに注力

 まずデータ収集のプロセスにおいては、IoTデバイスの爆発的に増加を前提にしたセキュリティ対策を複数の形で提供する。

 デバイス側の施策としては、通信モジュールのみならず、セキュリティ機能をチップに実装した「セキュアSIM」を大日本印刷(DNP)と共同開発。また、IoTデバイスとクラウド間のネットワークにおいても、不正な通信を防御する機能を付与するほか、オフィス内のIT環境のみならず、工場の生産機械、センサー、管理システムなどのいわゆる現場のOT環境まで含め、統合的にセキュリティ対策を提供していくという。

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データ収集におけるIoTのセキュリティ

 もちろん、グローバルにリーチする大容量のデータ伝送能力も大きな強みだ。発表会では敷設中の国際海底ケーブル「JUPITER」が紹介された。400Gbpsの容量を持つJUPITERが完成することで、太平洋を渡るNTTコミュニケーションズの海底ケーブルは三重化されることになり、高い容量と信頼性を確保できることになる。

「蓄積」に向けたデータセンターとクラウド、セキュリティ

 データの蓄積に関しては、データセンターのカバレッジを拡大し、東京・第10、インド・バンガロール第3、インド・ムンバイ第6、オランダ・アムステルダム第1、ドイツ・フランクフルト第4、北米バージニア・アッシュバーン第4などに新データセンターを開設する。提供国・地域は20以上になり、サーバールームも40万㎡以上になるという。

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欧米でのデータセンター建設は引き続き進む

 クラウド事業では、子会社であるディメンションデータ(Dimension Data)のIaaS事業をNTTコミュニケーションズ本体に移管する。海外では「NTT Cloud」のブランドで展開する予定で、リソース集約とサービスの強化により、クラウドサービスの展開国・地域は15、データセンターは35に及ぶという。さらにSAPやオラクルのマネージドセキュリティサービスを提供するSecure-24の買収完了もあわせて発表した。

 蓄積のプロセスにおいてもセキュリティは重視。機密データを複数に分散保存する秘密分散技術、データを暗号化したまま計算処理を行なう秘密計算技術、データの利用価値と秘匿性を両立した匿名化技術などの開発を進めているという。

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蓄積プロセスにおいてもセキュリティを最重視

「分析」はCOTOHAシリーズとパートナーシップを強化

 さらに分析プロセスにおいては、自然言語処理AIである「COTOHA」シリーズを推進。チャット形式の「COTOHA Chat&FAQ」のほか、先頃は機械翻訳サービスの「COTOHA Translator」も投入。「原稿用紙25枚分の英文を2分で翻訳できる。しかもTOEIC900点のレベルを実現している」と庄司氏もアピール。その他、APIも整備するほか、音声認識技術も開発していくという。

 一方で、多様なニーズに対応すべく、積極的なパートナーシップとユーザーとの共創を推進。同日付で、NTTデータ、DataRobotとの協業も発表し、AIのフルスタックソリューションを提供する。協業により、NTTコミュニケーションズはクラウドサービスの「Enterprise Cloud」、DataRobotは機械学習の自動化を実現するAIエンジン、NTTデータがAIインテグレーションのサービスを立ち上げるという。また、近日中にGoogle Cloud PlatformとEnterprise Cloudを連携させたログの解析ソリューションもリリースされる予定だ。

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分析のプロセスではパートナーシップを強化

 さらにFinTech(金融)やAgriTech(農業)、MobiTech(交通)など既存産業のイノベーションを指す「xTech化」を見据えたデータの流通基盤の整備にも乗り出す。API経由でさまざまな業種からのデータを取得し、さまざまな業界で新しい価値を創造できる環境作りを積極的に推進していくという。

ユーザーニーズはデータの利活用に収斂していく

 最後、庄司氏は具体的なデジタルトランスフォーメーション事例を披露。SD-WANでデータ収集を強化することでチームのパフォーマンスを強化したMcLaren F1 Team、工作機械のデータ利活用による新しいビジネス創出を進めるファナック、コンタクトセンターのアドバイザーの品質をAIで向上させた損害保険ジャパン日本興亜などの事例を説明し、プレゼンを締めた。

 「デジタルトランスフォーメーションを実現するための信頼されるパートナーになる」という方向性にぶれはないが、「結局、お客様のニーズはデータの利活用に収斂していく」(庄司氏)とのことで、「データの利活用」という具体的な戦略を明示したのが大きなポイント。グローバルのメガプレイヤーと違う立ち位置で、確実に市場を抑えるべく、よりフォーカスを明確にした印象を受けた。

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