週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Twitterアイコン
  • RSSフィード

KAWAI MP11SE/7SE

バーチャルテクニシャン機能で、デジタルの調律ができる新ピアノ

2018年02月03日 10時30分更新

CA58

 河合楽器製作所は2月1日、デジタルピアノの新製品「CA58」と、ステージピアノ「MP11SE」「MP7SE」を発表した。価格はそれぞれ24万5000円、29万5000円、18万5000円。2月16日の発売を予定している。

 CA58は昨年から3モデルを販売しているCAシリーズの4モデル目。プレミアムメープルウッド調、プレミアムローズウッド調の2色がある。CAは「Concert Artists」の略で、家庭のリビングにコンサートピアノの響きを届けたいという思いを反映している。フルコンサートピアノ「SK-EX」をサンプリングした新ピアノ音源に加えて、オンキヨーと提携して開発したリッチなオーディオ再生機能などを備え、好評とのこと。隙間となっていた実売20万円前後の価格帯の製品を投入することで最終的なラインアップが完成した形になるという。

 CA58は木製鍵盤でレッスン機能などデジタルピアノならではの機能を持つモデルとして新規開発した。鍵盤は上位のCA78/98のものを基本としながら、よりコンパクトにしたという。

 一方、MP11SEとMP7SEは、それぞれMP11/MP7の後継機種。MPシリーズは欧州を中心に世界で評価されており、代表的なアーティストとして、ディープ・パープルのドン・エイリー、ワンリパブリックのライアン・テダー、そして日本ではゲスの極み乙女。のちゃんMARIといった愛用者がいる。従来からあるグランドピアノ「EX」に加え、「SK-EX」および「SK-5」の音源を追加。外観もよりピアノライクなものにしている。なお、MP11SEとMP7SEの違いは鍵盤が木製か樹脂製かの差で、機能はほぼ同等。

MP11SE

 2月2日に開催された新製品発表会には、MP11のユーザーでもあるゲスの極み乙女。のちゃんMARIさんが登壇。実際に演奏も交えながら、MP11とMP11SEの魅力や改善点についてコメントした。

 まずMP11を選んだ理由に関しては:

「これまではピアノ、エレピ、オルガン、などの音を1台のシンセで表現していたのですが、ピアノの音色にこだわったものが欲しいと思って。試奏した中でMP11が一番ピアノの音もいいですし、バンドにすごくあっているなと思ったので選ばせていただきました」「リアルな生のピアノの音、レコーディングでも生のピアノを使うことが多いので、その音を再現できることを念頭に置きました」

演奏中のちゃんMARIさん

 実際に使用している感想としては:

「とっても弾き心地がいいと思います。結構かわいた木の感じというか、響く感じが好きで、弾きごたえもあるしとってもいいと思います」「曲によってギターが結構鳴っているものがあったり、ギターはなしでピアノで上物が完結するものもあります。曲によってEQを変えたり、きらびやかな音色だったり……に変えています。演奏中に変えたりもしています。ピアノとエレピが曲中に切り替わるものがあるのですが、そういうものは操作しながら。ボタンもセクションごとに整理されているので、あまり困ったことはなく、やりやすいです」

 音色に関しては、コンサートピアノのEXに加え、同じコンサートピアノでも上位のSK-EX、ミッドレンジのSK-5が選択可能になった。ほかにアップライトやエレピといった音色も選べる。これらに関しては実際に音色を切替えて演奏しながら:

「(SK EXは)すごくいい音ですよね。MP11はきらびやかな印象ですが、それよりもあったかい。この音もいっぱい使いそうです」「(SK-5は)ころころってしていますけど、しっかりレンジも出ていて、個人的に一番好きかもしれません」「(EXは)おなじみの音というか。いつも使っている音なので一番なじみがあります。ピアノ単体でも栄えますし、ギターのギューンとした音にも全然負けないですし。レコーディングでも、生のピアノでは負けるなというときに使ったことがありました」「(アップライトは)ルミリーという曲があるのですが、それはアップライトピアノの音色で演奏しています。(ほかとは)全然違いますね。狭い部屋で演奏しているような感じがしますね」「エレピもよく使います。トレモロのスピードなども調節しやすいですし、明るい音がほしいときに簡単に調整ができて、直感的な操作ができるます。ライブ上では重宝しています」

88鍵ボイシングは鍵盤ひとつひとつの音色を自分の好みで細かく調節できる機能

 MP11SEは88鍵ボイシングと呼ばれる機能を持つ。アコースティックピアノでハンマーの硬さを鍵盤ごとに調整する作業を電気的にシミュレーションするもので、鍵盤ひとつずつに音の硬軟の細かな調整が可能な機能となっている。音源は88鍵すべてをひとつずつサンプリング(録音)して作成されており、各音がスムーズにつながるようメーカーとして調整をしている。しかし演奏者によっては特定の鍵盤だけ響きが違うと感じたり、音域によってなり方を微調整したいと考える場合もある。これに対応できる機能だ。

 「この音だけ目立たせたいとか、この音だけ妙に鳴ってしまうんだよなということがあったので、1鍵1鍵すべてが調整できるのはなかなかないなと思いました」

 またペダルなど細かな部分もライブ演奏に向けて改善されている。

 「ライブでは滑ることがあったのですが、それも改善されていますし、踏み心地が生のピアノに近いので、今まで意識したことはなかったんですが、これはいいなと思いました」

ピアニストの圓谷綾乃さん

 一方、CA58のデモ演奏をしたピアニストの圓谷綾乃さんは「音がいいピアノ。あたたかみがあり、きらびやかで、エレガント。デジタルピアノではなかなか出ない、KAWAIらしい音」とコメント。さらに木製鍵盤のタッチに言及し、「いい音源だけではなく、鍵盤のタッチと連動しないと、音楽を表現している感じが伝わらない。ドビュッシー(のグラドゥス・アド・パルナッスム博士を演奏した際)などでもタッチに対する不安を感じずに、純粋に演奏を楽しめて満足感があった」と話した。

 コンサートピアノを使った音源として「SK-EX」に加え「EX」の音色も選べるが、「もうひとつの音の選択肢があるのはうれしい。EXの音もSK-EXと同じくらい質が高いと思うので、その日の気分や曲調に合わせて選べるし、タッチの変化で音色の変化も再現できている。お子さんの耳の教育という意味で、生徒さんにもお勧めできる製品ではないか」などとコメントした。

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう