2017年12月21日10時00分

災害時にドローンが移動基地局に auが屋久島で実証実験

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 KDDIとKDDI総合研究所は12月14日、鹿児島県熊毛郡屋久島町にて「無人航空機型基地局(以下ドローン基地局)」の実証実験を行なった。同種の実験は国内の通信事業者では初めて。

201712drone

 ドローン基地局では小型化した携帯電話基地局システムをドローンに搭載し、災害時に上空から電波を飛ばして通話・通信エリアを構築する。今後実用化が進むと、災害時に孤立した集落でのライフラインや山岳救助での活用が期待される。

 今回の取り組みは総務省より「移動型の携帯電話用災害対策無線通信システムに関する調査検討」として2017年7月にKDDIが受託している。

 実証実験当日に行なわれたメディア向けの発表会で、総務省の村井遊氏は「東日本大震災などの大規模災害を受け、通信が途絶えた時にどうやってエリアを復旧させるのか。陸なら移動基地局車、海からなら船上基地局。ただそうしたものが使えない場合、空からドローンやヘリコプターを使い、もういちどエリア化することで110番通報が可能になり、迅速な災害復旧、救助につながる」と説明。

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 「今後はKDDIを含めたさまざまな事業者と提携し、ひとりでも多くの人を救えるように、安心安全な通信環境を作りたい」と意欲を示した。

 KDDI電波部の遠藤晃マネージャーは「過去2年間にさまざまな自治体からヒアリングをし、必要な通信設備を整えた」と説明。ドローンに搭載するにあたり、当初は75kgだった機材を2年で3kgまで減らすことに成功したとのことだ。

今回のドローン基地局では、災害発生の状況、災害発生からの日数に応じて3パターンの仕組みを用意している。

 発生直後(~1日)応急復旧期(1~3日)仮復旧期(3日以降)
外部通信なしあり
加入者情報なしあり
できること・エリア内での端末台数の把握
・情報発信(ETWS)
・ドローンの映像をリアルタイム配信
・エリア内での端末台数の把握
・情報配信(ETWS、SMS)
・ドローンの映像をリアルタイム配信
・正確な位置測位
・エリア内での通話
・エリア内での端末台数の把握
・情報配信(ETWS、SMS)
・ドローンの映像をリアルタイム配信
・正確な位置測位
・エリア外への通話
・一般的なインターネット

 災害発生直後(~1日)で使用するモードでは、おおよその被災者数の把握と情報の一斉配信ができ、孤立地域の状況を把握する。

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 外部通信、加入者情報も必要がないことから迅速な対応を行なえるとのこと。

 災害発生から2日前後の応急復旧期では、加入者情報を用いることでやれることの範囲が飛躍的に広がる。加入者情報とはKDDIが持つユーザーの電話番号や契約者名などの個人情報。災害で孤立地域が発生した場合は、該当する地域の住所からユーザーを絞り込み、その加入者情報をドローンに取り込んで飛ばすことで「○○さんがどの位置にいる」など具体的な捜索が可能になる。

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 また、エリア内の端末同士であれば通話も可能になる。

 災害発生から3日以上経った仮復旧期では、衛星回線を用いて外部との通信が可能。ほぼいつもの感覚で使うことが可能だ。

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 ただし、通信速度は実験時で下り最大8Mbpsとなっているため、最低限の連絡に限られる見込み。

 今回の実験で使用したドローンは、スティック型PCとNECプラットフォームズのWi-Fiルーター、そしてモバイルバッテリーと家電量販店で購入できるパーツをチョイス。シンプルな構成とすることで、通信部の重量を3kgと極限まで減らしている。

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 ただし、シンプルな構成とした結果、実験時にはドローン基地局につながる最大接続台数は8台となっており、今後の実用化では通信スペックと通信部分の重量バランスが重要になってきそうだ。

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 また、バッテリー駆動時間も通信部分が1時間なのに対してドローン側が30分。現実的な飛行時間は15分~20分になるため、こまめに帰還してバッテリーを交換する必要がある。

 実証実験の際も「通信が安定してSMSを飛ばそうとしたら、ドローンがバッテリー交換のために戻る」という場面があり、遭難映画で目の前に救助ヘリが来たものの、気づかずに戻ってしまうようなもどかしさを感じたのも事実。

 しかしながら実証実験は始まったばかりで、KDDIとKDDI研究所は今回の実験で得たさまざまなデータをもとに、今後さらに実用化を進める方針。

 スマートフォンが普及し、どこでもネットに接続できるのが当たり前になった現在、災害時に通信が途絶えることは連絡手段が途絶えるだけでなく、心理的な不安も生み出す。災害やさまざまな事故の際にひとりでも多くの人を救えるシステムになるよう、今後の発展を期待したい。


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