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高得点でもしゃべれないのにはワケがある

800点以上でも英会話ができない! TOEICに意味はあるの?

2017年11月20日 08時00分更新

英語学習に長けたベンチャー発の英会話ジム・ENGLISH COMPANYのトレーナーが、スキル向上のためのノウハウや学習のための豆知識をリレー形式でお届けします!

アウトプット練習が大事

Q.TOEICで800点とっても話せない人がいます。TOEICは意味がないのでしょうか?

A.「TOEICで高得点でも話せるわけじゃないから意味がない!」という声を聞くことがありますが、これはまったくの誤解です。

 ここで質問者の方が言われているテストは、TOEIC Listening & Readingだと思います。現在、就職活動などでよく使われるのがこのテストです。名前のとおり、そもそもリスニングとリーディングの能力しか測らないわけですから、800点取れたとしても、スピーキングができるとは限りません。ですから、その意味では「TOEICでスコアが良くても話せない」ということが起こることもあります。

 ただしこれは、「TOEICのスコアが低くても話せる」ということを意味しているわけではありません。500点しか取れない人が、正しい英語をペラペラ話せる、などということはありえないということです。「500点しかないけどコミュニケーションに困らない」と言う人は、かなりブロークンな英語で、相手に推測してもらってやっと通じていると思ったほうがよいでしょう。ビジネスの場面でも許容されるくらい正確に話すためには、少なくとも700点後半以上はほしいところです。

 言語の知識というのは、受容知識(receptive knowledge)と産出知識(productive knowledge)から構成されます。前者は「読んだり聞いたりすれば理解できる言語知識」のこと、後者は「自分で話したり書いたりできる言語知識」のことを指します。図のような構造になっていると考えてください。

 受容知識の一部が、それを使うことによって産出知識になります。漢字でも、読めるけど、自分では正しく書けないというものがたくさんありますよね。

 つまり、読んだり聞いたりして理解できる英語が増えない限り、話せる英語は増えようがないということです。

 800点以上もあれば、受容知識は十分にあることがわかりますから、アウトプット練習を行なうことによって、スピーキングができるようになる素地は十分整っていると考えられます。

 同じ「話せない」という状態でも、500点の人と比べると話せるようになるまでの期間ははるかに短くなります。


答えてくれたトレーナー:伊原 章紗
 国内外の大学で第二言語習得や英文学を学ぶ。ロンドンの語学学校でイタリア人やフランス人に英語を教え、アメリカでは英語ネイティブに日本語を教えた経験を持つ。40ヵ国を旅している。現在StudyHacker ENGLISH COMPANYでパーソナルトレーナーを務める。



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