2017年11月17日07時00分

即完売のアニメコンセプトルーム 聖地を創造するSO-ZO

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2017年11月22日より『劇場版 黒子のバスケ LAST GAME』とのコラボレーション宿泊プランもスタートする

 ホテルの部屋のドアを開けると、リビングルームやベッドルーム、バスルームなど、壁一面に描き下ろされたアニメのキャラクターが出迎えてくれる。ソファーやベッド、リビングボード、洗面台などには、キャラクターが描かれたクッションやベッドカバー、小物、アメニティーグッズが置かれている。その作品のファンならば、1度は宿泊したいと思うコンセプトルームを展開しているのが、女性を中心としたアニメファンの新たな聖地となりつつある池袋のサンシャインプリンスホテル(東京都豊島区)である。

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『ユーリ!!! on ICE』のコンセプトルーム©はせつ町民会/ユーリ!!! on ICE 制作委員会

 こちらの写真は、2017年12月31日までの期間限定で実施されているコラボレーション企画の第7弾『ユーリ!!! on ICE』のコンセプトルームだ。サンシャインプリンスホテルとアニメのコラボレーションを企画、設計、施工しているのが、2014年に設立された株式会社SO-ZO(以下、SO-ZO)である。現在、SO-ZOが展開している事業は、大きく3つ。「空間プロデュース事業」「アニメグッズ制作事業」「コンテンツ配信事業」である。

 空間プロデュース事業は、ホテルや民泊などの部屋をアニメの世界観でデザインしたコンセプトルームを体験してもらう事業、アニメグッズ制作事業は、空間プロデュースで必要なグッズの制作から販売までの事業、コンテンツ配信事業は、メーカーや企業にコンテンツの活用を提案したり、その魅力を啓蒙したりする事業だ。3つの事業でもっとも重要になるのが、アニメ、マンガ、ゲームなどの版権(IP;Intellectual Property)の運⽤である。

 現在SO-ZOでは、『ユーリ!!! on ICE』をはじめ、『おそ松さん』『銀魂』『モンスターハンター』など、30作品以上のアニメ、マンガ、ゲームとのコラボレーションを展開。取引可能なライセンス企業も、KADOKAWA、小学館、集英社、エイベックス、カプコンなど19社におよぶ。代表取締役の王冉(Ou Zen)氏は、「今後もコラボレーションが可能な人気作品や取引可能なライセンス企業を増やしていく計画だ」と語る。

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株式会社SO-ZOの王冉(Ou Zen)代表取締役

ほぼ100%の宿泊者が“満足”と回答

 コラボがここまで増えたきっかけは、IP活用×コンセプトルーム作成での需要だった。

 中国からの爆買いツアーが減ったこと、東京オリンピックに向けたホテルの建築ラッシュ、民泊が解禁になったことなどの影響で、ホテルの稼働率は大きく低下している。以前は稼働率100%だったホテルも、現在は70%程度。そこで、宿泊者を呼び込むための仕組みづくりが求められており、IPの活用に注目が集まっている。

 かつてサンシャインプリンスホテルでは、独自にアニメとのコラボレーション企画を実施したことがあるが、ノウハウもなかったため版元との調整が難しく、監修やデザインなども含めて、なかなか続かなかったという。だが、SO-ZOの提案を受けて、オトメイト(アイディアファクトリー株式会社の女性向けゲームブランド)のコンセプトルームをスモールスタートで展開した。

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オトメイトのコンセプトルーム©IDEA FACTORY/DESIGN FACTORY©IF・DF/「薄桜鬼~御伽草子~」製作委員会

 王氏は、「この企画の大成功で、サンシャインプリンスホテルに、これはイケるという判断をしてもらえた。こうした実績を積み重ねることで、その後、『おそ松さん』『銀魂』などのコンセプトルームへと展開が広がった。どの企画も十数分以内で完売したほか、売り上げ的にも十分納得できるものだった」と話す。

 たとえば『ユーリ!!! on ICE』の実績としては、ソーシャルメディアへの情報開示の段階で、約2万リツイート、約100万PVを達成した。王氏は、「銀魂は、予約開始から約13分で完売。おそ松さんは、約10分で完売。ユーリ!!! on ICEは、10分を切るだろうと思っていたが、サーバーがダウンという状況だった」と笑う。

 このサンシャインプリンスホテルの成功が、複数のメディアで取り上げられたことから、会社の認知度も向上し、取引先企業も着実に増え続けている。王氏は、「同様のサービスを展開している競合が皆無だったので、⼀度事業を⽴ち上げてしまうと、その後はスムーズだった」と語る。提案先となるコンテンツホルダー側についても、以前より話しやすくなった。

 また、宿泊者を満足させたことも成功の秘訣。宿泊者はアニメのファンであり、世界観を間違えると評価されない。王氏は、「ほぼ100%の宿泊者が、アンケートで“満足”と答えている。ネットでも“感動した”とか、“また泊まりたい”といったコメントが多い。こうしたコメントを見ると、次はもっと喜んでもらえる部屋にしようと思う」と話す。

 コンセプトルームに宿泊したアニメのファン同士が、ソーシャルメディアなどオンラインで交流するのはもちろん、当初は想定していなかった交流も生まれている。たとえば、チェックアウトする人とチェックインする人がロビーで、オフラインで交流するなど、それぞれのファンが、思い思いに、コンセプトルームを楽しんでいる。

 王氏は、「社員もアニメ好きだけなので、ファン目線での部屋作り、イベントづくりができるのがSO-ZOの強み。アニメのファンの気持ちになり、部屋のデザインからグッズの作成までをトータルにコーディネートできるのも強みの1つ。そもそも、アニメ好きでなければ、うちの会社には来ない」と話している。

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©空知英秋/集英社・テレビ東京・電通・BNP・アニプレックス

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