2017年09月22日07時00分

消しゴム0.002ミリの変位も察知!モアレで物体計測を変える4Dセンサー

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製造ラインを止めずに電子基板のチェックを行ないたい

 そのほかにも、モアレを活用したさまざまな製品をラインナップしているのだが、今後主力として打ち出そうとしているのが「シャドーモアレカメラ」だ。

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「シャドーモアレカメラ」

 上方から青色のLEDを投射し、ガラスのスリットを通して、その下に影を落とす。その影をガラス越しにカメラで撮影することでモアレ縞が発生し、その解析で投射された部分の正確な高さ計測ができる。電子機器の基盤につけたはんだの量や基板のたわみなど、精密機器の品質管理につながる。

 「基板検査の市場は3000~5000億円とも言われていて、もともと4Dセンサーは、このプリント基板の検査をメインでやるために立ち上げた」(柾谷氏)

 通常は20秒から30秒止めた状態で検査するが、スピードがウリの4Dセンサーならリアルタイムで計測できる。ノンストップ検査が実現できれば画期的だが、現状では条件によってはうまく動作しないことがあるという。光を反射するはんだ付けだと、影が生まれない正反射成分がどうしても発生する。今後は複数のカメラで撮影し、映像を合成させて解決するつもりだという。

新技術の国際特許も出願、今後は営業力を強化する

 各種4Dセンサーの改良と販売を進める傍ら、新技術の開発にも余念がない。和歌山大学の持っている特許だけでなく、自社でも特許を持ち、ビジネスに活かそうとしているのだ。

 「最近、格子模様なしでも計測できる特許を出願した。たとえば、橋梁のたわみを計測する際は、下方向にしかたわまない。格子がなくても1方向だけなら、簡単に計測できるようにした」(柾谷氏)

 さらに、「OPPA法」という新技術も開発。これはプロジェクタから格子模様を投射し、撮影することで人体の動きなどをリアルタイムに計測できるシステム。こちらも単独で国際特許を出願中だ。

oppa

研究畑からベンチャー企業の社長に

 和歌山大学との結びつきは、そもそもの起業の経緯にもつながる。

 「和歌山大学には、森本吉春教授という『ミスターモアレ』と呼ばれるほどのモアレ研究の第一人者がいた。森本教授が定年退職することになったときに、一般社団法人モアレ研究所が立ちがったのがそもそものきっかけ」(柾谷氏)

 研究結果を社会に役立てたいという想いで生まれたモアレ研究所だが、なかなか利益を出す動きにつながらなかった。立ち上げから1年ほどで、技術を売ることの難しさに気がついたそうだ。そこで株式会社設立に向けて動き出すわけだが、和歌山大学に任期付き特任助教として働いていた柾谷氏に森本教授から声がかかった。これが、2011年11~12月のころの話。

 「モアレ研究所のお手伝いもしていたつながりもあり、会社をやろうと声をかけていただいた。ただ、最初は私は研究がやりたいから、と断った」

 しかし、森本教授はかなり熱心に柾谷氏を誘う。もちろん、柾谷氏も仕事はしなければいけない。当時、ビジネスには疎かったというが、自分が研究してきた内容を手がけるのであればと悩んだ末に決心し、2012年2月1日に会社を設立。森本教授が代表取締役会長に、柾谷氏が社長を務める形で4Dセンサーが設立となった。

 現在ようやく、大学研究発のベンチャーとして長い道のりを経て、技術を売る体制が整ってきた形だ。

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