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好調のパナソニック、家電は高付加価値製品にシフト

2017年08月02日 09時00分更新

 パナソニックが発表した2017年度第1四半期(2017年4月~6月)の連結業績は、売上高は前年同期比5.1%増の1兆8652億円、営業利益は16.9%増の839億円、税引前利益は9.9%増の819億円、当期純利益は67.1%増の487億円となった。

パナソニックの梅田博和取締役執行役員CFO

原材料費高騰の影響を受けつつも、増収増益

 パナソニックの梅田博和取締役執行役員CFOは、「2017年度は、増収増益に転じる年と位置づけているが、第1四半期から増収増益を達成し、順調なスタートを切ることができた。二次電池などの車載関連事業が伸張している。営業利益は、航空機向けエンターテイメントシステムなどのアビオニクスの減販損のほか、原材料価格の高騰が予想以上に厳しく、大きな影響を受けたが、車載・産業分野への『転地』が進むインダストリアルの収益向上により、全体では増益となった」と総括した。

 セグメント別では、アプライアンスの売上高が前年同期比2%増の6833億円、営業利益は4%増の450億円となった。

 エアコンは、アジアでの天候不順によって需要が落ちたが、日本および中国では堅調な伸びをみせており、「日本では、前年に比べて、10%以内の増加を達成している。昨年は、関東が冷夏で、関西は猛暑だったが、今年は6月には逆の状況だったものが、7月には日本全国で猛暑になっており、販売が増加。日本におけるエアコン事業については気になるところはない」と、日本における好調ぶりを強調した。また、日本、欧州、中国の理美容家電が堅調であったほか、日本、アジアを中心に電子レンジが堅調だったという。

 「家電は高付加価値商品へシフトしている」という。

 2016年度には、国内家電市場において、27.5%とトップシェアを獲得。パナソニックとしても過去最大の市場シェアを獲得したことを示していたが、今回の決算会見では、「家電製品は、2017年度第1四半期もトップシェアであった。一部の製品を除いて、ほとんどの製品でシェアがあがっているため、家電全体としてもシェアは高まっているだろう」と発言。過去最高をさらに更新している可能性を示した。具体的な数値については現在集計中だという。

AV家電製品が好調、高級デジカメや有機ELにも期待

 さらにテレビやデジカメなどのAV家電製品が好調であることを強調。「テジカメは、ハイエンドモデルへとシフトしており、LUMIX GH5が品切れを起こすほどの売れ行きとなっている。また、4Kテレビの販売を強化しており、増収基調にある。テレビのフラッグシップに位置づけている有機ELテレビは、きっちりと価格がフィットしてくれば受けるだろう」と述べた。

 ちなみに、原材料価格高騰の影響を最も受けているのがアプライアンス社だという。「想定以上の原材料価格の高騰に対しては、合理化や固定費管理を通じて、その影響を最小限に抑える」とした。

 エコソリューションズは、前年同期比3%増の3612億円、営業利益は2%増の54億円。ハウジングシステムにおいて、昨年度から取り組んでいる「ビルダー攻略を軸とした販売戦略が効を奏し、システムキッチンなどの水回り製品が好調であったほか、エナジーシステムでは、国内外の配線器具を中心にした電材事業が成長、太陽光発電システムの減販をカバーしたという。

 コネクティッドソリューションズの売上高は、前年並の2488億円、営業利益は7%減の161億円。アビオニクスが航空機メーカーの機体生産の抑制に伴い、飛行機の搭載するインフライトエンターテイメントシステム事業が大きく減収となったが、モバイルソリューションズにおいて、ゼテス社の新規連結や国内向けノートPC、決済端末の販売好調といったプラス要素があった。

 「今後も航空機機内のエンターテイメントシステムの需要は大きく伸びるとは考えていない。タブレットやスマホ、PCなどを持ち込むことを想定して、エコノミークラスの画面を外してしまうという動きもある。だが、二極化の傾向があり、ファーストクラスやビジネスクラスには大画面のディスプレイを搭載する需要もある。一気に無くなるとは考えていない。また、この分野ではグローバルでのサービスおよびメンテナンスによる収益確保や、機内で無線LANを利用できるようにする通信事業などの成長分野もある」とした。

 一方で、「決済端末は国内における販売が好調。ビットコインによる仮想通貨の利用も話題になっているが、通貨を使わずに決済したいといったニーズが広がっており、非接触型および接触型の決済端末が好調」としたほか、「アビオニクスは、第2四半期以降、減収減益幅が縮小すると見ている」という。

 オートモーティブ&インダストリアルシステムズは、売上高が13%増の6564億円、営業利益は22%増の177億円となった。フィコサの連結連結が大きく寄与しているほか、「インダストリアル領域において、HEV用コンデンサなどの車載向けが堅調。さらに、スマホ向けのモーターなど、産業向けデバイスも好調である」とした。ここでは、車載事業の営業利益が前年度からわずかな増益に留まっているが、「本格的に利益貢献をするのは、当初の想定通り、2017年度後半から、2018年度と見ている」とした。

 なお、2017年度(2017年4月~2018年3月)の連結業績見通しはそのまま据え置き、売上高は前年比6.27%増の7兆8000億円、営業利益は21.0%増の3350億円、税引前利益は18.2%増の3250億円、当期純利益は7.1%増の1600億円としている。

 同社では、すべての事業区分で、為替影響を除く実質ベースで増収を達成する計画を打ち出しており、それに向けた順調な一歩を踏み出した格好だ。

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