週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Twitterアイコン
  • RSSフィード

「本当は男性に聞いてほしい」本音トークが展開

JAWS DAYSで聞いたIT業界で働く女性の結婚、出産、育児

男女が同じ仕事をしている姿に、違和感を覚える人は今はほとんどいないだろう。しかし、「同じ仕事」をしているように見えて、家事分担が不平等だったり、いまだに出世に違いがあったりと、男女格差は残っている。JAWS DAYSの午後イチセッション「この世界のあちこちのわたしへ ~Woman in tech~」では結婚、出産、育児を経験しながらIT業界に従事して来た女性たちが思いの丈をぶちまけた。男性必読!

居場所に悩む6歳の壁、連れて出社するのも悪くない

 聴講した感想からいきなり書いておく。本セッションは女性たちの対談形式で進められたのだが、子供が巣立とうという方、育児真っ最中の方、ママのための社内制度を作り上げる時代を経験した方と三者三様の視点があり、時代の変化とこれからの働き方について非常に多くの学びを得られるセッションだった。

 モデレーターは、旅行代理店の情報システム部門で働く山崎 奈緒美さん。パネリストとして並んだのは、コーセーの小椋 敦子さん、NTTコミュニケーションズの高田 美紀さん、サイボウズの河合 真知子さんの3人。話は、育児休暇にまつわるそれぞれの経験談からスタートした。

山崎:まず、それぞれの出産からの復帰について、お聞かせいただけますか?

小椋:私が出産したのは、男女雇用機会均等法が施行されて間もない頃でした。今の若い人たちは知ってるのかな。それまでは職場では男女平等じゃなかったんですよ。それが、男女雇用機会均等法によって平等に扱うよう決められたけれど、実際に出産後に復帰する女性はほんのちょびっとしかいなくて。会社としては法律を守らなければならないので、出産を機に辞めさせるわけにはいかないけど、大事な仕事はさせないというのが実態でした。やってもやらなくても大勢に影響のない仕事ばかりやらされて、バリバリやっていた出産前とのギャップが大きかったのを覚えています。

コーセーの小椋 敦子さん(左)、モデレーターの山崎 奈緒美さん(右)

河合:私が出産したのは、ちょうどサイボウズが働き方の見直しを考えている時期でした。当時は離職率が高くて、なんとかしなければと。そういった動きもあって出産後に復帰する女性も増え始めていました。最長6年の育児休暇制度ができたのもその頃です。出産育児に限らず、介護にも対応する制度です。

高田:うちの会社は基本的には育児休暇を取ったときの部署に戻るというルールになっています。よく知った顔が並んでいるので、育児休暇からも戻りやすかったですね。

山崎:そこから育児が進むと「6歳の壁」というのがあると聞きました。これにはどう対応していったのでしょうか。

河合:保育園と違って小学校低学年の間は終わるのが早いんですよ。あと、夏休みとかの長期休暇は学童保育に毎日通わせるのがなんかかわいそうで。学校は休みなんだから、子連れで出社できればいいのにねなんて話をしていました。そうしたら同じチームの男性社員が「面白そうだから、総務に言ってみれば?」と。

山崎:言ってみてどうでした?

河合:ダメだったらやめればいいので、試しにやってみましょうって話になって。子供を連れて出社してみました。これはその後制度化されて、今のオフィスには保育室も授乳室もあります。子連れ出社する人がいる日には、ちゃんとシッターさんが来て、子供をみてくれるんです。

小椋:制度化はされていませんけど、私も子連れで会社に行ったことはあります。保育園で預かってもらえる時間内に仕事が終わらなかったときに、夕方に保育園に子供を迎えに行って、残業のために会社に戻っていました。子供が親の職場をリアルに見ることができて、悪くないなと思いましたね。子供が登園前に「俺も保育園がんばるからさ、ママも仕事にもがんばれよ」って言ってきたりして。

高田:働いている姿を見せるのって、子供には刺激になりますよね。私もNTTPCコミュニケーションズに出向していた時代、OSC(オープンソースカンファレンス)で全国行脚していたんですが、たまに子供を連れて行っていました。セッションでしゃべっている姿を見せたりすると、ママはこんな仕事をしてるんだなってわかってもらえたり。

山崎: 今年のJAWS DAYSでは保育室も用意されましたし、子連れの方をちらほら見かけますね。

「女性が輝く社会」とかキモい、普通に働きたい

山崎: 女性の力を活用しようという文脈でよく聞く「女性が輝く社会」って言葉がありますが……これって気持ち悪いですよね。

高田:いま働いていない女性が多いから、そういった余力としての女性活用って意味だとは思うんですが……。すでに働いている女性から見ると違和感がありますよね。

山崎:やっぱり違和感がありますよね。高田さんは時短勤務でしたっけ。残業とかどうしてるんですか?

高田:時短勤務の人は残業もできない仕組みです。どうしても終わらなかったら、チームの仲間に引き継ぎます。

山崎:コミュニケーションが重要になりそうですね。

小椋:いま自分が何をしていてどんな状況にあるかっていうコミュニケーションは重要ですね。時短勤務ではなかったとしても、育児をしながら働くとどうしても時間的制約はつきまといます。だから自然と助け合うコミュニティができていきます。

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう

この特集の記事