2017年07月13日17時15分

Core i9-7900X&Core i7-7800Xレビュー、全コア4.5GHz OCで見えた新世界

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ジサトラ

 インテルの新しいエンスージアスト向けCPU「Core X」シリーズの第1弾である「Core i9-7900X」、「Core i7-7820X」、「Core i7-7800X」の販売が7月14日から始まる。この3製品は開発コード“Skylake-X”と呼ばれていたもので、今年初頭の段階ではSkylake-Xの投入はもう少し先と予想されていたが発売が前倒しになった。この前倒しの理由は安価でもコア数が多くマルチスレッド性能が高いことで話題となった、AMDの放った黒船こと「Ryzen 7」シリーズの登場が影響していることは想像に難くない。

 前回の記事は最上位であるCore i9-7900Xと、後日発売予定のKaby Lake-Xこと「Core i7-7740X」をテストしたが、Core i9-7900Xは初期に製造されたエンジニアリングサンプル(ES)版ということで、BIOS上の表記(Core i7と認識される)が間違っていた。

 しかし、今回は製品版のCore i9-7900Xを入手。さらにES版ではあるが一番安い6コア/12スレッドモデルである「Core i7-7800X」も触る機会ができた。目下のライバルであるRyzen 7 1800X(真のライバルはThreadripperなのだが……)との比較を含め、もう一度Core Xシリーズの評価をしてみたい。

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今回入手したCore i9-7900X。製品版なので刻印がしっかり見える。右上部分にある小さなチップはRFIDらしいが、これはXeonの管理用チップであるためSkylake-Xでは使われていないようだ。

Broadwell-Eから何が変わったかまずはおさらい

 では改めて今回登場したCore Xシリーズのスペックを眺めてみよう。比較用として前世代、つまりBroadwell-E世代のCore Xシリーズと、メインストリームを担うKaby Lake-S世代である第7世代CoreシリーズのK付きモデルのスペックも掲載した。なお、新しいCore XシリーズはCPUソケットにLGA2066を採用しているため、旧世代のBroadwell-E(LGA2011-v3)とは物理レベルで互換性がない。ちなみに価格は新Core Xシリーズの予約価格、旧世代CPUに関しては初値を掲載している。

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Skylake-X及びKaby Lake-X世代のCore Xシリーズのスペック表。※記事初出時に動作クロックなどの記述が間違っておりましたので訂正しました(2017年7月20日)。

 7月14日に発売となるSkylake-X世代の3製品における一番の見どころは、1世代前の製品に比べ、価格が約半額近くまで下がっていることだろう。特に(現時点での)最上位であるCore i9-7900XとCore i7-6950Xの価格差が凄まじい。

 スペック面では今回発売されたSkylake-Xの3モデルすべてについてターボブースト発動時の最大クロックは4GHzを超えていること、さらに最下位のCore i7-7800X以外は“改良版”TBM3.0(Intel Turbo Boost Max Technology 3.0)に対応しており、「最大2コア」が4.5GHzにブーストされる。これまで消費電力などの関係でコア数が増えてもクロックが低い製品が多かったが、今回はかなりギリギリを攻めている。メモリーもCore i7-7800X以外はDDR4-2666までのサポートになっている点からも、物理8コア以上の製品のパフォーマンスアップにかなり注力していることがわかる。

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Core i7-7800Xの情報を「CPU-Z」で拾ったところ。ES版なのでSpecification欄の最後に「(ES)」と記されている。TDP表記が125Wなのは、最新CPU-Z(ver 1.8.0)よりも古いせいだと思われる。
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こちらはCore i9-7900Xの情報。前回の記事では「Core i7」表記だったが、今回試用した製品版ではCPU-Z(現在公開中の最新版より微妙に古いが)でもCore i9表記になっている。SteppingやRevision表記に変化はない。

 そしてもうひとつ注視したいのはL3キャッシュの搭載量が大きく減っていることだ。Broadwell-Eではコアあたり2.5MBだったものが、Skylake-Xでは1.375MBになってしまった。だがそのぶんL2キャッシュを従来(256KB/コア)の4倍である1MB/コアに増やしている。従来のCore XシリーズとメインストリームのCoreプロセッサーにおけるCPUの基本構成はほぼ共通でコア数でスケールしたものというのがこれまでの常識だったが、Skylake-Xでは大きく変化させたことになる。

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Core i7-7820X以上のCPUはTBM3.0に対応しているが、これは最大2コア(どのコアかはCPUにより異なる)までがブーストされる。1ないし2スレッドしか使わないような処理で威力を発揮するという訳だ。従来は1スレッドのみだったので、この図(インテルの資料より抜粋)では“IMPROVE”(改良)と表現している。
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従来のCoreプロセッサーのL2キャッシュはコアあたり256KBで共有L3キャッシュを大きくとる設計だったが、Skylake-XではL2キャッシュがコアあたり1MBとなり、その反面L3キャッシュはコアあたり(最大)1.375MBに減らされている。しかもキャッシュのメカニズムも包括的キャッシュから排他的キャッシュシステムに変わった。ちなみに、キャッシュの違いについては大原先生のこちらの記事(http://ascii.jp/elem/000/000/569/569422/)が最高にわかりやすい。

 Skylake-XではCPUの内部構造レベルで変更が施された一方、Kaby Lake-XはKaby Lake-SをそのままLGA2066に移し替えたような製品となっている。動作クロックが微増したこととCPU内蔵GPUが省かれていること、TDPが91Wから112Wに増えたという違いはあるが、キャッシュ構造やPCI Expressのレーン数はKaby Lake-Sとまったく同じだ。まさにオーバークロック(以下、OC)することを前提にしたCPUと言えるだろう。

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前回のレビューでも紹介済みのCore i7-7740XのES版。ヒートスプレッダーの形状が微妙に縦長、さらにRFIDチップも搭載されていない。
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CPU-ZによるCore i7-7740Xの情報。L2キャッシュやL3キャッシュの構成はKaby Lake-Sと一緒だ。

 今更だが新Core Xシリーズに合わせてリリースされた、Intel X299チップセット(PCH)についても軽くまとめておきたい。1世代前であるX99から一気に(X199を飛び越えて)X299までジャンプアップしたわけだが、内容的にはインテル200シリーズとほぼ同じと言ってよい。CPUとPCH間の接続バスがPCI Express 3.0相当のDMI3.0(従来はPCI Express 2.0ベースのDMI2.0)にグレードアップ。さらにPCH側から引き出されるPCI Expressバスも3.0仕様(従来は2.0止まり)、最大24レーンぶん引き出せる。

 ストレージまわりもZ270よろしく、OptaneメモリーやNVMeを使ったRAIDアレイの構築(Intel Rapid Storage Technology for PCI Express Storage)にも対応する。Core Xシリーズ向けチップセットはメインストリームよりもやや遅れ気味であることが多かったが、今回のX299でメインストリームに追いついたわけだ。あるいは、VROCこと“Virtual RAID On CPU”機能があるぶん、微妙に抜いたとも言える。

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X299のブロック図。DMIが2.0から3.0になったこと、IRSTが少し進化したこと以外は、全体の構造はほぼ同じ。Optaneメモリーにも対応している。

 Skylake-Xはクアッドチャンネルメモリー&PCI Express×28レーン以上なのに対し、Kaby Lake-Xはデュアルチャンネルメモリー&PCI Express×16レーンのみという仕様の違いを吸収するため、X299搭載マザーボードは組み合わせるCPUによって使えるメモリースロットやPCI Expressスロットの帯域が変わる。PCI Expressスロットの帯域についてはマザーボードの設計も絡むので割愛するが、メモリースロットに関してはSkylake-X装着時はCPUの両側にある合計8本のスロットが使えるが、Kaby Lake-X装着時は片側4本しか使えないようになる。

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Kaby Lake-XをX299搭載マザーボードに装着する場合は、CPUの片側(通常ATXメインパワーコネクター側)4スロットしか使えない。挿し方のパターンはKaby Lake-Sと同じ(検証に試用したASUS「ROG STRIX X299-E GAMING」のマニュアルから抜粋)。
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Skylake-XではCPUの両側のメモリースロットがすべて使用できる。

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