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VR全3部作を約5000人のアルバイト教育に活用

生産者の想いをVRで伝える塚田農場の新たな取り組み

2017年07月11日 16時30分更新

 みなさま、こんにちは。ASCII(週刊アスキー+ASCII.jp)編集部の吉田ヒロでございます。さて、居酒屋「塚田農場」を全国展開するエー・ピーカンパニーは、アルバイトスタッフの教育にVRの映像コンテンツを活用することを発表しましたよ。

エー・ピーカンパニーの大久保伸隆副社長。宮崎・鹿児島業態で展開する塚田農場のトップ。塚田農場の天王洲アイル店に出没するそうです

 発表会ではまず、同社の大久保伸隆副社長が登壇。塚田農場といえば、アルバイトスタッフのメニューや生産者についての詳しすぎる知識や、ジャブと呼ばれるサプライズサービスなど、ほかの居酒屋ではなかなかお目にかかれない接客でおなじみですね。

 これまでは、社員はもちろんエース級のアルバイトスタッフを宮崎県や鹿児島県に派遣し、生産者の仕事ぶりを見学・体験させることで意識や理念の共有を図り、実店舗での接客に役立てていたそうです。

生産者を招待して社員やアルバイトと交流を深める「AP万博」や、店舗運営のレベルを競う社内コンペである「APバリューアワード」などで同社の理念や生産者の想いなどを店舗運営や接客に生かす取り組みを進めてきたそうです。しかし、これまで現地研修に行けるのは、APバリューアワードの最優秀店舗に選ばれた店舗のアルバイトスタッフぐらいだったとのこと(自費で行くアルバイトスタッフを除く)

 しかし大久保副社長は、店舗の全国への拡大とそれに伴うアルバイトスタッフの増加ともに、このあたりの意識や理念の共有が薄れてしまうことに危機感を抱いていたとのこと。理想は全アルバイトスタッフを現地研修させることですが、そのコストは2億5000万円超となるので現実的には難しい。そこで、その解決策としてVRコンテンツによる研修を取り入れたとのこと。

 同社の理念は「食のあるべき姿を追求する」。同社が一貫して推進しているのが、生産者や自社農場から地鶏を仕入れて加工し、店舗で提供するまでの一連の流れを自社内で完結させること。これによって、生産者は生産に専念しつつ収入の安定化が図れるほか、現地に加工場を設けることで地域の雇用拡大にも貢献するという六次産業モデルです。

エー・ピーカンパニーは、生産から加工、流通、販売まで一手に手がける六次産業モデルを推進しています

 VRコンテンツは、雛センターの役割や雛の孵化の様子などを収めた「聖域編:日南雛センター」、雛から成鶏までの成長を収めた「養鶏編:阿萬農場」、大切に育てた地鶏が食肉に変わる瞬間を収めた「処理加工編:日南処理センター」の全3部作。処理加工編には、地鶏をシメる放血作業もVRコンテンツとして記録されている衝撃的な内容になってますが、同社としてはあえてこの映像を入れることで、生き物が食べ物に変わる瞬間をアルバイトスタッフに理解してもらいたいという狙いがあるそうです。

「聖域編:日南雛センター」「養鶏編:阿萬農場」「処理加工編:日南処理センター」のVRコンテンツ3部作をアルバイト研修用に制作

 発表会には、東京都内の実店舗で働く3人のアルバイトスタッフがVRゴーグルを付けて処理加工編のVR映像を体験。ホールスタッフとして働いている五反田西口店の後藤ゆりこさんは「VR映像見ることで、エー・ピーカンパニーの取り組みや生産者の想いを共有することで実店舗での接客に役立つと思います」とコメント。地鶏の炭火焼きのエキスパートに与えられる炎マイスターの称号付きユニフォームで参加した池袋サンシャイン通り店のキッチンで働く樋⽥勇太さんは「多くの人に手によって地鶏が部位ごとに食肉として加工されている様子がよく理解できた」とのこと。

鹿児島業態の塚田農場五反田西口店のホールスタッフとして働いている後藤ゆりこさん

編集部のちゅーやんもVRを体験。左はひったん

 今後の運用としては、まずはフェーズ1として東京・芝大門にある本社で大久保副社長が講師となってセミナー形式での研修を実施するとのこと。その後フェーズ2として、北海道/東北/北関東/北陸/関東/関西/九州の全国7エリアに複数台のVRゴーグルを常備し、各エリアのエリアマネージャーが講師となって同様の研修を進めるとのこと。

余談ですが塚田農場はいま北陸がアツイです。2016年7月に福井駅前店がオープンしたあと、2017年6月には金沢駅西口店、そして8月3日には富山駅前店がオープンします

 全国規模でのVR研修によってアルバイトスタッフのレベルがさらにアップし、いつでもどこでも質の高いサービスを受けられるようになることを期待したいところです。

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