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「複雑」なプランが裏目に出たFREETELとドコモの「シンプル」プラン

2017年05月06日 18時00分更新

 4月21日、FREETELに対して消費者庁から景品表示法に基づく措置命令が出され、その直前に起きた「スマートコミコミ+」への批判を含めて大きな話題になりました。こうして格安スマホ全体のイメージが悪化する中、タイムリーに登場したのがドコモの新プランです。

FREETELならではの発想が裏目に

 これまでにもFREETELは、新サービスの発表直後に指摘を受け、サービス開始前に仕様を変更することで回避するという「ぼや」が何度かありました。

 一方、今回「炎上」に至った理由は、2016年10月に発表した「かえホーダイ」が「スマートコミコミ」になり、「スマートコミコミ+」へと進化、そして今回の他メーカー機種追加と段階的に進化する中で、引き返すポイントを見失ったからともいえます。

スマートコミコミ+の原型となった「かえホーダイ」(2016年10月発表)

 当初のかえホーダイは、半年ごとに新しい機種へと交換できるようにすることで、型落ちの端末や、画面が割れた端末をしぶしぶ使い続ける「縛り」からユーザーを開放するという点が画期的でした。本来は、縛りを嫌うFREETELならではの発想だったのです。

 これを「知る人ぞ知る」プランとしてリテラシーの高い層だけに打ち出していれば、これほど大きな騒ぎにはならなかったでしょう。しかしスマートコミコミ+は、全国の量販店で販売されるFREETELの看板プランになっています。

 一般ユーザー向けとしては複雑すぎる上に、将来的にどのような機種にどのような月額料金で交換できるのか分からないという、不確定要素の多さも問題といえます。

店頭で配られるFREETELのパンフレット。これを読んでスマートコミコミ+の全貌を理解できるだろうか?

 たしかに、MVNO各社の競争は激しくなる一方です。その中でOCNやIIJといった老舗ブランドが強いことは言うまでもなく、楽天やLINEなども勢いを増している中で、同じことをやっていては勝てないというFREETELの苦しい立ち位置も理解できます。

 だからこそ、他社には簡単に真似できない施策に知恵を絞ってほしいところです。たとえば、昨年の「ポケモンGO」ブームに速やかに対応したように、今度は「マストドン」をカウントフリーの対象にするのはどうでしょうか。また、シャッター音が消せるFREETEL端末と同様、FREETELが扱う他メーカーの端末でも音を消せるようになれば、差別化につながるでしょう。

タイミング良く登場した「シンプルプラン」

 消費者庁による措置命令が全国的に報じられたことで、FREETELが評判を落とすだでなく、「格安スマホは危ない」という風評が広まっている感があります。これでは大手キャリアやそのサブブランドを利するばかりです。

 そんな中、4月27日にドコモが音声定額なしの「シンプルプラン」を発表したことが追い打ちになっています。本来、ドコモがターゲットにしたかったのは、家族でワイモバイルやUQモバイルに変えようとしていたユーザーでしょう。

タイミングよく登場した「シンプルプラン」(NTTドコモのWebサイトより)

 しかし一連のFREETEL問題の直後だったこともあり、格安スマホに疑問を感じ始めていた消費者に向けて、「やっぱりドコモのほうが安心」と訴求できたのは興味深いところ。これにより格安スマホの増加ペースが鈍ることになるのか、注目です。

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