2017年04月20日09時00分

グーグルはAndroid Wear 2.0をどんな発想で開発した? 独占インタビュー

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Android Wear 2.0の変更点をデベロッパーに紹介するための動画でも、ウォッチフェイスを簡単に変更できることが紹介されている

Singleton氏お気に入りのウォッチフェイスは?

 すでに述べたように、Android Wearにおいて「ウォッチフェイス」は重要な位置を占める。Singleton氏も、個人としてAndroid Wearで一番使っている機能はウォッチフェイスを挙げる。そこで、Singleton氏自身の使い方についても聞いてみた。


Singleton:おおむねすべての機能を使っていますが、やはりウオッチフェイスの使い分けが便利です。現在は主に3つのウォッチフェイスを使い分けています。

 まずは、ウォーキングの時などに使うもの。これは時間をシンプルなデジタル表示にして、ペースや距離などを表示しています。あと、さきほど話したように、常に日の出・日没を出しています。仕事後にワークアウトに行くことが多いのですが、いまどのくらい外が暗いのかを知りたいんですよ。これが1つめですね。

 2つめは仕事中に使うものです。これは重要な情報がなにか、を考えてカスタマイスしたものです。カレンダー情報を出して「次にどこへ行くべきか」が判断できるようにしています。また、チームがサンフランシスコとロンドンに散らばっているので、それぞれの時間がすぐにわかるようにもしています。ストックマーケットの情報も表示していますね。

 最後のものは、非常にトラディショナルな時計の文字盤を模したものです。家に帰った時などに、切り換えて落ち着くために使います。ただ、ひとつカスタマイズしているのは、文字盤を子供たちの写真にしていることですね。いつでもウォッチフェイスを見れば、笑顔になれます(笑)

 重要なのは、これらをいつでも切り換えられること、そしてウオッチフェイスから情報にきちんとアクセスできることです。

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Android Wear 2.0に対応している主なスマートウォッチは、ZenWatch 2 &#38

「選択肢の広さ」こそAndroid Wearの価値、iOS対応拡大も「選択肢拡大」のひとつ

 冒頭でも述べたように、Android Wearの美点は「多数の端末が存在すること」だ。その中でSingleton氏は、どれが好みなのだろうか? 「それは私の子供にも聞かれたばかりの質問ですよ(笑)」とSingleton氏は言うものの、直接的に好みの端末がなにかを答えてはくれなかった。だが、まさに「どんどんバリエーションが増えること」の利点を協調した。


Singleton:我々は様々なパートナーとともに製品を作っており、それぞれに良いところがあります。私がAndroid Wearのエコシステムの中で気に入っているのは、すべての人が違う製品を身につけることができる、ということです。

 もちろん、これがまだ始まったばかりだ、ということは認識しています。しかし「ひとつですべてをカバーする」モデルでないことこそが、最大の美点だと思います。だから私のチームの人間も、それぞれ別のAndroid Wearをつけていますよ。ある人はシンプルなもの、ある人は伝統的なクロノグラフに近いものを、それぞれ好きなものを選んで使っています。


 一方で、「多様な選択肢を用意すること」という観点から、Singleton氏は少々意外な方向に話を広げる。それが「iOS対応」だ。

 Android Wearは2015年秋、iOS用の連携アプリケーションを公開、AndroidスマートフォンだけでなくiOSにも対応した。Android Wear 2.0ではiOSへの対応を実質的に拡大した。

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Android Wear 2.0はスタンドアローンで機能し、スマートフォンのブリッジなしに、メールやアプリからの「通知」を受け取ることができる

Singleton:iOSのサポートは非常に重要な意味を持ちます。

 我々の基本的な方針は「選択肢が存在すべき」ということなのです。ですから、どの電話であっても、Android Wearが使えるべきだ、という考え方です。ですから、(Android Wear 1.0系のうちに)iOSのサポートを追加しました。

 しかし、iOSの制限から、これまでのAndroid Wearでは機能に制限が生まれてしまっていました。アップルとは非常に密接な関係を保っており、彼らとはとても良い仕事ができていると思っています。しかし現実問題として、過去のAndroid Wearでは、AndroidスマートフォンとiPhoneの上で機能に大きな差が生まれてしまっていました。ですから、Android Wear 2.0では変更を加えたのです。

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スマートフォンのOSに依存しないので、例えiOSユーザーでも、Android Wear 2.0対応スマートウォッチであれば直接、Google Playストアにアクセスできる

 Android Wearの体験を大きく変えるのが、「Google Playストア」の統合です。Android Wear 2.0のローンチにおいては、この点を非常に重視しました。新しいアプリケーションモデルを導入し、Android Wearから直接Google Playストアにアクセスできるようになり、アプリをダウンロードできるようにしたのです。

 すなわち、OSによる機能差を極力なくすことがひとつの目的でした。Androidについても、最新のAndroid 7を搭載したデバイスだけでなく、より古いOSで動く端末や、パワフルでないスマートフォンも対象です。

 しかし、Google Playストアの統合は、対象拡大でなく、ユーザビリティの問題でもあります。SNSやメッセージングで新しいアプリを知ったら、すぐに試してみたくなりますよね。アプリを入手するのであれば、スマートフォンの側から行うのではなく、Android Wearから直接アクセス出来る方が直感的で自然だ、と考えたのです。


 現在のスマートウォッチやウェアラブルデバイスは、あくまでスマートフォンのコンパニオンデバイスという側面が強い。そこはAndroid Wear 2.0でも大きく変わっていない。

 しかし、コンパニオンデバイスであったとしても、いちいちスマートフォン側がどんなOSなのかを強く気にしたり、セッティングの変更をスマートフォン側の設定に依存したりするのは使い勝手が悪い……。そう考えたのだろう。

 この辺は、ライバルのスマートウォッチと一線を画する。シンプルな通知のみを組み込んだスマートウォッチは、その性質上、設定の多くをスマートフォン側に依存する。Apple Watchは、アップル製品であるだけにiOSのコンパニオンデバイスで、iPhoneやMacとしか連携しない。

 こうした「懐の広さ」を、Android Wearはひとつの武器にしようとしているのである。


西田 宗千佳(にしだ むねちか)

 1971年福井県生まれ。フリージャーナリスト。得意ジャンルは、パソコン・デジタルAV・家電、そしてネットワーク関連など「電気かデータが流れるもの全般」。取材・解説記事を中心に、主要新聞・ウェブ媒体などに寄稿する他、年数冊のペースで書籍も執筆。テレビ番組の監修なども手がける。

 主な著書に「ポケモンGOは終わらない」(朝日新聞出版)、「ソニー復興の劇薬」(KADOKAWA)、「ネットフリックスの時代」(講談社現代新書)、「iPad VS. キンドル 日本を巻き込む電子書籍戦争の舞台裏」(エンターブレイン)がある。

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