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3ヵ月経つだけで何かが変化、日本の匠の技を守り、常に進化続ける「富士通島根工場」を見た

2017年02月26日 00時00分更新

分社から1年、改めて富士通のモノづくりをアピール

 富士通クライアントコンピューティング(以下FCCL)は2月22日、ノートノートやタブレットの製造拠点である島根富士通 本社工場(島根県出雲市)に報道関係者を集め、同社の製造ラインや事業の最新動向について説明した。

 FCCLは2016年2月1日に、富士通のパソコン部門が独立した会社。今年2月に設立1周年を迎えている。そして“FCCLの匠体験会~FCCLのテクノロジーの今と未来”と銘打つ、この説明会は語呂合わせで“ふじつう”と読める2月22日を選んでいる。

 日本ならではのモノづくり=“匠”の技術を製品にどう取り入れるか、これを取り入れたパソコン関連製品をどう活用していくかをアピールする意図がうかがえる。実際に稼働している島根工場の製造ラインの公開に加えて、富士通のパソコンや製品を利用して、何を実現するか、ソリューション提案の時間を多く取っていた点も特徴だ。

同じラインにパソコンもタブレットも流れてくる

 富士通・島根工場の特徴は“多品種・小ロット・混流”のラインによる生産を実現できている点だ。広大な工場は大きくA棟、B棟の2つに分かれており、同数の半導体基板の製造ラインと、パソコンやタブレットなどの生産ラインが用意されている。

製造ラインの様子

タブレット用の部品とA4ノート用の部品が同じラインに流れる。

 島根工場で生産される製品の約2割がタブレットだという。組み立てコンベアの長いラインには、タブレット用の部品とパソコン用の部品(しかも機種もバラバラ)が一緒に流れてくる仕組みだ。装置(パソコンやタブレット)の製造については日産で最大1万台程度のキャパがあるそうだ。

工場のレイアウト。フロアの半分が部品置き場になっている。ここで集めた部品をほぼ10本ある製造ラインに流す。品出しされているのは約4時間分(半日)で、生産が進むと補充されてくる。

 広い工場は、そのスペースの多くが部品を置くためのスペースになっている。組み立てコンベアには、タブレットやA4ノート用の部品を混流して流すが、その部品も複数台ぶんをまとめてピッキングする形をとっている。従業員はカートに備え付けられたタブレット画面の指示に沿って、計算された効率の良い経路で部品を見つけ、さらにピッキング時には、手元のウェアラブル端末で、部品のRFIDカードを読み取り、間違いや取り忘れを防ぐ仕組みを取っている。

ピッキングの様子

写真のようなカートの上にタブレットが置かれており、そこに書かれた場所に向かって順番にピックアップを進める。

手元のウェアラブル端末でRFIDを読み取ることでミスを防ぐ仕組みだ。

 タブレットの経路指示によって移動距離が15%減。さらにモバイル端末から作業指示をすることで年間60万枚のペーパーレス化を実現したという。このストアピッキングシステムのノウハウは他社にも提供しており、ピッキング効果が50%アップした事例もあるという。

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