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iPhoneはMVNOが生き残るための武器になるか

2017年02月01日 10時00分更新

 BIGLOBEが「iPhone SE」を販売することを1月19日に発表しました。2016年11月から販売開始した「iPhone 6/6 Plus」と同じく、海外版の新品または整備品を調達して販売するという手法が注目を浴びています。

新品と整備品が混在、技適マークあり

 BIGLOBEが販売するiPhone SEは海外版の新品、または新品並みの水準のメーカー整備品とされています。容量は16GB、本体カラーはゴールドに固定されているものの、シャッター音が鳴るものと鳴らないものが混在しているなど、買ってみるまで仕様がわからない点があるというのが特徴的です。

「海外版 新品またはメーカー製備品」と説明されており、どちらが届くかは買ってみるまで分からない。

 海外版として気になる技適マークについては、BIGLOBEによれば問題なく表示されるとのこと。また、iPhone SEの具体的なモデル名は「A1723」とのことですが、今後調達するモデルによっては変更になる可能性もあると回答しています。

 電源アダプターも日本の規格とは異なるため付属しません。商品の梱包は外箱に本体や付属品が巻き付けられたようになっていますが、これは電源アダプターがないことを強調するためとのことです。

秋葉原のショップ店頭に並んでいるような出で立ちが気になる。

国内版より割高だがワンストップの価値は魅力的

 このように特殊な点が多いBIGLOBEのiPhone SEですが、価格は月額2080円の24回払いで合計4万9920円(税別)。これに対して日本のアップルは16GB・ゴールド色のSIMフリーiPhone SEを4万4800円(税別)で販売しています。

 BIGLOBEが1月末まで展開していた「6カ月値引き特典」キャンペーンなどを活用すればそれを下回る可能性はあったものの、SIMフリーのiPhone SEを購入するほうが確実で、容量やカラーの選択肢も豊富といえます。

 割賦購入のため、最初に約5万円を用意する必要がないこともメリットですが、アップルの公式ストアでも、ローン会社との提携により24回まで金利なしの分割払いで購入できるキャンペーンが2017年3月31日まで実施されています。

 ただ、スマホに詳しい人が言うところの「SIMフリーで買えばいい」という情報は、難しいことを考えたくないという初心者にとっては、あまり意味のない情報ともいえます。そして最近のMVNOではそういったユーザーがメインターゲットになりつつあります。

 こうなると、格安のiPhoneをワンストップで買えるという点が大きなメリットになってくるはずです。

あの手この手でiPhoneにアプローチするMVNO

 いま、最新のiPhoneを販売できるのは事実上大手キャリアに限られるとされています。例外的にiPhone 5sを販売しているのが、ソフトバンクのサブブランドである「Y!mobile」とKDDIグループのMVNO「UQ mobile」で、両ブランドでは人気端末になっています。

UQモバイルで人気端末になっているという「iPhone 5s」。

 これに対抗して、あの手この手でiPhoneを取り扱おうというMVNOも出てきています。iPhoneがあれば大手キャリアでiPhoneに慣れたユーザーに訴求できるのはもちろん、24回の割賦で販売すれば多くのユーザーが24ヶ月間使い続けてくれる可能性が高まります。

 ただ、MVNOがどんなルートからiPhoneを仕入れ、どのように売るかは全くの自由ではあるものの、こうした抜け道的な販売手法がどんどん広まることには不安を覚えます。

 アップルは長年に渡って「iPhoneを買う」というユーザー体験を慎重にデザインしており、その積み重ねが今日のiPhoneのブランドイメージにつながっています。BIGLOBEほどの大手MVNOが、仕様もあやふやなiPhoneをラップでぐるぐる巻きにして売り始めるというのは、本来なら避けたかった事態ではないでしょうか。

 2017年には、そろそろMVNOの淘汰が始まるのではないか、と予想されています。それまでの間に、MVNOがより自然な形でiPhoneを取り扱えるようになるかどうか、注目しています。

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