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「遺伝子導入マウス個体高速作製法」によって発見

「睡眠障害も解消?」理研・東京大学が体内時計のタイマー機構を発見

2016年12月26日 19時57分更新

 理化学研究所生命システム研究センター合成生物学研究グループの上田泰己グループディレクター(東京大学教授)、大出晃士客員研究員(東京大学助教)、鵜飼英樹上級研究員、洲崎悦生客員研究員(東京大学助教)らの共同研究グループは12月23日、体の一日を刻むタイマー機構を発見したと発表した。

 地球上の生物の多くは24時間周期のリズムを持って行動している。こうした行動リズムは、概日時計と呼ばれる全身の細胞が持つ時計機能が生み出している。しかし、周期長がなぜ24時間なのかは、不明な点が多く残されている。

 共同研究グループはさまざまに機能を変化させたタンパク質を持つ遺伝子改変マウスを効率よく作製する新しい手法「遺伝子導入マウス個体高速作製法」を確立した。この手法により、概日時計機能を失ったマウスにさまざまに機能を変化させたタンパク質をコードする遺伝子を導入し、概日時計機能を補完することが可能になった。

 その結果、概日時計を動かすために重要な働きをするCRY1タンパク質の特定の領域がタイマーのように働き、マウスの周期長を決定することを発見した。このタイマー領域は、生体内でタンパク質機能の制御によく用いられるリン酸化と呼ばれる化学修飾(リン酸化修飾)を受けていることから、タンパク質内のリン酸化修飾が巧みに時間を数えることで、正確に24時間の周期を刻む可能性が強く示唆されたという。

 今後薬物でタイマー領域のリン酸化を制御できれば、概日時計の周期長を効率的にコントロールし、概日リズム睡眠障害などで効果的な治療ができると期待されている。

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