秋の訪れを感じる11月。日本国内でサービスが始まった「Apple Pay」がどのくらい日本各地で使えるのか、実際に旅に出て確かめてみました。
何度も報じられているように、Apple Payでは三井住友カードやJCBカードなどによるキャッシュバックのキャンペーンがあり、手持ちのクレジットカードの種類によっては数万円分の還元を受けることが可能。これを活用すれば旅行資金の足しになるというわけです。
交通系ICカードの普及でApple PayもOK
大阪・伊丹空港に飛行機で着陸し、到着ロビーを出るとすぐに大阪空港交通のリムジンバスが発着しています。空港から梅田やなんばの中心部に行く際、筆者がよく利用しているのがこのバスです。
Apple Payなら乗る前にSuicaの残高を素早く確認できる上に、登録したクレジットカードでその場でチャージできるのも便利な点です。
地方と困るのが残高の問題です。東京ではPASMO一体型のクレジットカードにオートチャージを設定しており、普段はチャージのタイミングを気にすることはないものの、地方ではオートチャージが機能しないため、いつ残高がなくなるかとても不安なのです。
最近では交通系ICカードの相互利用が全国的に進んでおり、地方でもSuicaが使える(=Apple Payが使える)のは便利でした。海外だと、デンマークのように小さな国を除けば、都市ごとに互換性がないのが当たり前という状況だけに、日本の相互利用はかなり進んでいるといえます。
Apple Payで困ったこと
旅先でApple Payを使っていると、いくつか困ったこともありました。名古屋と中部国際空港(セントレア)を結ぶ「ミュースカイ」の場合、切符は交通系ICカードで買えるものの、券売機にカードを挿入する必要があり、iPhoneやApple Watchは物理的に使うことができませんでした。
JR東日本のエリアでも、交通機関によってはSuicaに未対応のものが残っています。たとえば秋田空港から秋田駅に向かうリムジンバスは現金のみの対応で、クレジットカードも使えない状態でした。
ただ、筆者が2回乗った印象では乗客がほとんどおらず、新たな設備を導入するのは苦しい状況であることはうかがえます。
那覇の「ゆいレール」は、以前からSuicaに未対応であることが分かっていたので、専用のICカード「OKICA」を用意して行きました。那覇市内のコンビニではApple Payの案内もあり、SuicaとiDを問題なく使うことができました。
気になる挙動として、Apple WatchではSuicaが使えない状態に陥ることがあります。自動改札を通ろうとしてSuicaが反応しないと、後続の人がつっかえてしまいます。これを防ぐには、改札を通る前にApple Watchのボタンを押してSuicaの状態を確認する必要があります。
iDによる決済では、秋田のお土産物屋さんのレジカウンターで、決済端末の画面に「読み取りエラー」が発生。2回試しても同じエラーになるので、店員さんに決済端末をリセットしてもらい、あきらめて現金で支払いました。
決済以外には、やはりApple Watchは充電が面倒という点が気になります。専用ケーブルではなく、Lightningケーブルで充電できるようになれば、もっと気軽に持ち出せるのですが。
次のステップはNFC Type-A/BのApple Payも
全体を通して、おおむね問題なく利用できたApple Payですが、まだ「お財布いらず」とまではいかない印象でした。
Apple Payに期待したい次のステップは、海外で普及が進むNFC Type-A/Bベースのモバイル決済への対応です。筆者は8月に海外でメインのクレジットカードを盗まれ、切り替えるのに苦労しました。訪日外国人の利用だけでなく、日本人にとっても、クレジットカードをApple Payでセキュアに使える時代になってほしいものです。
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