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GLAY TAKURO「音楽が身近になって歌詞だけ置いてけぼりに…」

2016年09月15日 11時40分更新

9月14日行なわれた「Lyric speaker」の完成披露会に「GLAY」のTAKURO氏が登壇した。

 世界初の歌詞が見えるスピーカー「Lyric speaker」の出荷日が正式決定した。

 Lyric speakerは、博報堂が設立したクリエイティブ集団によるベンチャーSIXが企画した製品。クリアなボディに22インチ透過型液晶を装備したWi-Fi接続ワイヤレススピーカーで、スマホなどから音楽を流せばインターネット経由で歌詞データを取得。音楽に合わせてビジュアライズされたテキストを画面に表示する。専用アプリがiOS版、Android版で提供されるほか、iPhoneではiOS純正音楽プレーヤー(ミュージック)ほか、Apple Music、Google Play、AWAなどが対応する。

歌詞をクリアなボディに表示する。

 様々なオーディオがある中で“歌詞”に着眼したこれまでにないスピーカーだ。

 価格は32万4000円でプレオーダーは6月15日から開始。この度、正式に出荷日を11月14日と発表した。

歌詞データベース会社であるシンクパワーと提携し、120万曲を越える楽曲に対応する。ウーハーは一見小さいが、GLAYのTAKUROさんが驚くほど音質も良い。

 9月14日に開催された製品の完成披露会では、ロックバンド「GLAY」のTAKUROさんが登壇。GLAYのほとんどの楽曲を作詞しているTAKUROさんが、Lyric speakerの持つ意義を語った。TAKUROさんは近年歌詞というものがないがしろにされていると感じていたそうだ。

TAKUROさんが自信の音楽についての想いを絡めてLyric speakerへの期待を語ってくれた。

 以下、TAKUROさんが製品への期待を述べるうちに出た“音楽”についてのコメントの一部だ。アーティストならではの想いが垣間見えた。




●音楽が身近になっていくほど
 歌詞だけはおいてけぼりになっていった

株式会社 SIX Lyric speaker開発チーム代表 斉藤迅氏(左)と、Mistletoe株式会社 代表取締役社長 兼 CEO 孫泰蔵氏(右)とトークセッション。

 Lyric speakerを開発中に体験させてもらって、一番最初に思ったのは、英語にせよ日本語にせよ、漢字、カタカナ、ひらがな、文字って美しいなということ。曲によってフォントを変える、雰囲気を変える。長年、テクノロジーの進化によって音楽が身近になっていけばいくほど、なぜか歌詞だけは置いてけぼりという印象がミュージシャンにはありまして。特に作詞作曲をするシンガーソングライターの人たちは、たぶん少しだけさみしい思いをしていたと思うんですよね。配信の会社によっては歌詞を出したり、歌詞を出さなかったり。ただ音楽を楽しんでくれって姿勢の会社もありましたから。

音楽が“配信”メインになってから歌詞カードをじっくり見る機会が減った、などの背景がある。

 歌詞を書く物書きの自分としては、(Lyric speakerを)よく作ってくれた。例えば、“あいたい”って言葉ひとつをとっても、どう漢字をあてるか、ひらがなで書くこともあるし、日本語にはいろんなあて方があるから、そんなことをフォローしてくれるすごい味方を得た気持ちになりました。

 GLAYのTERUも(Lyric speakerを)2台注文しました。メンバーだけではなく、会ったミュージシャンと話しているんですけど、みんな興味津々ですよね。今までは聞くだけだったもの(音楽)が、目で見るってどういうこと、雰囲気が変わるってどういうことって。興味をもって熱心に聞く人が多かったです。


●一小節の中に情報をなるべく詰め込んでいく
 という時代は変わっていくかも

GLAYのTERU氏もLyric speakerを2台注文したということ。

 僕らはデビューして20年以上経つのですが、毎回新曲が出てPVを作るたびに、どんどんもっとすごい映像を、もっと派手な映像をってなっていく中で、「その曲じゃなくてもいいんじゃないの」って映像になっちゃうんですよね。世の中の人がびっくりするような映像を撮れたらいっちょあがりって風潮が音楽業界全体にある中で、それはちょっと違うんじゃないのってこのスピーカーを紹介する時に思って。

 映像もなにもかも、その曲のメッセージを伝えたいだけなのに、いつの間にかどんどんとエスカレートしてる自分がいるなと気がつかされたことがありました。

独自の歌詞ビジュアライズ技術「Lyric Sync Technology」は、PVづくりに利用したいという人のために無料で期間限定公開される。TAKURO氏は「(アーティストにとって)ものすごい朗報だったり、ものすごく力強いプロジェクト」とコメント。

 メロディーがあって、ハーモニーがあって、歌詞があって、歌い手がいて、それを支えるバンドもあってという。音楽はこれからそんなところに戻っていくのではないかなと思っています。

 一小節の中にどれくらい情報を詰め込めればっていう時代は長かったけれど、今は良いメロディと良い言葉があれば、そしてこのスピーカーがあれば、お金があろうかなかろうか、環境が良かろうが悪かろうが、伝わる音楽というのものが新たに出てくるんじゃないかなと。

GLAYの「グロリアス」がLyric speakerで再生されるとこんな感じ。

楽曲の雰囲気を“産総研”が解析し、それに合わせたビジュアライズ。

「Ah」。文字の勢いで曲の爽快な雰囲気がより盛り上がった。


●ある種のフォーマットに乗った音楽は
 言葉から逃げられない

 コンサートでどんどん技術が上がっていくと、いろいろな技術を海外から取り入れて、日本でもやってみて。それがまたコンサート技術の発展には繋がっていったんですけど、すごく派手な照明と同じくらいモニターに歌詞を映し出すということは(喜んでもらえました)。

 ライブのあとにアンケートをやるんですけど「最近、見ていなかった歌詞だけど、おとなになってこの歌詞の意味がわかるようになりました」っていう嬉しい回答があったりもして。それは何百万円かけた演出と同じくらい。文字を出すというだけでも、例えば、それが直筆だったらより伝わるかもしれないし、フォントの趣向をこらすことで意味が伝わるかもしれない。

こちらは優しい曲調の「軌跡の果て」。ビジュアルもしっとした雰囲気になった。

 どこまでいってもある種のフォーマットに乗った音楽は言葉から逃げられないので、逃れられないのだったら、言葉の意味を最大限に伝わるように文字にしてやろう。それもまた演出のひとつとしてものすごい効果があるんだなって感じたことがありました。

 あらためて思いますけど、文字はどの世界のどの言葉も美しいですよね。英語もそうだし、フランス語もそうだし、僕らが読めないようなアジアや中東の文字も、その国々の人たちはとても美しいものとして取るものなので。こうやって言葉を考え直す良いきっかけになりました。


●歌詞を書くことはものすごく孤独な作業

「文字を目で追いながら歌をきくというのは長らくカラオケに奪われていて、そんな時代が長かったんですけど、ようやくミュージシャンの意向も組んでくれた」

 モノを書くとかモノを作るとかってとても孤独な作業で、自分と向き合って正直に書かねばならないと思いながら書いたものが、Lyric speakerを使うことで(あらためて)自分はこうやって考えていたんだって発見になるし、自分の言葉で足りなかった部分を補ってくれるかもしれないですね。

 音楽はどんどんその人の心の中で成長していくものなので、もしこのスピーカーを自宅や目に付くところに置いてあることで、何年か経ってまたふとしたときに僕の書いた歌詞がその人の人生の何かしらの糧になればなあって、そう思いながら言葉というものを繋げています。

製品の手ごたえを感じて満面の笑顔を浮かべる開発チーム代表 斉藤迅氏(中央)を囲んで。

※コメントは一部省略しています。

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ナベコ

寅年生まれ、腹ぺこ肉食女子。特技は酒癖が悪いことで、のび太君同様どこでも寝られる。30歳になるまでにストリップを見に行きたい。Facebookやってます!

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