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研究とニーズの橋渡しを オムロンベンチャーズ設立

2016年05月23日 06時30分更新

 大手企業によるスタートアップ企業への支援が加速している。直接的な投資や協業だけでなく、ピッチイベントの開催、イベントへの協賛、インキュベーションプログラム、アクセラレータープログラムの実施など。大手企業は何を狙い、スタートアップ企業へと近づくのか。

オムロン 第3回(全4回)

 オープンイノベーションによる新規事業の創出を目指してベンチャー支援を繰り広げるオムロン。連載3回目は、そのキーパーソンである事業開発本部新事業創出センタ長であり、オムロンベンチャーズの小澤尚志代表取締役社長に、これまでの経歴やベンチャー支援の考え方などについて話を訊いた。

民間から大学、そして再度民間への転身で学んだこと

 小澤氏は1995年に京都大学大学院工学研究科修士課程を修了すると、一旦メーカーに就職して研究員となる。だがしばらくすると母校より声がかかって当時脚光を浴びていたナノ材料についての研究に従事することとなった。

「最初の就職先ではテクノロジー的にはどちらかと言うとローテクな研究領域でしたので、もっと先進的な研究をしたいなと思っていた矢先に大学から声がかかりました」と小澤氏は振り返る。

 これ幸いと戻った大学では、やがて博士号が授与されて、助教として教鞭もとった。ちょうどその頃、オムロンでは光通信用の光スイッチに関わる新規事業を推進しており、そこでは小澤氏の専門領域であるナノ材料を活用した研究開発に力を入れていた。同社のニーズと同氏の研究領域がマッチしたこともあり、2003年に小澤氏は研究員として同社に就職したのである。

 入社後、小澤氏が従事した研究開発は実を結んだものの、技術的な革新性にもかかわらずその後の事業自体は期待されていたほどには成長しなかった。

「この時に、いくら良い技術を生み出しても、世の中の課題にマッチしていなければビジネスとしてはうまくいかないのだなと深く知りました」と小澤氏は言う。

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