※週間リスキーはアックン・オッペンハイマーとやんちゃデジタルKidsたちがテクノロジーとサブカルチャーの交差点からお届けする、たいへんマニアックなコーナーとなっております。初見の方はご注意ください。
毎年、MWCへはモバイル業界の各メディアから記者やライター、ジャーナリストの方々が取材で現地に飛んでおります。イベント最終日は媒体の垣根を超え、みなさんで集まって慰労会を行なうのが恒例となっております。
せっかくそうそうたる識者がそろうのですから、イベントを振り返りつつ意見交換しましょうということで、毎度その年のMWCを象徴する“お題”を2つ決め、ひとつを選択して感想を述べ合ってきました。その模様を、コチラもいつものごとく“覆面座談会”というカタチで公開させていただきたく思います。2016年のお題は以下の2つ……。
A. Windows 10スマホって世界的なブームになりそう?
B. VRの展望は? そもそもVRってモバイルのモノなの?
日本メーカーからはWindows 10 Mobile端末の展示が目立ちましたが、世界市場でWindows 10 Mobileはどうなっていきそうなのか? また、スマホ以上にVRが目立った今回のMWCですが、はたしてコレって一時的ブームなのでしょうか、あるいは今後も続いていくのか、そもそもVRってモバイルが主戦場になるの? といったギモンを業界の(ハッキリ言って超)豪華メンバーが酒池肉林の席で語ってくれました。こんなことは滅多にございませんので、どうぞ心してお読み遊ばせくださいませ。
A. Windows 10スマホって世界的ブームになるの?
「Androidはもう新興国しか売れないでしょう。Windows 10 Mobileは企業導入が進む下地ができつつあるので、気がついたら3~4年後にはみんな持っているという感じになるのでは?」
「個人的な印象では、Windows 10 Mobileが伸びるって気配はまるで感じませんでした。ただ、iPhoneとAndroid以外の選択肢は常にあるべきと思います。(第3のOSが)普及するには全キャリアがコンシューマー向けに扱うことが重要かと」
「マイクロソフト(MS)ブースでは日本メーカーのWindows 10 Mobileが注目を集めていましたね。世界的にはイケそうに思いますが、逆に日本が厳しいかと。何はさておき、まず日本語入力をなんとかしてほしいものです」
「MSブースに並んでいるWindows 10 Mobileを見ると日本メーカーが勢いあるように見えますが、海外ではLumiaの存在が大きいですからね。一概に日本がリードしているとは言えないでしょう。もちろん、日本のWindowsスマホもそれぞれに魅力があるので売れてほしいです。ContinuumでノートPCみたいに使える部分を評価する声も高いですし、Windowsならではの魅力はあるかと」
「日本と海外の違いはMS自身が端末を出しているか否か。MSの日本法人は当事者意識がないですよね。フィードバックをもらったら対応するという感じなので、もっと日本のMSが端末の売り方などを考え、ユーザーからの声を真摯に受け止めたほうがいいでしょう。そうすれば業界全体が盛り上がると思います」
「今回、ファーウェイがノートPCを、HPがスマホを発表するなどスマートデバイスには境目がなくなったと思う。共通点は“Windows 10 Mobile”というだけ。PCとスマホは完全に融合したのではないでしょうか」
※「だからこうしてPC系ライターとモバイル系ライターが一堂に会しているのではないか」と総ツッコミをくらうPJ(Wはなくなったの、Wの悲劇)。
B. VRの展望は? そもそもモバイルのモノなの?
「VRのプラットフォームにFacebookが出てきましたね。ああいう場所にアップロードして手軽に楽しめるようになるのはいい。2017年に向けて本格的に対応デバイスが増えると思います」
「VRゲームやVR映画には無限と思える可能性を感じています。ただ、180+180の360度だと奥行き感と没入感が少々不足している気も……。エンターテイメントとして確立する一歩手前のような時期なので、たとえば結婚式に行かれないのだけど参加した気分になれるとか、海外のコンサートを会場にいるかのように観れるとか、より身近なコンテンツの入り口として、VRとモバイルは相性がいいと思います」
「アダルト向けのVRコンテンツは、両手が空くので自由度が高くなるのがいい。ユーザーエクスペリエンスをシェアできますね」
※ちょっとナニ言ってるかワカンナイ……。
「モバイルを使ったVRはメインストリームにはならないと思う。といってOculusでもなくて、本命はPlayStation VRかと。スマホのVRはとっかかりとしてはいいけど、発展させていくと、やはり専用機には敵わない。PS4と組んだところがVRで勝利するのでは?」
※最後にこのコメントに対する反論がございます。
「今年のMWCは『モバイルじゃないモノはこの世に存在しない』という勢いで、その中にVRもあった。VRって10年くらい前にEVFを見たときのような感じだよね。進化していけば夢のような世界が広がっていく。VHSが普及したように、ある特定のジャンルが盛り上がってくれば(VRも)『Mobile is Everything』になるでしょう」
※EVF=カメラのファインダーに液晶画面を用いたもの。
「某ネットカフェではVRのレンタルがウケているそう。過渡期のソリューションとしてモバイルベースはアリかと。これからどういう方向に行くのか、たとえばWiiみたいなものや映画館の4DX、もしくはテーマパークのアトラクションなどいろいろ考えられます。モバイル向けのVRは個人用途がメインになるのではないでしょうか」
「劇場などのライブ・ビューイングが最初に来る気がします。日本でウケているコンテンツはAKB48しかり、ジャニーズしかり、ラブライブしかり、すべてグループ。通常のライブ映像では基本的にアングルが固定されちゃいますが、VRなら自分の推しメンだけを見るという楽しみ方が可能です。パッケージやダウンロードコンテンツとして、モバイルのVRで楽しめるといった特典を付けるなど、可能性が広がりそうです」
「チップセットも進化し、スマホでもリッチなVR体験ができるようになりましたね。Oculus RiftとGear VRを比べると、やはり前者は一般ユーザーにはハードルが高い。高性能なパソコンに、機材も一式そろえないと。Gear VRはホントお手軽なので、Galaxy専用とはいえ世界で普及しそう。あとはIoTと5Gが進めば、目の前の映像を遅延なくストリーミングできるようになる。ここからがモバイルVRの本領発揮かと」
「VRはまだまだ過渡期。ヘッドマウントにスマホを入れるというのすら、まだ敷居が高いように思える。サムスンの発表会のように、映画館とかでみんなで見るというのが当面の主流になるのではないでしょうか」
「(サムスンのブースで)VR初体験でしたが、ホント楽しかった! イスも動くし、こんな臨場感のあるVRを体験してしまうと、もう中途半端なコンテンツでは満足できなくなってしまいますね。ほかにも試しましたが、HTCのViveはさらに没入感が優れていると感じました。LGのはメガネタイプで装着しやすいですが、外が見えちゃうのでダメですね」
「とにかくサムスンの発表会が衝撃的だった。VRはひとりで楽しむモノと思っていたけど、映画館で知らない人同士が同じ空間を共有するのと同じ感覚が得られましたね。今後のエンターテインメント分野で主役になるのはもう疑いようがないです」
「サムスンとHTC、そしてLGで何が違うのかというと“解像度”。サムスンとLGは解像度は低い。SoCのGPUの性能が追いついていないから、上げたくても上げられない。GPUの性能はどんどん上がっているので、スマホでOculusクラスの解像度を処理するのも数年待たずに可能になるでしょう。デスクトップでできることがノートPCでもできるようになり、ノートPCでできることがスマホでもできるようになってきた。スマホかどうかはさておき、VRはモバイルのモノになります。逆にゲームコンソールは数年経ったら消え去ると思う。モバイルじゃないものは生き残っていけませんよ」
いや~今回は、なかなか白熱しました。なお、参加者を特定するようなツイートなど、くれぐれもせぬよう、お願い申し上げます。いろいろあるんですよ、オトナの世界には。また次回もできるといいです。来年は女子同伴で取材したいな……。(ACCN)
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