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量産体制は万全!?4月と発売控えたVRHMDの実力とは?

HTC Viveが他のVRHMDに勝てる6つの理由

2016年02月21日 13時00分更新

↑写真は左からHTC Viveプロジェクト責任者のRaymond Pao氏、同席した週刊アスキーのジサトラ カクッチ、HTC日本 代表取締役社長 玉野浩氏。

 アスキーでは最もVRヘッドマウントディスプレー(VRHMD)を被っているVR大好きっ子ハッチです。スマホメーカーで知られるHTC社と世界最大のゲームプラットフォーム『Steam』を運営するValve社が共同開発したVRHMD『HTC Vive』の発売が4月と迫っています。その発売前に、同社で体験できる機会を得たので、さっそく伺いました。

 VRHMDはすでにサムスンがGalaxy S6/S6 edgeを接続して使う『Gear VR』、3月28に発売される『Oculus Rift』、PlayStation 4に接続して使う『PlayStation VR』(PS VR)と、2016年に使える端末がどんどん増えています。しかし、デバイスが増えるごとにどれを買えば良いのか、迷ってしまいますよね。そこで、今回私が実際に体験し、お話しをお聞きして考えた、HTC Viveを買うと良いポイントをご紹介します。

ポイント1 VR空間が歩ける

 HTC Viveは2つのベースステーションを使い、最大5×5メートルのトラッキング範囲のVR空間を実際に歩ける優れモノです。この機能が他のVRHMDにない、最大とも言える特徴。“Lighthouse”と呼ばれるこのトラッキング方式では、各センサーの座標位置をダイレクトにPCに送り、ミリ単位と細かい精度で位置を検出できるそうです。実際、海に沈んだ船の甲板上を歩きながら魚などを視聴する『the Blu』では、ゆっくり歩きながらいろんな魚を遅延なく楽しめました。

↑目の前にぐわっと近づいてきた大きなクジラには、カクッチも思わずビックリして「うわっ」と声を上げるほどの迫力。

←プレイする前にはベースステーションを設置する必要があります。ベースステーションは最大5×5メートル離して設置し、ひとつずつ電源が必要なことと、その置くスペースがネック。ひとつでもヘッドトラッキングはできるようなので狭い部屋でもプレイできますが、できれば動き回って楽しみたいですね。

↑事前のセンサーの位置検知は、専用アプリで簡単に行なえるとのこと。

ポイント2 被ったまま障害物が把握できる

 HTC Viveは装着したまま外部カメラを使って、現実空間のモノを認識するシースルー機能があります。今回のデモ機では体験できませんでしたが、一部の液晶ディスプレーに搭載されているPIP(Picture-In-Picture)のように、ゲーム中の画面に小さな窓が表示され、そこに現実空間を把握できる映像が出力されるそうです。Gear VRにも被ったまま外部カメラで外の映像を映し出す“パススルーカメラ”機能がありますが、ボタンの長押し、メニューを選択と起動するのにやや時間がかかり、ゲームをプレイしながらでは使えません。一方、HTC Viveのシースルー機能は、コントローラーのボタンひとつですぐに起動し、ゲームをしながら使えるそうです。

←シースルー機能を使わなくても、ゲームをしながら歩き、現実の壁に近づくと青いバリアーのようなモノが表示されて、移動できないことが分かります。

ポイント3 両手を使った新感覚プレイが楽しい

 HTC Viveには両手で握って使う『Steam VRコントローラー』が同梱されています。Oculus Riftの場合は『Oculus Touch』と呼ばれる同じような両手で握って使う専用コントローラーが用意される予定ですが、発売が延期されたため使えるようになるのが2016年後半、別途購入する必要があります。一方、PS VRはすでに発売されている『PlayStation Move』(PS Move)を使うことで同じような操作が可能ですが、やはり別売りです。

※写真は公式サイトで公開されたマニュアル

 形状はグリップ部の上に複数のトラッキングセンサーを内蔵した部位があります。ボタンはメニューボタン、システムボタン、グリップボタンの3つ。加えて、トラックパッドとトリガーを備えます。2つのボタンに、2つのトリガー、アナログスティックを擁するOculus Touch、5つのボタンと1つのトリガーを備えるPS Moveと比べると、トラックパッドをスワイプする操作分での優位性が若干あるかも。

↑たとえば、トラックパッドの円状に配置された配色から色を選択したりが可能。空中に絵を描くデモアプリでは、手首を回すことでフォトショップにあるような操作メニューが4面に表示、複数のアイコンを指で選択できました。

↑いろんな仕事をVR空間で体験できる『Job Simulator』ではVR空間でコーヒーを入れて飲んだり、電源コンセントを挿したり、モノを投げたりといろいろできました。傍から見ていると、何をしているのかわかりませんね。

ポイント4 映像がキレイ

 HTC Viveの解像度は2160×1200ドット(片目あたり1080×1200ドット)と高解像度。解像度はOculus Riftと同じで、見え方もほぼ同等。個人差はあるでしょうが、数値上は2560×1440ドットと高解像度のGear VR、1920×1080ドットのPS VRよりは、やや高精細に見えました。

↑ファンタジー世界は高精細で楽しむと、かなりの非現実感を得られます。

ポイント5 Steamに膨大な対応ゲームが配信されそう

 HTC Viveでプレイできるゲームは、基本的にSteamで配信されます。すでに、デベロッパーキットが販売されていたOculus Rift対応ゲームが多く配信されているなど、世界中のゲームメーカーや個人開発者の数多くの対応ゲームが配信されることが予想されます。国内大手メーカーのタイトルは、つながりの強いPS VRで最初に配信されるでしょうが、最近ではコーエーテクモゲームスやカプコンなどが、多くのタイトルを配信していることもあり、ビッグタイトルがSteamにも同時配信される未来もあるかも、と期待されます。特に用ゲー好きなら、HTC Vive一択でも良いかも。

↑Steamでは個人または団体が自分の好きなゲームをまとめてオススメする“キュレーター”でゲームを絞り込めます。Oculus対応ゲームはすでにキュレーターがいるので、SteamVRも今後出てくることでしょう。

ポイント6 高い製品の量産体制を確保できそう

 HTC Viveは予約が2月29日に行なわれる予定ですが、時差の関係で日本では3月1日から開始されるようです。そんななか、気になるのが販売台数はどれぐらいありそうなのかということ。Oculus Riftの場合、予約開始直後にウェブページにログインができない、といった人も多く、予約が遅かった人の中には配送日が5月になっている人もいるとか。

 しかし、同社はスマートフォンと同じく自社で製造し、スマホで培ったパーツを取り寄せるノウハウや、生産が追い付かない場合にライン数を多く確保することも可能とのこと。そのため、高い量産体制が期待できるので、欲しいけど届くのがかなり後になるといったトラブルは少ないものと期待できそう。

 とこのように、HTC Viveは期待できるいくつもの要素があるが、多くのVRHMDが抱える問題として、まずは被ってみてもらわないことには、スゴさが伝わらない。すでに同社は中国では大手のネットカフェと提携し、HTC Vive導入することを発表しているが、日本では大手のゲームセンターを経営するメーカーと話を進めているとのこと。実際に、どういった結果になるかはまだ不明だが、近いうちにHTC Viveを購入前に試せる施設もでてきそうですね。

 ちなみに価格は?と聞いたところ、2月22日からスペイン・バルセロナで開始されるMWC 2016で発表するとのこと。また、コンテンツに関しては3月に行なわれるGDCでValve社と一緒に発表されるそうなので期待しよう。

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