2016年02月12日07時00分

「よくないスタートアップ」が伸びた理由 労務管理で中小・ベンチャー企業を支えるSmartHR

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「みんなアクセラレータープログラムのいうことを聞かない」

SmartHR
Make something people want.

 SmartHRのサービスがここまで伸長した理由について聞くと、宮田代表はアクセラレータープログラムでの徹底した指導を挙げた。

 SmartHR開発の約1年前、別のサービスを手がけていたが、ビジネス的な芽が見えなかった宮田代表はOpen Network Labに参加した。そこで、「誰のどんな課題をどうやって解決するのかを明確するか」というサービスのつくり方の基礎を仕込まれたという。

 「自分のつくりたいものをつくるのではなく、誰かがつくって欲しいと思うものをつくる」という、ユーザーの声に沿った開発へとKUFUは舵を切り替え、その手法はSmartHR開発に活かされた。

 開発までの半年間で行ったヒアリングは実に128回を数えたという。シリコンバレーの著名VCであるYコンビネーター創業者ポール・グレアム氏が提唱した「Make Something People want.(人の欲しがるものをつくろう)」はKUFUの価値観でもあると宮田代表は語る。

 「よくVCの人からは、(KUFUは)技術力はあるのにやっている分野がよくないスタートアップという評価をいただいていた。BtoBのマーケティングを解決させるサービスの開発を行っていて、SNSでこのサービスは『めっちゃ便利だ』と言っていた人でも実際にヒアリングしてみると、『あれ、いらないかも』となってしまった経験が普通にある」(宮田代表)

 技術がある企業でも、基礎の徹底ができているところは少ない。宮田代表は1年間を振り返る。「やっぱりみんな作りたいものを作っちゃうので、アクセラレータープログラムに入っている場合でも、メンターの言うことを聞かないチームが多い。僕たちも最初の2年間くらいはそういう形で自分たちの作りたいものを作っていただけで、振り返ってみればよくはなかった」

現在もヒアリングを推し進める理由

 現在は、ヒアリングに代えて顧客サポートに力を入れているという同社。SmartHRを操作していてトラブルが発生したら瞬時に応じることができるよう、サイト内にはリアルタイム対応でのチャットサポートが設けられている。操作上の困りごと、機能追加の要望など、積極的に顧客の声を集めるという姿勢は、チャットサポートの初回回答までたった3分という数字にも表れている。「そこが開発の起点で、競争の源泉」(宮田代表)と位置づけるKUFUでは、サポートの人員採用にも意欲的だ。

 もう1つSmartHRの躍進を支えているのが、ユーザーの声を確実にシステムに反映させることができる「柔軟な開発力」だ。例えば、2016年1月に追加されたWeb明細機能は、あるユーザーから寄せられた「給与明細だけ発行できる機能を追加して欲しい」との要望にこたえたものだった。

 ヒアリングを重ねると、給与計算をアウトソーシングしている先から納品されるPDFの給与明細を印刷して手渡しで配布という一連のフローが非常に煩雑だという。ほかのユーザーにも意見を求めると、「確かにうちも煩雑に感じていた」という声があちこちから上がった。要望を受けたのは11月。それから開発に着手し、わずか2ヶ月でWeb明細機能を追加。もともとSIerで金融業の受託開発を経験していたメンバーが開発に携わっていることが、安定しながらもスピード感のあるサービスのリリースを可能にしている。

 ソフト面に関しては万全だが、ユーザーの声を聞きすぎてしまう懸念はないのだろうか。「そこは今の課題で、どの軸をぶらさないようにするか。『ハウルの動く城』状態にならないようにしなければ」と宮田代表は気を引き締める。

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