2015年10月28日07時00分

無印良品・東急ハンズを超えろ 地方スーパーに異変

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目指すのは日本に類のないスーパー

無印良品・東急ハンズを超えろ 地方スーパーに異変
両社でPDCAを回すための資料の一部。スーパーならではのコンテンツも徐々に増えている。

 他社ができない独自の取り組みを行っているチェーンストアに、スタートアップならではのスピード感とテクノロジーが加わることで、どのような変化が起きるのか。

 エブリイとリレーションズの共通認識は、” 日本に類のないスーパーを目指す”部分にある。仕掛ける側のリレーションズとしては、既存のスーパーを基準とするのではなく、一気に無印良品や東急ハンズレベルになってもらいたい、そのためのバックアップ体制というわけだ。

 例えば無印良品を展開する良品計画は、実店舗とネットストアの統合を目指した会員制サービス「MUJI passport」を2013年から展開している。実店舗・ネットそれぞれ10億件のデータ解析を行い、ネットストアの顧客を実店舗の顧客とつなぎこむ試みは成功を収め、アプリのダウンロード数も300万を超えている。(参考:無印良品の顧客動向をディープに探るRedshiftとトレジャーデータ

 良品計画のような国内トップクラスの企業では、独自商品、店舗教育、そしてITへの先進的取り組みが達成されているが、一方で食品スーパー業界を全国的に見れば、完全に取り残されている状態といえるようだ。

 今回のO2O施策を仕掛けたリレーションズデータマーケティング事業部の宮原忍事業部長は、「リレーションズのメインクライアントである食品スーパー業界に特化したサービスパッケージを企画・導入することで、スーパーのビジネスを良品計画や東急ハンズ、ファーストリテイリングのレベルまでアップデートしたい」と語る。

 そもそもリレーションズは、地域に根ざした地方企業の業務改善・コスト圧縮などのサービスを行うコンサルティングを行っている。B2B向けの運用改善や製品・サービス紹介などの購買活動サポートサービス『Less is Plus』(レスイズプラス)は同社の柱となっている。

 だがO2Oアプリサービスを今回のように提供していたわけではなく、またエブリイ自体もリレーションズの既存顧客ではなかった。実は今回の試みは、リレーションズにとっても、既存の事業のうえに新たな仕組みを敷いている形だ。

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リレーションズが設計したマーケティングシステム概要図

 実際のアプリの裏側では、インティメート・マージャーのDMP基盤で属性確認を行い、ブログウォチャーの「Profile Passport」では位置情報ターゲティングでの来店確認、さらにチラシなどのアプリ情報閲覧をトレジャーデータによるビッグデータ分析でまとめあげている。

 さらにGPSやジオフェンスによって、形成されている商圏の把握も行う予定だ。特にエブリイでは、個店ごとに経営手法が異なり買えるものが微妙に違っており、一人の客が複数店舗を使っているという利用状況があるという。

 アプリを使って、顧客が何を望んでいるか、見えていない部分を明らかにして、ビッグデータ解析で行動パターンに応じた施策をすることが重要となる。まずは、エブリイのファンである顧客が幸せになる状況をつくるのが目的だという。

 エブリイが得意とする、”顧客満足度を高めるための鮮度重視の施策”と、アプリを使ったマーケティング施策は相性がいい。リアルタイムで必要な情報を必要な人に届け、データ分析から顧客の導線、必要としている情報、価値に感じる情報を探るための環境と現場の直結が可能性として見えてくる。

 ただし、今回の取り組みは商品売り上げが把握できるPOSシステムとのつなぎこみが行われていない。アプリも含めたテクノロジーに、既存のシステムが追いついていないのが実情だという。

 「関わってみて初めて、POSシステムが古いインフラであり、収集された実店舗の購買情報が十分に活用されていないとわかった。ネットとリアルの区別なくエブリイのファンの方とコミュニケーションを図るためには、ITとマーケティングを融合させる必要がある。だからこそ、良品計画さんなどは自社でシステムを内製化し運用している。スーパー業界にとっての、今後のハードルともいえる部分」だと宮原氏は語る。

億単位のコストを数百万に圧縮

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 似たようなO2Oアプリはすでに各チェーンに氾濫しているのではないかと尋ねると、「現場レベルの施策になってしまうから、アプリで何を目的とするかが見えていない。経営課題にしないと現場までは浸透しない。来店効果・集客効果だけでなく、現場に渡す取り組みまでが必要」だと宮原氏。

 さらに重要なのは、導入でのコスト面だ。もし同じようなシステムをそのまま発注する場合、初期投資では数億円がかかると言われている。先達となる良品計画でも、社内による内製の部分と、トレジャーデータやamazonレッドシフトを使うことでコストを抑えていたが、同様に、リレーションズ・インティメートマージャー・ブログウォッチャーがそれぞれにもっている既存のソリューションを組み合わせ、スーパー業界特化のパッケージにしている。結果、今回の運用は数百万円レベルまで落とし込まれているという。

 既存のものの組み合わせかつPOS連携を入れない最小限のスタートにより、サービスインへの開発期間も2カ月とかなり短くなっている。「あくまで良品計画さんや東急ハンズさんと同じようなことをやっているだけ。重要だったのは、優秀なソリューションを組み合わせてサービスパッケージにできる企画の部分。実施にあたっては、経営課題を察すること、優先度をつけること、解決手段と実現のために必要なものを選別するなど、”経営レベルの視点”をとにかく重視した」(宮原氏)

 システムをイチからオンプレミスで構築するのは重すぎるので、クラウドを使ってコストをかけないのが当たり前になっているとはいっても、東京から一歩出て一般の中小企業を見れば、AWSを使いこなすスタッフなどは少ないのが現実。だが、そもそもなぜスタートアップがわざわざ地方のスーパーを選び、タッグを組んだのだろうか。

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