2015年08月04日07時00分

ななふぉ出張所

Pepperは接客業で“人間の代わり”が務まるのか?

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 7月30日、ソフトバンクが開催した法人向けイベント”SoftBank World 2015”では、基調講演に孫正義社長が登壇。昨年に引き続き、近未来のテクノロジーについて講演しました。

 2014年の同イベントでは、3000万台のロボットを24時間稼働させることで、9000万人相当の労働力を得られるという大胆な提案が話題を呼びました。果たして2015年の講演はどうだったのか、振り返ってみます。

Pepperは接客業で“人間の代わり”が務まるのか?
2015年のSoftBank Worldに登壇した孫正義社長。人工知能やスマートロボットの普及を予言した。

コンピューターが人間を超える“シンギュラリティ”はいつ?

 以前から孫社長は、「2018年にはコンピューターのトランジスター数が人間の脳細胞の数を上回る」と指摘してきました。そしてコンピューターが人間を上回るという点について、“シンギュラリティ”(特異点)というキーワードを挙げ、「今後、多くの人がこのシンギュラリティについて議論することになるだろう」と予言します。

Pepperは接客業で“人間の代わり”が務まるのか?
2018年にはコンピューターのトランジスター数が脳細胞の数を上回る。

 一般に人工知能の世界では、人工知能自身がより優れた人工知能を生み出し、人間の手を離れて爆発的に進化を始める地点をシンギュラリティと呼んでいます。いわばPepperがPepper用のアプリを書いて、勝手に進化していくような世界です。

 ただ、それはトランジスター数が脳細胞の数を上回る2018年から約30年後、2045年頃になるだろうと予測されています。多くの人にとって2045年は、想像の及ばない未来の世界でしょう。

 そこで孫社長は、両者の差に明確に触れることなく、現役のビジネスパーソンでも実感しやすい「2018年にコンピューターが人間を上回る」というメッセージを前面に出すことで、シンギュラリティという言葉を聴衆の脳裏に焼き付けています。

 いずれにしても重要なことは、これまで何度も期待されながら産業界で成功することがなかった人工知能が、いよいよ本格的に立ち上がろうとしている点です。Pepperが備えるディープラーニングに代表されるように、人工知能は飛躍的に研究が進んでおり、「良い悪いは別にして、さまざまな仕事が人工知能に取って代わられるだろう」と孫社長は予測します。

Pepperは接客業で“人間の代わり”が務まるのか?
人工知能の進化により、30年以内に失われる仕事の例。
Pepperは接客業で“人間の代わり”が務まるのか?
人工知能の普及により人間が不要になるわけではない。人工知能にはできないこと、苦手なことは人間にもチャンスがある。

スマートロボットは接客業から普及する?

 ではソフトバンクはこの”シンギュラリティ”の到来にどう備えていくのでしょうか。その具体的な製品が、スマートロボットです。「ロボットといえば決められた動作を機械的に繰り返すものと思われがちだ。だがソフトバンクでは、情報武装し、人工知能を最大限に活用したスマートロボットに取り組んでいく」と方針を語っています。

 そして30年後の2040年には、ロボットの数が地球の人口を上回るとしています。2040年の世界人口はおよそ90億人と予測されていますが、「空を飛ぶもの、人の形をしたもの、水の中を泳ぐものなど、動くものは全部ロボットになる。自動車メーカーは、走るロボットを作るメーカーになるだろう」と孫社長は語ります。

Pepperは接客業で“人間の代わり”が務まるのか?
2040年にはロボットが世界人口を上回る。

 もちろん工場などでは、産業用ロボットがすでに活躍しています。しかし今後の注目は、「情報革命の次には、接客革命がやってくる」と孫社長が宣言するように、スマートロボットが接客業務に導入され始めている点です。

 たとえば7月に長崎のハウステンボスにオープンした『変なホテル』は、ロボットを全面的に導入したことで、国内外のメディアの大きな注目を集めています。

Pepperは接客業で“人間の代わり”が務まるのか?
フロントや荷物を運ぶポーターにロボットを採用した『変なホテル』。”変な日本”のイメージと合致するのか、海外メディアの注目度が非常に高い。

 これに対してソフトバンクのPepperにも、法人向けソリューションの『Pepper for Biz』があります。接客業務では、どの商品を説明した時に良い反応を得られたかを分析し、レポートする機能などを備えており、「”月給”5.5万円で派遣できる。24時間働ける。文句も言わない、遅刻もしない」とアピール。会場の笑いを誘いました。

 ただ、労働力としてのPepperは、実は大したことができません。6月のPepperの発表会ではティッシュ配りをする姿がみられましたが、ティッシュをつかんで持ち上げるのもままならない様子。地面に落としたティッシュを拾い上げる機能もない、実に“使えない”ロボットでした。

 一方でネスレ日本は、ネスプレッソなどのコーヒーメーカーを販売するスタッフとしてPepperを大量導入しています。基調講演に登壇したネスレ日本CEOの高岡浩三氏によれば、人間のスタッフを採用するよりも安価であることに加え、Pepper自体の人気や物珍しさも決め手のひとつになったようです。

Pepperは接客業で“人間の代わり”が務まるのか?
ネスレ日本ではネスプレッソなど同社製品の販売現場にPepperを導入した。

 ほかにもみずほ銀行がPepperを一部店舗に導入するなど、Pepperの採用事例は今後も増えていくでしょう。単なる物珍しさや客寄せパンダではなく、Pepperが本格的に“就労”できるかどうかに注目です。

山口健太さんのオフィシャルサイト
ななふぉ

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