2015年08月04日06時30分

無名女子が30万円を1時間で稼げる理由 ファンをくすぐる「物語」:SHOWROOM

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SHOWROOM(Android版)

「1回で1000人くらいのファンが見に来る。端的に言うと、すごく稼ぐんです」

 DeNAの生放送サービス『SHOWROOM』前田裕二総合プロデューサーは言う。ストリートパフォーマンスをしていた女の子がSHOWROOMで生放送をすると「1回あたり20~30万円は稼ぐ」(前田プロデューサー)という。

夢をかなえるSHOWROOM

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SHOWROOM前田裕二総合プロデューサー

 7月1日、小社主催のセミナー『大江戸スタートアップアカデミー アイドル活動新時代』では、SHOWROOM、CHEERZ、mateといういずれも急進のライブ系サービスを扱った。中でも注目を集めていたのがSHOWROOMだ。

 特徴は演者としゃべったりプレゼントをあげられるゲームのような仕組み。テレビ番組との連携など話題づくりもうまく、熱い利用者も多い。ソニー・ミュージックエンタテインメントの出資を受け、DeNAからの独立も決まった。

 だが、無名のアイドルが1回あたり30万円もの「おひねり」を受けられるというのは異様でさえある。SHOWROOMの魅力は一体何なのか。

 大事なのは「ストーリー」だと前田プロデューサーは言う。

「演者さんのストーリーに共感しやすい作りになっている。SHOWROOMには夢をかなえるための多種多様なゴールがある。たとえば『女優になりたい』『テレビに出たい』。オーディションイベントの出場などを通じ、SHOWROOMを通じて多くの“夢”がかなっているんです」

バランスにこだわる

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アイドルに客から「プレゼント」を贈れる

 東京に出る、ワンマンライブをする、テレビに出る、CDを発売する、ランキングに乗る、タイアップを決める──アイドルにはさまざまな“夢”がステージのようにある。

 SHOWROOMはテレビやレコード会社との関係を深め、アイドルのデビューを段階的に演出するという仕掛けを整えている。この仕掛けによりユーザーは自分たちがアイドルを育てているという感覚を持ちやすくなるわけだ。

 つまり演者を援助するパトロン気分が味わえるということである。

「画面にはアバターが投影され、どのアイテムを渡したかというのもわかるため、バーチャル空間で『まわりに自分を認知してほしい』という期待にもこたえられます」

 たとえば1万円の『東京タワー』、1000円の『くまのぬいぐるみ』といったおひねり代わりの課金アイテムをプレゼントすると、アイドルから直接「ありがとうございます!」と喜んでもらえて、周りからの注目も集まる。

 ただしコンプガチャ騒動のように課金まわりの問題にはセンシティブで「一定時間で課金制限を設けたり、射幸心をあおらないような形にしています」とも話していた。

 サービス設計は細かいところも面白い。

強みは「回遊」の仕組みづくり

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プロデビューするための仕組みもある

 たとえば、SHOWROOM内の「番組」を回遊させる仕組みづくりだ。ほかの番組を見ることで、アバターを舞台の前列に移動させるためのアイテム「星」を獲得できる。

 いちばん前の席に移動すれば、演者と直接おしゃべりができる。

 星を獲得するために視聴者がほかの番組を訪れることで「駆け出しの子でも500~1000人ほどに露出できる」ような仕組みになっている。

 要はアイドル事務所にとってみれば、無名であってもしっかりPRするチャンスがある貴重なメディアというわけである。SHOWROOM上でついたファンは熱量が高く、そのあとライブなどに足を運ぶ傾向が強いという声も事務所からもらっているそうだ。

 競合の生放送サービスはまだこうした回遊戦略が弱く、有名な演者には視聴者が集まり、そうでない演者は下に沈む、という階層構造が自然とできてしまっている。

 回遊システム・課金システムという二軸がうまくまわるため、ほかのサービスと相乗りで、あるいは乗り換えてSHOWROOMを使う利用者が増えているということだった。

 非常にうまくできているSHOWROOM。前田プロデューサーの経歴もユニークだ。ただのアイドルオタクというわけではないのだ。

下町生まれのビジネスキッズ

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SHOWROOM出身でタワレコ1位のアイドルも登場した

 前田プロデューサーは1987年生まれ、東京は葛飾下町育ち。子供のころから筋金入りのビジネスキッズだった。

「小学生のころからギターの弾き語りをして、月10万円くらい稼いでいたときがあった。どの駅で演奏するというのも、ターゲットを明確にしてこの駅にすると決めていた。もともとお金を稼ぐことに強い思いがあり、その原体験がいまのサービスに強く反映されています」

 学生時代は経済を勉強しつつバンドに所属。自分自身が舞台に立つ側だった。大学卒業後は投資銀行に就職、ニューヨークで機関投資家向けに株式の営業をしていた。

 そんなあるとき起業意欲がわいてきた前田プロデューサーは、学生時代から親交のあったDeNA創業者南場智子氏に、当時考えていた事業について意見を聞きにいった。

 しかし「実業を甘くみるな」と一喝され、南場氏に説得されてDeNAに入社。イントラプレナー(社内起業家)としてSHOWROOM事業を立ち上げることになったという。

 今後はアウトバウンドを視野に入れ、台湾などアジア圏への進出も狙っている。持ち前のビジネスセンスでサービスそのものの高い目標を持ちつつ、アイドル業界を変えたいという志も抱えているそうだ。

「アイドルは頑張ったからといっても、必ず日の目を見るわけではない世界。勉強やビジネスは投下した努力の絶対量があらわれるが、エンタメの場合はそうではない。それをインターネットで変えられたら。たとえ容姿やパフォーマンス能力が飛びぬけて優れていなくても、熱量をぶつけてくれれば変わる、努力すれば報われるという世界を実現したいと思っています」

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