2015年07月14日06時30分

めちゃうま!コンビニパンを究極のトースターで焼く バルミューダ The Toaster

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the toaster

 トースターの扉をあけると、湯気をたてたトーストがせりだしてくる。表面はこんがりたぬき色、きつねよりちょっと濃い目の色がついている。余熱でじんわり溶かしたバターの香りがふわっと広がり、すっと息を吸いこむだけで鼻腔いっぱいに満ちていく。トーストを指でつまみ、あちあち、ことん、とお皿に移す。

 食卓につき、さくっと一口かじると、生地のもっちりした感触。噛みしめるたび、バターの味と香りが花の蜜のようにあふれてくる。思わず神に感謝する気持ちがわいてくる。かつてのギリシャ人もきっとこうではなかったか。

 パンの原型ができたのは約6000年ほど前といわれている。当時のメソポタミアでは小麦粉を水でこねて焼いただけのもの。やがて古代エジプトで発酵させたパンが誕生し、その後ギリシャに伝わり、地元で獲れたぶどうの酵母が使われるようになった。そしてパンとワインはキリストの肉と血であるという話になっている。

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バルミューダ『The Toaster』(2万4732円)

 いまやパンはスーパー、あるいはコンビニで買うこともかなり増えている。

 当然だがコンビニパンは大量生産が前提だ。工場で焼き、家庭での温め直しを前提につくられている。外側・中身、それぞれの旨みを再現できるトースターが、現代のパン生活には欠かすことのできないパートナーなのだ。

 ではいかに温めるべきか。課題に真正面から取り組んだのが、日本企業バルミューダのトースター『The Toaster』(2万4732円)だ。「究極のトースター」と称する自信の製品で、特徴はスチームにある。5ccの水が庫内で蒸気をあげることでパンの表面に『熱い膜』をつくり、包みこむように焼きあげるという。

 実際発表会で食べたチーズトーストは思わず笑いが止まらなくなるほどうまかった。しかし自宅で、しかもコンビニパンではどうか。せっかくならと奮起し、いろいろなパンを大量に買い込み、あれこれ焼いてやることにした。

バター香るクロワッサン

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バター香るクロワッサン
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 初めは食パンの話をしようと思ったが、とにかくクロワッサンを伝えたい。セブンプレミアムの『バター香るクロワッサン』(110円)だ。

 普通ならアルミホイルに包まないと焦げてしまうのだが、The Toasterはクロワッサンモードに設定して時間どおり焼くだけでよい。

 扉を開ける前からバターの香りがするのだ。鼻から全身が溶けてしまう。

 さっふり、ふわふわ。あちあち言いながら口いっぱいに頬張ると、やわらかい生地のあいだから焼けた生地とバターの香りが広がる。バターでべたついた手と口をふいて、コップの冷たい牛乳をごくごく飲んだ。ああ……うまい。

 子供のころホテルに泊まったとき朝食で出してもらったクロワッサンとオムレツとサラダの組み合わせが大好きだった。

 子供心に「ぼくはおうさま」という気分だったのだが、セブン-イレブンで売っているクロワッサンで同じ気分になれるのだから安いもの。さしずめ110円の王様である。

ランチパック(ピーナッツ)

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ランチパック(ピーナッツ)
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 さて次こそは食パン……と思ったがまだ行かない。ランチパックだ。ランチパックだけはお伝えしなければならない。

 サンドイッチ系お惣菜パンの代表格であるランチパックは山崎パンのヒット商品。具材の水分が生地にしみこまないよう特製の食パンを開発し、熱を使わず圧着している。

 ホットサンドにしてやろうとコンビニで探してみたが、住宅街のコンビニのためか具材がピーナッツしか見つからない。仕方なくこれを食パンモードで焼いてみたのだが──

 これが、もう最高なのである。

 すこし焦げた生地をサクッと噛むと、奥からあつあつのピーナッツクリームがあふれだしてくる。なぜだか「アハハ」と天井を向いて笑いだしてしまった。人はうまいものを食うとわけもなく笑ってしまうのである。

 熱くとろけたピーナッツバターなんて食べたことがなかった。出来栄えはしっかりホットサンドで、外側はさくさく、内側はふんわり、そしてバターはとろっとろ。

 これを子供のとき一度でも食べていたら危なかった。きっと毎朝のようにランチパックを所望していただろう。お子さんのいる方、もしこのトースターを買ったとしてもランチパックは見つからないように食べていただきたい。

 なお後日、同じくランチパックのハムチーズも食べたが、やはり最高だった。

超熟(バターたっぷり)

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超熟4枚切り(バターたっぷり)
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 さて次こそ王道のトースト。『芳醇』『超熟』を試し、超熟の完全勝利だ。

 わかりやすく4枚切りにしたのが大正解だ。超熟最大の強みである“もっちり生地”がひきたてられる。外側をかじると「サクッ……」内側に達すると「モチッ……」という2つの食感を最大限引き出してくれるのであった。

 ポイントは十字に切り口を入れ、余熱でバターを十字に溶かすことだ。黄金色のバターがじわっとしみわたり、噛んだ瞬間、香りが一面にあふれてくる。

 が、トーストは序の口でしかない。発表会の記事でも書いたが本物はトッピングをほどこしたトーストにあるのであった。

超熟チーズトースト

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超熟4枚切り+チーズ
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 チーズトーストである。

 The Toasterにはバルミューダ寺尾玄代表の大好きなチーズトースト専用のモードがある。トーストにシュレッドチーズをのせてチンするだけでいい。

 完成までは5分ほどだが、たまらないのが3分半ほど経ったとき。赤いヒーターに照らされ、むくむくキツネ色にふくらむチーズが見えてくるのである。

 1分半をどうにか耐え、皿にトーストを落とし、1秒でも早くという勢いで口に運ぶと、あつあつのチーズが糸のようにのびて、舌の上、口の中でうま味があふれる。

 ちょっとトーストは焼きすぎたが、焦げっぽい味にならず、このくらいがちょうどいいのだ。さて長くなったトーストシリーズだが、次がいよいよとどめである。

超熟ハムチーズトースト

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超熟4枚切り+チーズ+たまねぎ+粒マスタード+ハム
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 ハムチーズトーストだ。

 バルミューダが特製のレシピをウェブで掲載しており、やはり寺尾代表が激推ししていたもの。試さないわけにはいかない。

 粒マスタード、ハム、玉ねぎスライス、チーズを順番にのせる。ハムはせっかくなので近所にある肉屋の自家製ハムを買った。

 チーズトーストモードで待つこと5分、こんがり焼けたトーストがあらわれた。

 外側はトーストモードの威力でさっくり。内側はもっちり。そしてオレンジ色の焦げめがついたチーズが、ゆたかな燻製香を放つハム、やわらかくなった玉ねぎとからみ、口の中で一体化してしまうのである。

 瞬間、笑いが止まらなくなった。

 自分でもなんだかもうわからないが、トーストとパン皿を持ったまま「あっはっはっは」とひとりで爆笑してしまった。平野レミさんもこんな気分なんだろうか。

 寺尾代表はこのハムチーズトーストを、冬の寒い日、あつあつのココアと一緒にベランダで食べるのが好きなんだと話していた。わたしとしては春夏秋冬いつでも良い。

イケないミルクフランス

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練乳クリームのミルクソフトフランス

 ほかにもいろいろ試してみた。面白いところではミルクフランスだ。

 普通にスーパーで売っているバゲットをフランスパンモードで焼くだけでも大変な美味しさになるのだが、ミルクフランスは別物である。パリジャンたちもおそらくこんな楽しみは知らないのではないかと思われる。

 ただ焼きそばパンのように練乳がはさまれているだけなので、当然ソースが溶けてしまってトースター内部は大変なことになる。が、甘い甘いあつあつの練乳ソースがふわふわかりかりのフランスパンを流れてくるところをあちあち言いながら口で受けとめた瞬間、脳がとろける多幸感に襲われたのである。

 もはやフランスパンの概念を超越した、官能的な喜びであった。ポイントは外側のぱりぱり感とのギャップにある。いけないじゃないか……堅いパンの中からこんなに熱い……甘いソースをあふれさせてしまって……。

 いけない喜びに目ざめさせたバルミューダの罪は重い。

「重厚」「本格」な世界観

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標準的なサイズ感(自宅の写真でごめんなさい)

 ほかにもメロンパン、焼きそばパンなどひととおり食べてきたが、いい加減製品としての話をしたい。

 サイズは幅357×奥行き321×高さ209mmで、庫内は幅274×奥行き204×高さ178mm。トースト2枚焼きのトースターとしては標準的だ。

 消費電力は1300Wで標準的。マイコン制御で上下のヒーターを切り替えるギミックがあるが、余計な電力を食う心配はなさそうだ。

 重量は約4.3kgで、標準よりやや重め。これはヨーロッパのかまどを意識したという扉がずっしり重いためかと思われる。

 カラーはブラックとホワイトがある。ブラックのほうが汚れが目立たなくてよさそうだが、外側の汚れはサッと拭けば落ちるので趣味で選んでもいいんじゃないか。

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サッと拭けば汚れは落ちる。デザインはカッコいい
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トースト2枚をセットできるサイズ

 デザインはシンプルでカッコいいが、各モード何分という表示が本体天面にあるためやや見づらい。まあ難しいものでもないので、おぼえてしまえば問題はないか。

 お手入れもなかなか考えられている。パンくずトレイだけでなく、パンをのせる焼きアミが洗えて便利だ。スチームの源であるボイラー部分も拭き掃除がしやすい。

 願わくは扉もはずして洗えるようにしてほしかったが、ここには製品の魂であるマイコンが入っているので仕方がない。

 びっくりしたのは、扉が重いわりにバネが軽いため、荒っぽく扱うとバゴンと開き、本体が前のめりにバウンドすることか。もちろん優しく扱えば大丈夫である。

 それと、水を入れる5ccカップ(付属品)を収納しておく場所がトースターにないため、どこかにきちんと収納しておく必要はある。要は小さじと同容量なのだが、せっかくなのでなくさないようにしたい。

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焼きアミとパンくずトレイが取りはずして洗える
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5ccのカップがついてくる。なくさないように

世界観があるトースター

 トーストの美味しさを実現している理屈が面白いのがThe Toasterだ。

 スチームテクノロジーの面白みはただ水分の膜をつくるだけではない。まず庫内をパンの風味がよみがえる60度、ついでパンがきつね色に色づく160度に上昇させてスチーム調理を終え、焦げる寸前の220度にこんがり焼きあげる。

 前半のスチーム調理中は上下のヒーターを数秒おきに交代で点灯させ、温まりムラをなくしている。スチームで曇ったガラス窓の向こう側で、上下のヒーターが交互にカチカチとついたり消えたりするのを見るのは楽しい。

 バルミューダではパン各種類ごとに理想的なパラメーターをつくり、それを高性能マイコンで制御させるのにとても長い時間を費やしたそうだ。この美味しさの計算式は、競合があとから来ても簡単にはマネができないという。

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調理序盤、スチームでガラス窓が曇る
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扉からあふれるスチーム。見える?

 感想をまとめると、The Toasterはきわめて理論的な製品でありながら、目や耳、手ざわりで楽しめる『五感のトースター』だったという印象だ。

 高級家電は機能を超える感動を与える必要があると、さる知り合いのオーディオメーカー社長が言っていたが、The Toasterはまさにその条件を満たしてくれた。

 とくに楽しませてくれたのは音だった。

ガション。(扉を開ける音)
カチ、カチ、カチ。(モードを選ぶ音)
カッ、カッ、カッ、カッ。(時間を選ぶ音)
チッ、チッ、チッ……。(タイマーの音)
しゅーっ、ふしゅーっ。(スチームの音)
カチッ、カチッ。(ヒーターの音)
チチーン、チチーン。(ブザーの音)
キィ、ガション。(扉を開ける音)

 と、すべての段階で小気味のいい音がする。

 妙な電子音楽が鳴ったり、けたたましいベルが鳴ったりということはなく、扉の開閉をふくめた「世界観」づくりが徹底しているのだ。

 家電というのはインテリアと同じく家にある道具であり、見た目に美しく、使うたび幸せな気分にさせられるべきだ、というのはバルミューダが理想とする家電の姿だ。The Toasterは「食」の世界でバルミューダが見せてくれた第一歩なのだろう。

 いままで魚焼きグリルで強引にピザやトーストを温めてきたわたしだが、今回のThe Toasterのコンセプトには全面的に同意する。

 たかがトースターに2万4732円、と思うかもしれないが、「究極のトースター」という概念を買うと思えば妥当な価格であると思う。少なくとも“日常への投資”として考えれば、高確率で十分なリターンを得られる“いい投資”だとわたしは感じた。

●関連サイト
バルミューダ

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