2015年07月09日16時50分

「日本の教育制度は崩壊しかけている」KADOKAWAドワンゴ『ネットの学校』参入の熱意

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KADOKAWAドワンゴ角川歴彦取締役相談役

「2016年、オンライン高校の開校を目指す」

 KADOKAWAドワンゴが9日、“ネットの高校”プロジェクトの開始を発表した。

 来春をめどに、インターネットの通信制高校をつくるというのである。ライトノベル作家やゲーム作家が課外授業をするなど独自色を出すという。ニコニコ生放送の次期バージョンの仕組みをもとに新たなサービスとして立ちあげる。

 今年3月、沖縄に学校設置などに関わる計画書を提出し、現在審査中。学費、申し込みの開始時期、授業の細目などについては審査中のため非公開とのこと。

 同社代表取締役の川上量生社長、また角川歴彦取締役相談役は六本木ニコファーレで発表会を開き、インターネットの高校にかける思いを語った。

ネットとリアルを使った新しい高校を

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KADOKAWAドワンゴ川上量生社長

「これからの教育はインターネットを使った通信教育に移行していくと思うんですよ。普通は50人くらい、予備校なら数百人くらいですけど、インターネットなら1~2万人相手でも授業ができる。スケールする(規模が広がる)んですよね。そのぶん1つ1つの授業にお金や手間をかけて作りこんでいける」(川上量生代表)

 いわゆるインターネットの無料学習プログラムと違い、独学でなく“同級生”感覚を持ってもらうのが狙い。「いまは予備校でもビデオ授業をやっていますが、ネットを使うと双方向性が加えられます。友だちと一緒に頑張れるのが大きな魅力」(同)

 ただインターネットだけで通信教育を施すだけでなく、同社のイベント『ニコニコ超会議』よろしく、リアルに“学園生活”を体験できる場所もつくりたいという。

「ドワンゴはネット企業でありながらイベントをやってきた企業。イベントを充実させ、面白い企画をできる会社ではないか」(同)

 ちなみになぜ沖縄に校舎をつくる予定なのか川上代表に聞いてみると、しばらく逡巡してから「いくつか検討する中で、いろんな意味でよさそうだったから」とあいまいに答えていた。まあきっと審査が終わったらババーンと派手に出すのであろう。

ドワンゴはドロップアウトした人がつくった会社

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人口は減少する一方、不登校の生徒は高止まりを続けている

 とはいえ教育事業は今になっていきなり始まったわけではない。

 KADOKAWAでは昨年9月にアジア向けの海外コンテンツスクール事業を開始、ドワンゴでは声優や俳優を育成する『ドワンゴクリエイティブスクール』を抱えるかたわら、同年11月に専門学校バンタンをグループ化していた。

 その中で大学や専門学校ではなく「高校」に注目したのは、不登校問題を解決したいという思いがあったからだという。

「高校の不登校は17万人ほどいるといわれています。小中学校で不登校になった人を含めるともっと多い。不登校は大きな社会問題。ぼくらが参加して解決できる道があるんじゃないかというのがテーマです」(角川相談役)

「昔の不登校といまの不登校は違いがあります。多くはネットをやっている。悪い言い方をすると逃げているが、別の言い方をすればネットに救われている。社会人としては、普通の人より逆に(時代に)適性があるかもしれない」(川上代表)

 学校に通わないこと、不登校であることと人間の才能は無関係。むしろ、インターネット時代にあっては、どっぷりインターネットに浸かっている方が有利な側面が出てくるのでは、というわけである。

「ドワンゴも最初はネットをやりすぎてドロップアウトした人を中心につくった会社だった。彼らは社会生活をする能力はなかったが、プログラムとかネットのものをつくる能力は持っていた。そういう人たちが若い人たちのあいだには眠っている」

日本の教育は制度疲労を起こしている

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今までの就業ロールモデルは崩壊しているという

 角川相談役は日本の教育をかえりみて「制度疲労を起こして崩壊しかけている」と厳しく指摘する。

「大学は良い社会人になるための予備校、それではいけないんじゃないかというのは先生方も思っているし、父兄もいい社会人になればいいと思っている人は少ない。自分の子供が夢を実現させてあげたいというのが親の気持ちでしょう。親の気持ちと学校の課題が“不登校”という単位で社会に顕在化している感じがしますね」(角川相談役)

 また、これまで日本の教育は製造業(ハード)をベースにしていたのではないかとして、プログラムやコンテンツといったソフト面の教育を充実させていく考えだ。

 学校ではIT・アニメ・ゲームなどを中心とした就業体験を含めキャリア教育も実施する予定。都心部のみならず地方での就労対策にも貢献したいと抱負を述べていた。

「作家になりたい、アニメがつくりたい、ゲームをつくりたいと思ったとき、社会はそうした人を受け入れるシステムになっていなかったんじゃないか。サブカルが社会問題を解決する、経済を支える。就職の場を与える──そうしたことが可能になるんじゃないか」(角川相談役)

写真:編集部

■関連サイト
KADOKAWA・DWANGO教育事業公式サイト

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