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Amazonが挑む『ガテン系ストア』の勝算 次に狙う市場はホームセンターだ

2015年06月30日 06時30分更新

 Amazonは6月29日付けで新なショッピングカテゴリとして『産業・研究開発用品ストア』をオープンさせた。名称だけ聞くと相当に堅そうな業務用品群に思えるが、よくよく眺めるとAmazonの狙いが透けて見えて来る。

Amazonはなぜ”ガテン系ストア”をオープンさせたか 次に狙う市場はホームセンターだ

 たとえば、カテゴリトップの左上(最初に目に入る製品カテゴリ)こそ”研究開発用品”として顕微鏡の写真が出ているが、それ以外は”工業用スイッチ"だとか”切削工具”(=要するにドリル、フライスの刃先類)、また、ベアリング、チェーンといったもののほかに、測定工具や電設パーツ(コンセント)などもある。『空調服』や『3Dプリンター』があるあたりは、ちょっとユニークではあるけれど。

 つまり、これはAmazon版のプロ用ホームセンターであり、狙うはガテン系ストアだ。ワークマンや、ジョイフル本田やコーナン、島忠といった、ホームセンター/プロショップ市場をターゲットにしている。

 ホームセンター市場は3兆円規模とも4兆円規模とも言われていて、要するに相当に大きい。Amazonが家電販売でやってのけたように既存の消費パターンをひっくり返すことは並大抵ではないにしても、市場規模の0.1%とれれば売上げは30-40億円にもなる。

今スグ買える、に対抗できるかもしれない"コンビニ受け取り"の破壊力

 もちろん、ガテン系ショップが国道のロードサイドにあれだけ存在するのは、それ相応の需要があるからだ。たとえば、毎朝の仕事の前に買い出しに行けるように早朝オープンしている店が多いし、大工など職人さん向けの比較的安価で消耗品的に使える工具も多い。
 「欲しい時、その場でスグ手に入る」という点ではある意味、リアル店舗のスピード感はAmazonすら叶わない。この点は、ヨドバシ.comが一部のリアル店舗連携で展開する24時間店舗受け取りと同じスキームだ。

 ただ、Amazonが侮れないのは、「当日お急ぎ便」システムがここでも活用されていること。一般店には在庫が薄そうな、業務用除湿機や業務用エアコン、サンドブラスター(砂粒で表面を磨く機械)といった大物機材も中1日程度、送料無料で届いてしまう。

Amazonが”ガテン系ストア”をオープンさせた理由 次に狙う市場はホームセンターだ
業務用の除湿機やスポットクーラー(工場によくあるアレです)、工業用扇風機など。
Amazonが”ガテン系ストア”をオープンさせた理由 次に狙う市場はホームセンターだ
サンドブラスター。砂もセットで買える、ってところがちょっとシュール。

 また何気に強力かもしれないのが、コンビニでの店舗受け取りだ。ドリルの刃先などの小物は、在庫があれば当然翌日配送。「夜中に注文しておけば、翌日現場近くのコンビニに届く」といった使い方ができる。これ、モノによっては実用性も高いのではないか。

Amazonが”ガテン系ストア”をオープンさせた理由 次に狙う市場はホームセンターだ

 ちなみにこのガテン系ストアも、Amazonらしくオープン記念セールとして7月1日午前0時から安売りも開催するそうだ。果たしてこの新しいストアは成功するだろうか? みなさんはどう思います?

●関連サイト
Amazon.co.jp 産業・研究開発用品ストア

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