2015年06月25日11時30分

ソフトバンクが苦戦 キャリアとMVNOの乱戦が始まった by石野純也

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 ドコモ、KDDIがシェアを伸ばす一方、ソフトバンクが苦戦を強いられている――総務省が6月に発表したキャリアのシェアからは、こんな構図が読み解ける。

 同省のデータによると、2015年3月末時点でのグループ別シェアは、ドコモが42.4%、KDDIが28.6%、ソフトバンクが29%。ソフトバンクは前年同期比で0.7%もシェアを落としている。ドコモ、KDDIがそれぞれ0.3%、0.5%と数値を上げているのとは対照的だ。5月に発表された第4四半期(2015年1-3月)の純増数を見ると、ソフトバンクモバイルは36万5000の純増があるのに対し、ワイモバイルが4万8000の純減を記録。ワイモバイルが足を引っ張っている上に、ソフトバンクモバイル自体の伸びも、他社に比べると低くなっているのが分かる。

電気通信サービスの契約数及びシェアに関する四半期データの公表
総務省「電気通信サービスの契約数及びシェアに関する四半期データの公表」から抜粋

 こうした状況に対し、ソフトバンクの代表取締役社長兼CEOの孫正義氏が2月の決算説明会で「純増合戦ということで、みまもりケータイやフォトフレームなど、こまごましたものをたくさん売って数を稼ごうということに力点を置いていた時期もあった。今は実態をよくしていく」と語っている。かつては純増数を追い求め、積極的に宣伝材料にもしていたソフトバンクだが、一転して、中身を求めるようになったというわけだ。確かに、通信料がほとんど発生しない端末で純増数を伸ばしても、経営にはプラスにならない。

ソフトバンクが提唱する“汎用ロボットで1億人”構想は実現可能?
ソフトバンク 孫正義代表取締役社長(左)

 一方で、KDDIはMNPで好調が続いていることをアピール。代表取締役社長の田中孝司氏は、5月に開かれた決算説明会で「3月には年間最高水準に至った」と胸を張る。MNPについては、ドコモもポートアウト(ナンバーポータビリティ制度で、番号の転出元となる通信会社が行なう手続き)を大きく減らしており、昨年度は38万件になった。三つ巴の関係で、しわ寄せがいくのは残りの1社。以前に比べ、ソフトバンクが、他社からユーザーを奪えなくなってきていることは確かだ。

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KDDI 田中孝司社長(左)

 もうひとつ、無視できない存在がある。それがMVNOだ。当時、孫氏は「純増数だけを追おうと思えば、MVNOでほとんど利益が出ないのに卸売したり、M2M(機器と機器どうしの通信システム)を逆ザヤで出していくなど、やりようはある」と述べていた。裏を返せば、これらの影響が大きく、シェアでは苦戦を強いられていると言えるだろう。実際、格安をうたうMVNOの契約者数は、うなぎのぼりだ。現状では、ほとんどのMVNOがドコモの回線を使用しており、ある業界関係者によると「ドコモの純増数の約4割をMVNOが占める」ほどだ。MM総研が6月に発表したデータによると、SIMカードを活用し、独自の料金プランを提供する「独自サービス型SIM」は、2015年3月末に326万契約。前年同期には173万契約で、153万契約と大幅な伸びを記録している。

 もっとも、MVNOの拡大に関しては、順調に業績を伸ばすKDDIも警戒心をのぞかせている。田中氏は経営指標に「MVNOの影響も出てきている」といい、市場の動きを注視していく方針を語っている。昨年12月には自社MVNOのUQ mobileを立ち上げ、ドコモ系MVNOに流出するダメージを抑える構えだ。回線を貸すドコモにとっても、これは同じ。回線数は維持できるものの、収益性は落ちるおそれがあり、素直に喜べないのが実情だ。以前は大手キャリアが三つ巴の戦いを繰り広げていたが、今の市場は、MVNOも交えた乱戦の様相を呈していると言えそうだ。

■関連サイト
総務省「電気通信サービスの契約数及びシェアに関する四半期データの公表」

(2015年6月26日訂正:初出時から、ソフトバンク純増数とワイモバイルのワイモバイルのデータを訂正いたしました)

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