2015年06月16日07時00分

Windows情報局ななふぉ出張所

iPadのマルチタスク対応でPCの置き換えは進むだろうか

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 6月8日(現地時間)にアップルが開催した開発者向けカンファレンス“WWDC 2015”では、iOSの新バージョンとしてiOS 9が発表されました。ここで筆者が注目したのが、iPadの新たな画面分割機能です。

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WWDC 2015で発表されたiOS 9の新機能、マルチタスク。画面を分割することで2つのアプリを同時に実行できる。

 ただ、この機能がWindows 8のスナップ機能によく似ている点は気になります。iPadは、Windows 8が犯した“過ち”を繰り返そうとしているのでしょうか。

Windows 8とiOS 9の画面分割はどう違う?

 Windows 8ではスナップ機能だけでなく、全画面のスタートボタンやWindowsストアアプリ自体が不評でした。その原因は、ユーザーインターフェイスがまずかったというよりも、ストアアプリの不足や、デスクトップアプリの動作を阻害していたことにあったといえます。

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Windows 8のスナップ機能は不評だったが、本質的な問題はUIではない。Windows 10ではその反省を生かし、デスクトップアプリの動作を邪魔することがないよう改善が進んだ。

 これに対してiPadでは、機能的にも品質的にも高いレベルにあるアプリが豊富に存在しています。その上で、新たに画面分割機能が加わることで、活用の幅の広がりが期待できます。

 対応機種として、画面を分割してアプリを2つ実行するというフル機能に対応するのがiPad Air 2のみという点は、やや残念なところです。その反面、これまで”iPad Pro”などとして噂になってきた大画面版iPadの登場を期待させるアップデートともいえます。

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画面分割しての同時実行はiPad Air 2のみだが、アプリを一時的にスナップ表示する機能(写真)や、子画面で動画を再生するピクチャー・イン・ピクチャーといった基本機能はiPad Air、mini 2、mini 3でも利用できる。

PCの置き換えにはいくつかの壁がある

 こうしたマルチタスク機能の充実により、iPadがWindowsやMacなどのPCを置き換えていくかどうかといえば、まだ課題が残っているものと筆者は考えています。

 たとえばポインティングデバイスの問題です。iPad用の外付けのキーボード製品は多くの製品が存在するものの、iPadはマウスに対応していません。キーボードで操作できないことがあれば、画面にタッチするしかないのです。

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WWDCの基調講演で外部キーボードの例として登場した、Logitech(日本ではLogicool)のポータブルキーボード『Keys-To-Go』。Surfaceのタッチカバーのような見た目だが、しっかり押し込める不思議な軽量キーボードで、筆者も所有している。

 これに対してAndroidタブレットであるXperia Z4 Tabletでは、キーボードにトラックパッドを搭載。Windowsタブレットの代表であるSurfaceシリーズのキーボードも、現行モデルではトラックパッドの操作性が向上しています。

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Xperia Z4 TabletのアクセサリーとしてつくられたBluetoothキーボードは、トラックパッドを備えている。Androidはマウスカーソルをサポートしており、ノートPCと同じ感覚でExcelやPowerPointを操作できる。

 日本語環境特有の問題として、iPadの日本語入力はあまり使いやすいものとはいえません。OS Xの次期バージョン”El Capitan”に導入される新たな日本語入力システムや、ATOKなどサードパーティ製IMEのサポート強化にも期待したいところです。

 もうひとつの問題は、現在のPCを中心にした仕事環境が、”ファイル”のやりとりを前提にしている場面が多すぎるという点です。iPadではファイルシステムを隠蔽することで誰もが簡単に使える反面、ファイルを直接操作したい場合は困難が生じます。

 これに対して、Macではファイルを自在に扱うことができます。iOS 9のデモを担当した米アップル上級副社長のクレイグ・フェデリギ氏は、iPadを「教育やビジネス、家庭におけるプライマリコンピューター」と位置付けるものの、今後のiPadの進化においてMacとの関係がどうなるのか、そのロードマップが見えてこないのはもどかしいところです。

巻き返しを図るWindowsタブレットとの対決も

 果たして今後も仕事の中心には常にPCがあり、iPadはビューアー用途を中心とした補助デバイスにとどまるのでしょうか。

 そうだとすれば、タブレットでありながらファイルを自由自在に扱える、Surface 3のようなWindowsタブレットこそが、仕事には都合が良いと考える人も増えるはずです。

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6月19日にはいよいよSurface 3が発売される。これに合わせて家電量販店ではWindowsタブレットの売り場を強化していくという。

 ただ、必ずしもそう単純な話には収まらないと筆者は考えています。iPadなどスマートデバイスの導入を契機に、これまでのPCに依存した社内システムを、デバイスに依存しないクラウドを中心としたシステムに置き換えたい、という企業は確実に増えている印象です。

 さらに長期的には、ゆるやかなペースで社会全体の世代交代が進んでいきます。iPadで育った世代が毎年のように増えていく“若者のPC離れ”現象への対応も、そろそろ準備を始める必要があります。

 iOS 9のリリースはまだ先とはいえ、こうした状況を見据えてiPadがどこまで進化していくのかという点が、次のiPadの発表に向けた関心になるでしょう。

山口健太さんのオフィシャルサイト
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