2015年06月02日16時00分

デスクトップ向けBroadwell最速検証!i7-5775Cとi5-5675CのGPU性能はDevil's Canyonの2倍

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 2015年6月2日、インテルは開発コードネーム“Broadwell-K”としてウワサされきたデスクトップ用第5世代Core i7およびi5の新モデルを発表しました。自作派が待ちに待ったDevil's Canyon以来のメインストリームCPUの更新ですが、今回封切られたのは『Core i7-5775C』および『Core i5-5675C』の2モデルのみです。原稿執筆時点では、発売は「6月中旬~下旬」、価格は「Core i7-4790Kおよびi5-4690Kに5000~6000円上乗せ」というのが“業界筋の観測”です。

 今回は運良くi7-5775Cおよびi5-5675CのES版(エンジニアリングサンプル)を入手することができました。早速チェックしてみましょう。

動作クロックは低めだが倍率はロックフリーでOC可能

 ではざっくりと新旧Core i7/i5のスペックをチェックしてみます。今回型番末尾に「C」という新しいコードが付いていますが、これは従来の「K」と同じ「倍率ロックフリー」を示すものです。

 しかし、定格動作クロックはi7-5775Cが3.3GHz、i5-5675Cが3.1GHz。これは“Devil’s Canyon”、つまりi7-4790Kやi5-4690Kよりクロックが低い点が気になるところです。その一方で、GPUはIntel HD Graphicsよりも強力な“Iris Pro Graphics 6200”が搭載されています。CPUの性能よりGPUに注力するというインテルのここ数世代の進化のベクトルにブレはありません。

Broadwell-K

 L3キャッシュの量はi5-5675Cは4MBでi5の伝統を守っている一方、i7-5775Cでは従来の8MBから6MBに減っています。ただし、Broadwellアーキテクチャーはコアの処理効率(IPC)を高めたため、キャッシュ減少分は相殺どころか性能が向上している可能性もあります(価格調整の側面もあるでしょうが……)。

 そして、最も重要なのはTDPが65Wと低く設定されていること。従来の88Wから比べるとかなり下がっています。特にi7-4790Kでは定格4GHz動作の大台に乗った一方で発熱量も多くワットパフォーマンスは下がってしまいましたが、i7-5775Cではクロック控えめ&14nm化によって省電力動作が期待できます。

Broadwell-K Broadwell-K

 i7-5775Cの情報を『CPU-Z』でチェックしたところ。内蔵GPUの情報は空欄が目立ちます。CPUのコア電圧はアイドル時0.705V~高負荷時1.273Vでした。

Broadwell-K Broadwell-K

 i5-5675CのCPU-Z。CPUのコア電圧はアイドル時0.675V~高負荷時1.2Vと、i7-5775Cより電圧が低めに設定されているようです。

 Broadwellを使うには対応BIOSの載ったインテル9シリーズ(Z97やH97)チップセット採用マザーボードが必要です。ネットのウワサではDDR3Lのみとなっている情報が多々みられましたが、今回筆者が使ったASRock『Z97 Extreme6』では、1.5V動作のフツーのDDR3メモリーで問題なく動作しました。さらにBroadwell対応前のBIOSでも普通に起動するなど、マザーボードさえしっかり選べば動かすのは難しくなさそうです(むろんベンチマークは対応BIOSにアップデートしてから実行しています)。

Broadwell-K
↑ASRockのサイトによれば、『Z97 Extreme6』ではBIOS 2.30以降がBroadwell対応のBIOSのようです。
Broadwell-K
↑Broadwell対応が公式に謳われてないBIOS 1.70上でもPCは起動し、CPUの型番やクロックも正しく認識されました。

 今回の検証環境は以下の通りです。ただ検証時にはBroadwell内蔵GPUのドライバーがまだ配布されていなかったため、インテル公式で配布されている“Iris&Intel HD Graphics 4600用”のGPUドライバーを使いました。i7-5775Cにもi5-5675Cにも既存のドライバーが難なくインストールできたので、新旧GPUのドライバーは共通と考えられます。もちろん正式版ドライバーではグラフィック性能が変化する可能性もあります。

●検証用PC構成
比較用CPU:Core i7-4790K(4GHz、最大4.4GHz)、Core i5-4690K(3.5GHz、最大3.9GHz)
マザーボード:ASRock Z97 Extreme6(Intel Z97)
メモリー:Corsair CMY16GX3M2A2133C11(DDR3-1600で使用、8GB×2)
SSD:Intel SSDSC2CT240A4K5(240GB)
電源ユニット:Corsair RM650(80PLUS Gold、650W)
OS:Windows 8.1 Pro(64ビット)

クロック低下のぶんだけ性能も控えめだが……

 ではCPUまわりの性能を『CINEBENCH R15』でチェックしてみます。プロ用3DCGソフトをベースにしたベンチマークソフトなので、CPUの純粋な計算力が問われます。

Broadwell-K

 シングルコア/マルチコアテストともに最速はi7-4790Kでしたが、これは定格4GHz・最大4.4GHzという高クロック設定であるため。クロックが抑えられているBroadwellが負けてしまうのも無理はありません。しかし、新旧Core i5同士に注目すると、わずかですがi5-5675Cがi5-4690Kにマルチコア時のみ勝っています。マルチコアテスト時の動作クロックはi5-5675Cが3.5GHzに対し、i5-4690Kが3.7GHz。つまり同クロックならBroadwellの方がDevil’s Canyonより速い、ということがわかります。

 ちなみにi7-5775Cの全コア動作中のクロックは3.6GHzでしたが、i7-4790Kは4.2GHz。これでは負けるのも納得です。

 CINEBENCHはCPUの計算力を限界まで使うテストですが、我々が実際にPCを使う時はもっと負荷が低く、CPUもGPUも両方使うことになります。そこで総合ベンチマークである『PCMark8』で性能を比較してみました。テストは家庭での使用を想定した“Home Accelerated”を選択しました。

Broadwell-K

 PCMark8では新旧世代の違いがハッキリと別れました。このスコアー差を生み出した要因を調べてみると、カジュアルゲーミングテスト、つまり内蔵GPUの性能差が高得点に寄与しているようでした。ではBroadwellのGPU性能をもう少し詳しく調べてみましょう。

描画性能は約2倍! 半端な性能のグラボを葬り去る

 Broadwell世代ではGeForceやRadeonにおける“SP(ストリーミングプロセッサー)”にあたる“EU(エクゼキューションユニット)”が増強され、描画性能が向上しています。しかし、インテル製CPU内蔵GPUはまあ控えめに言っても“低画質・低解像度なら3Dゲームができる”程度。3Dゲームを本気で遊ぶならグラボは必須、……というのがこれまでの認識でした。しかし、i7-5775Cとi5-5675Cの内蔵GPUは48基のEUに128MBのeDRAMを搭載する“Iris Pro Graphics 6200”です。当然性能も期待できます。

 そこで、定番の『3DMark』で性能を比較してみました。CPU内蔵GPUの評価に適した“Cloud Gate”から低価格ゲーミングPC向けの“Sky Diver”、本格ゲーミングPC向けの“Fire Strike”の3種類のテストで対決させました。

Broadwell-K

 回す前から勝負は見えていましたが、i7-5775Cとi5-5675Cがほぼダブルスコアーで勝つほどとは予測できませんでした。さらにFire Strikeでは1000スコアー台なので、ミドルクラスのグラボを排除できるほどの性能、とは言えないということもわかります。

 3DMarkのスコアーではピンとこないという方のために『ファイナルファンタジー:蒼天のイシュガルド』ベンチマーク(新FF14ベンチ)も回してみます。これまでは解像度と画質を思い切り下げて、ようやくプレイできるといった感じのスコアーでしたが、今回はどうでしょうか。画質は“標準画質(ノートPC用)”ですが、解像度はフルHD(1920×1080ドット)でDirectX9モードとDirectX11モードをそれぞれ測定、さらにDirectX9&800p(1280×800ドット)という超低負荷環境でも比べてみました。ちなみに1280×800ドットという半端な設定値なのは、テストを4K液晶で実施しているためです。

Broadwell-K

 Devil’s Canyon世代は低解像度&最低画質でなんとか遊べるがフルHDだと画面はカクカクという評価でしたが、i7-5775Cもi5-5675Cも倍以上のスコアーを出し、DirectX9ならフルHDでも快適判定が得られました。DirectX11モードではさすがにスコアーが激減するので高画質で遊びたいという人はグラボ必須です。しかし、画質はあまり必要ないというライトゲーマーにはBroadwellは最適でしょう。超小型のMini-ITXケースにBroadwellを入れてFF14プレイ専用機にするのも面白いですね。

 ただこういったCPU内蔵GPUはインテルで初めて、という訳ではありません。昨年ギガバイトが発売した『BRIX Pro』ではi7-4770R(Iris Pro Graphics 5200)を搭載し、FF14ベンチで5000スコアー以上叩き出して話題を呼びました。しかし、i7-4770Rのソケットは「FCBGA1364」ゆえにLGA1150用マザーボードには組み込めない、ある意味“自作erからはちょっと遠い”CPUでした。一方、Broadwellならマザーは自由に選べます。ようやく自作erが自由に組める、インテル製の高性能GPU搭載CPUが現われたことになります。

QSVで動画変換速度まで2倍!

 さてインテル製CPU内蔵GPUと言えば、H.264形式への動画エンコードを強力に支援する“QSV(Quick Sync Video)”があります。GPU強化でQSVに恩恵はあるかも調べてみる価値があります。そこで、『MediaEspresso7』を使い、再生時間約11分のAVHCD動画(1080p)をiPad2用のMPEG4(720p)に高速変換する時間を比較してみました。比較のために、QSVを使わずCPUだけで処理した時間も合わせてご覧ください。

Broadwell-K

 Haswell世代のQSVでも十分高速ですが、BroadwellのQSVはさらにその2倍高速です。また、CPUのみの処理時間はCINEBENCHのスコアーにかなり近いこともうかがえます。じっくり時間をかけて高画質エンコードしたい人にとっては、まだi7-4790Kは魅力ある製品ですが、パパッと変換して容量を減らしたい人にとっては、Broadwellの方が良い選択です。ただし、今後出てくるであろうIntel HD Graphics 5000シリーズ版のBroadwellでもこの性能が出せるのか、そこが気になるところです。

消費電力は“CPUの使い方次第”

 性能が一通りわかったところで、いよいよ消費電力を比較してみます。『Watt Checker』を使い、アイドル時(起動10分後)、CINEBENCH(マルチコアテスト実行中)およびOCCT(Power Supply)実行中の消費電力を比較しました。CINEBENCHはCPUだけ回しますが、OCCTはCPUもGPUも限界まで回す、という点に違いがあります。

Broadwell-K

 アイドル時の消費電力はほとんど違いがない一方で、CINEBENCH実行中だとDevil’s Canyonの方がクロックが高いぶん消費電力も増えています。スコアーはi5-5675Cよりi5-4690Kの方がわずかに高いのに消費電力は低いという点から、ワットパフォーマンスも上昇していることもわかりました。

 しかし、OCCTでGPUもCPUも全力で回すと、逆にBroadwellの消費電力が一気に増えます。これはBroadwellのGPUが強力になった影響と考えられます。

かるーくOCしただけでi7-4790Kを性能で上回った!

 最後にオーバークロック(OC)も試してみることにしました。BroadwellでもOCのやり方はこれまでとまったく同じです。つまり、BIOS上で倍率を上げ、必要ならばコア電圧なども適宜増やして最適な設定を探り出します(もちろん、保証外の行為になるので自己責任で挑戦してください)。定格が3.1GHzとか3.3GHzの製品でも、OCで4GHz台へ乗せられれば定格クロックで上回るDevil’s Canyonに対抗できる性能が得られるかもしれません。

 ただ、まだ発売前の激レアのCPUを壊したら私のライター生命が終わるため、今回は極限は狙わずコア電圧が「定格+0.05V」の超々安全圏でどこまでOCできるか調べてみました(チキンです)。OCの成功判定はCINEBENCHのCPUテストを完走すればよしとしました。

Broadwell-K

 OCの方法はこれまでの倍率ロックフリーCPUと何ら変わりません。BIOSでOCのメニューを呼び出し、コアの倍率を増やすだけ。ベースクロック100MHz×倍率でクロックが決まるので「倍率40倍」なら4GHzで動きます。ズバリ結論を言うと、i7-5775Cもi5-5665Cも以下のようになりました。

倍率41倍:コア電圧定格 ……成功
倍率42倍:コア電圧定格 ……OS起動せず
倍率42倍:コア電圧+0.05V ……成功
倍率43倍:コア電圧+0.05V ……OS起動せず

 どうやら4.2GHzと4.3GHzの間に壁がある感じです。i7-4790KをOCすれば4.6GHz以上も狙える現実を考えると少々残念ですが、14nmはクロックを上げるのが難しいらしいので、ある意味仕方ないかもしれません。

 先ほどのCINEBENCHにOC後のデータを加えて比較してみましょう。

Broadwell-K

 4.2GHzにOCしたi7-5775Cのスコアーはi7-4790Kを上回りました。i7-4790Kは全コアに負荷をかけると4.2GHzで動作するため、同クロックならBroadwell>Devil’s Canyon、つまりBroadwellの方がIPCが高い、ということも裏付けられました。コアが十分高性能ならL3キャッシュなんて8MBも要らんのです。

まとめ:動作クロックは低いがCPU内蔵GPUの性能は超期待できる

 Broadwellのテストを一通り見てきましたが、CPU性能やOCのポテンシャルを考えると残念ながらi7-4790Kユーザーを乗り換えに誘うような超パフォーマンスは出ませんでした。デスクトップ向けBroadwellはDevil’s Canyonの後継ではなく、Devil’s Canyonのターゲットユーザーよりもやや下の層を狙ったCPUです。GPUを強化し、グラボを付けずに低予算でゲームができるPCが欲しい人向けのCPUです。Broadwellの登場により自作の幅が拡がります。ここは素直に称賛すべきでしょう。

 今年終盤には第6世代Coreこと“Skylake”がローンチされると噂されていますが、Skylakeは新チップセットにDDR4メモリーが必要となり、乗り換えコストも一気に上がります。その一方で、Broadwellなら既存のインテル9シリーズマザーとDDR3メモリーが使えるのでお得感があります(他のマザーではどうなるかわかりませんが)。コストに敏感な自作erはデスクトップ向けBroadwellに注目ですよ!

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