TR-610(1958) |
トランジスタラジオ『TR-610』(1万円)だ。世界で50万台売れたポケットサイズのラジオで、あまりの人気にコピー商品が出たという。恥ずかしながらこのかっこよさ、新しさを初めて知り、衝撃を受けたことで今回の企画が生まれた。過去を再発見すると未来が生まれる。そして欲しい。
※表示価格は当時のものです
TV8-301(1960) |
同時期に発売した世界初の直視型トランジスタテレビ『TV8-301』(6万9800円)。「他社の後追いで据え置き型テレビを売りたくない」と持ち運べるタイプを開発した。技術的には新しく、とてもすごかったが、あんまり売れなかったらしい。だが欲しい。かわいい。新しい。
テープレコーダーG型(1950) |
やや年代は戻り、日本初のテープレコーダーG型(16万円)。現在の価格になおせば約700万円。テープをふくめゼロから商品を作ったため売れる自信があったが、高すぎて消費者にはまったくと言っていいほど売れず、裁判所など官公庁に売っていた。ちなみにGはGovernmentの略。
テープレコーダーH型(1951) |
工業デザイナー柳宗理さんがデザインしたテープレコーダーH型(8万4000円)。閉じると旅行カバンのような姿になり、持ち運びしやすい。こちらは学校の視聴覚教育向けによく売れたという。電源コードがコタツっぽい。当時の写真がモノクロしかなかったが、かっこよさは伝わるはず。
ICR-100(1967) |
世界初のICラジオ『ICR-100』(9800円)。意地になっていたのではないかとさえ思える90gの超ミニサイズ。よく売れたそうだ。余談だが、創業当時はソニー全体として製品デザインを統一しておらず、1つ1つのデザインは面白くもバラバラだった。1961年には大賀典雄室長によるデザイン室が設置。ICR-100に見られるような、ブラック&シルバーを基調とする時代が始まった。
ICF-5500(1972) |
3バンドラジオ『ICF-5500』(1万6800円)。とてもよく売れた。1970年代当時、海外の短波放送を聞いてハガキを出すと「聞こえた証拠」として送られてくる“ベリカード”を集めるのがブームになっていた。通信を楽しむためのガジェットとして電気少年たちに愛されたのであった。
ICC-500(1967) |
ソニーの電卓・SOBAXこと電子卓上計算機『ICC-500』(26万円)。高すぎてそこまで売れなかった(が、当時の計算機の中では安かった)。0~9までの数字をあらわすニキシー管が奥に向かって並んでいた。ソニー経理部のベテラン社員は光っている場所だけで数字が分かったとか。VAIOをはじめとするソニーPCの先祖。
TV5-303(1962) |
持ち運べる白黒ブラウン管テレビ『TV5-303』(6万5000円)。よく売れた。マイカー時代に自動車で観られるテレビをめざして開発された。重量は約3.7kg、サイズは5型。“マイクロテレビ”の愛称がついていた。
KV-1375(1977) |
ソニー開発のブラウン管・トリニトロンによるカラーテレビ『KV-1375』(13万8000円)。個人で楽しむ“パーソナルテレビ”のコンセプトを提案した。当時のテレビのキャビネットは木目調がほとんどの中、メタリックな質感で目を引いた。若者を中心に爆発的に売れた。
Mavica 試作機(1981) |
最後に番外編、デジカメの先駆けとなった『Mavica』(マビカ)試作機。実用が始まったばかりのCCDを搭載。まだパソコンも普及していなかったため、テレビをディスプレイ代わりに見る用途を想定していた。メモリーには2インチのフロッピーディスクを採用。レンズの交換もできた。
ソニー歴史資料館に行こう! |
これらの製品はすべてソニー歴史資料館に常時展示中。電話で予約すれば誰でも無料で見られる(平日だけだが)。現在ソニーがスタートアップとして開発中の『MESH』にも通じるアイデアの源がここにある。ていうかTR-610、売ってくれないかなー。
■ソニー歴史資料館(完全予約制)
TEL 03-5448-4455
FAX 03-5448-2560
休館日 土日祝および会社休日
開館時間 平日午前10時~午後5時
所在地 東京都品川区北品川6-6-39
公式サイト
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