『ベーマガ』を持って街の電気屋さんに行き、友達にプログラムリストを読み上げてもらいながら、展示されているマイコンに打ち込む……そんな少年時代を送ったかたがどのくらいいるかわかりませんが、私のパソコンとの出会いはそんな感じでした。
そんなことを思い出したのは、“こどもパソコン”こと『IchigoJam(イチゴジャム)』がアスキーストアで販売開始されたと担当の山口から聞いた刹那、気が付いたら1台買っていたからです。
↑アスキーストアのIchigoJam商品ページ。完成版(2000円)と、自分でハンダごてを握って組み立てる“プリント基板キット(1500円)”があります。右上の“ご注文はこちらから”のプルダウンメニューでどちらかを選べます。私が買ったのは完成版。 |
それにしても、本体のみとはいえ、たった2000円でパソコンが買える日が来るとはなぁ。
↑2日後に自宅に届きました。「ちっさ!」想像以上に小さいです。 |
↑入っていたのは、完成基板とブザーのパーツ、説明書というかBASICのリファレンスが印刷されたB5の紙が1枚。BASICはオリジナルの“IchigoJam BASCI 0.9.7”というもののようです。 |
↑キーボードはPS/2接続のものが必要。画面はビデオ出力です。私の自宅では、ビデオ入力のあるテレビはあるものの、さすがにPS/2キーボードはもうありませんでした。が、編集部に持っていけば、きっとあるはずです。 |
と思って会社に持ってきたのですが、意外と編集部にもないものです。いまどきのキーボードはほとんどがUSB接続。たった1人だけPS/2接続の編集者がいました。でかした、ミナミダ。一番苦労したのが、ビデオケーブル。こんなにケーブルがたくさんある編集部なのに、見当たりません。しょうがないので、とりあえずSケーブルと音声ケーブルがいっしょになったやつの音声部分で代用することに。後日買ってくることにしよう。電源はUSB-マイクロUSBケーブルが必要ですが、これは普通にスマホの充電に使っているやつが使えます。
みなさんの中で、もし買われるかたがいらっしゃいましたら、IchigoJamの公式ページにオススメのキーボードやテレビが記載されていますので、参考にしてください。くれぐれもケーブルを忘れないように。アスキーストアでもセットで売ったらいいのになー、と担当者には要望を出しておきました。まぁ、そんなこんなでなんとか見つけてつないだ様子がこちらになります。
↑46インチの大型テレビに、手のひらサイズのIchigoJam(赤丸囲み)、薄汚れたDECのキーボード。ばかでかい文字。 |
IchigoJamの画面出力はテキストのみで、36文字×27行。なのでこんな大きなテレビは必要ないのですが、たとえば3人くらいの子供といっしょに楽しむにはいいかもしれません。――ううむ、やっぱり小さいテレビ買おう。
さて、画面に写っているプログラムですが、IchigoJam本体ほか、ゲームプログラムなども販売している『PCN(プログラミングクラブネットワーク)』さんからお借りし許諾を得て掲載しています。IchigoJamを買った人はこの画面の通りに入力すればゲームで遊べますのでぜひ打ち込んでみてください。
↑PCNの商品一覧ページ。『早撃ちガンマン』、『地中探検』といったゲームなど13本を販売中。価格は300円。IchigoJamでとりあえず何か動かしてみたい人は試しに2〜3本買ってみるといいと思います。 |
↑こんなパッケージに入っています。IchigoJam同様ちっちゃくてかわいく、また非常に手作り感あふれる箱です。 |
ところで、IchigoJamは、データの外部入出力装置がありません。つまり、フロッピーディスクやUSBメモリーでデータをやりとりすることができないのです(2015年4月20日追記:今回紹介している2000円の本体のみでの話。基板上から入出力信号は出ていますので、自作するなりサードパーティー製基板を買えば、外部に保存もできます。そのような装置や方法が存在しないかような誤解を与える表現だったため訂正いたします。外部保存の話はまた後日記事にて)。じゃ、どうやってゲームプログラムを提供してるのかな、と思いきや……。
↑中にはプログラムリストがプリントアウトされた紙が1枚。あと、コマンドがひとつだけ書かれたシールが入っています。写真のIchigoJamは大きさ比較用に置いてあるだけで、もちろん入っていません。 |
な、なるほど。このプログラムを自分で入力しながら、プログラムの仕組みを調べたり改造したりということを体験、学習していくわけですな。なんか負け惜しみを言っているように聞こえるかもしれませんが、1980年代前半のマイコン少年のプログラム学習環境はまさにこういうものだったわけで。私も実際これを入力しながら、冒頭の電気屋の風景を思い出しました。走馬灯のように。そういえば、プログラムが動かないのは読み間違いか入力間違いかで友達とけんかになったりしてな。
ちなみに、外部へ出すことはできませんが、内部のフラッシュメモリーに保存しておくことはできます。電源を切ったらプログラムは消えちゃいますが、フラッシュメモリーに“SAVE”しておいて、次回電源投入後に“LOAD”すればちゃんと動かすことができます。フラッシュメモリーに保存できるプログラムは3つまで。これはもうちょっと増やしてほしかったところです。
ここらでちょっとスペック的なことを少し。
CPU LPC1114 Cortex-M0(48MHz)
メモリー(RAM) 4KB
フラッシュメモリー 32KB(ただし、プログラム保存用は1KB×3)
表示文字数 36文字×27行(288×216ドット)
色数 2色(背景黒+文字白)
出力 NTSC(ビデオ出力)、LED、OUT×6
入力 PS/2キーボード、ボタン、IN×4
電源 マイクロUSB
メモリーは4KBありますが、キャラクターパターンや画面表示(VRAM)にも使われ、プログラムエリアは1KBです。まぁだいたい2画面ぶんくらいの長さのプログラムリストになりますでしょうか。そんなに複雑なことができないのは確かですが、昔“1画面プログラム”ってのがはやったのを覚えていらっしゃるかたもいるでしょう。たった、1画面のプロがラムでも結構いろんなことができるものです。逆に制限があるほうが燃えますよね、普通。
スペックの出力欄にあるLEDというのは、基板上に赤色のLEDが1個載っており、これをBASICで制御できるというものです。“LED 1”で点灯、“LED 0”で消灯といった具合に。入力欄にある“ボタン”というのも同様。何に使えるかなー、考えるだけでもわくわくしますね。
↑さきほどのプログラムを“RUN”したところ。『当てろギャラクシーゲーム』は、ブロック崩しの要領でボールを跳ね返して敵をやっつけるゲームです。さすがにこの大きな画面で見るとちょっとさみしい表示。テレビの下にプログラムリストをマグネットで張り付けて入力していたのがわかります。キーボードはひざに乗せてるので写ってません。 |
おそらく、この製品をおもしろいと思えるのは、昔マイコン少年だったわれわれおじさんたちと、まったくパソコンを知らない子供たちかもしれません。てことはですよ、お父さんの出番じゃないですか! 自らは昔を懐かしみながら楽しみ、子供たちにパソコンのしくみやプログラミングを勉強してもらいましょう。あ、もちろん、お母さんもぜひ。
なんといっても2000円ですしね。人によってはキーボードやテレビを買う必要があるかもしれませんが、まぁ、たまにはアキバや日本橋などのジャンク屋を回ってみるのもいいのでは?
さて、このIchigoJam、ちょっとおもしろそうですので、不定期で連載していたきたいと思います。あと、今回はちょっと準備が間に合いませんでしたが、IchigoJamのプログラムを募集したいと考えています。次回ちゃんと募集要項など公開しますので、それまでにたくさんプログラミングしておいてください。
●関連サイト
IchigoJam
PCN プログラミング クラブ ネットワーク
BASICでプログラミング! こどもパソコン IchigoJamをアスキーストアで購入
※4月18日現在、完成版のみ在庫切れです。近日入荷予定。
プリント基板キットは在庫がございます。
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